保育士とベビーシッターの違い。給料や業務内容、働くメリットは?

保育士の転職先

最近は「ベビーシッターの仕事」について、テレビなどで話題になる事も多くなってきましたね。

ベビーシッターも保育士同様、子どもに関わる仕事です。

保育士の働き方について不満がある人は「ベビーシッターの方が私に向いているかも」と新しい発見があるかもしれません。

本記事では、ベビーシッターの仕事について詳しく紹介します。

ベビーシッターとは

ベビーシッターとは、自宅に子どもを置いて保護者が外出しなければいけない時に利用者の自宅に行き、子どもの面倒を見る仕事です。

厚生労働省の「ベビーシッター事業の現状と課題」を参考にすると、平成31年3月時点でベビーシッター(訪問保育サービス事業者)の会社は87社。

そしてベビーシッターの登録をして働いている人の数は約2万人。

ベビーシッターとして働いている人は、意外と沢山いるのですね。

最近では、個人開業するのではなく、派遣会社に登録してベビーシッターの仕事をするのが主流になってきています。

ベビーシッターとして働く場合、資格は必要?

ベビーシッターとして働く場合、保育士資格や幼稚園教諭等の資格は必要ありません。

資格は必要ありませんが、資格を持っている方が有利です。

資格を持っていると有利になる理由は2つ。

  • ベビーシッターを採用している会社に選ばれやすくなる
  • 保護者からも指名してもらえる可能性が高くなる

実際に、ベビーシッターを採用する会社の採用条件の中に「資格保持者歓迎」と記載があります。(有資格者の場合、時給アップと記載している会社もある)

資格例

  • 保育士
  • 幼稚園教諭
  • 助産師
  • 小学校教諭
  • ホームヘルパー
  • ベビーシッターの資格等

他にも、サービスを利用する際、保護者がベビーシッターを指名するスタイルを取っている会社が多いです。

ベビーシッターを利用する保護者は、他人に我が子を預ける事に不安を感じています。(特に初めて利用する人など)

そのため、我が子を預けるベビーシッターを誰にしようか、慎重に決めるでしょう。

保護者が沢山のベビーシッターの中から選ぶ時、「資格を持っている人」というだけでも信頼できる基準の1つになるのです。

保育士資格を持っている人なら、特に選ばれやすいのではないでしょうか。

ベビーシッターとして働く場合、性別や年齢は?

次に性別ですが、勿論、男性や女性に関わらず働くことができます。

他にも、年齢については、ベビーシッターの登録をする会社によって異なります。(年齢に関して条件の記載がない会社も多い)

たとえば派遣会社に登録して働く場合。

キッズライン公式サイトを参考にした場合、心身ともに健康な「18歳以上の方」。

スマートシッター公式サイトを参考にした場合は、「20歳以上の方」となっています。

キッズラインのように登録する会社によっては、大学生でもベビーシッターとして働く事も可能です。

たとえば保育士を目指す学生が保育士を目指しながら、アルバイトとしてベビーシッターをした場合、子どもの扱いや保護者への対応の勉強、実践ができます。

それは就職活動の時の強みになりますね。

ベビーシッターの利用実態について

ベビーシッターを利用している保護者や子どもの状況を知る事で、更にベビーシッターの役割について知ることが出来るでしょう。

「なぜ保護者がベビーシッターを利用しなければいけない」のか、「ベビーシッターで相手をする子どもはどれくらいの歳の子が多いのか」は、もしベビーシッターとして働く事を考えた時も重要な情報です。

以下、ベビーシッターの利用実態について紹介していきます。

保護者がベビーシッターを利用する理由とは

厚生労働省の調査を参考にすると、ベビーシッターの利用ついて、以下のような理由が挙げられています。(100%計算ではない)

  1. 仕事の時(79.6%)※
  2. 冠婚葬祭や学校行事などの社会的な理由(23.9%)
  3. 自分(親)が病気の時(16.8%)
  4. 自分(親)が自己実現や社会参加活動のため(18.6%)

※仕事の内容

  • 通常の勤務(48.7%)
  • 残業(33.6%)
  • 子どもが病気の時(24.8%)
  • 休日勤務時(12.4%)
  • 夜間勤務時(8.8%)
  • 早朝勤務時(7.1%)

上記の「自分(親)が自己実現や社会参加活動のため(18.6%)」という理由は、家事や育児のリフレッシュのためにベビーシッターのサービスを利用している保護者でしょう。

しかし、理由の中でも「仕事の時」の割合が76.9%という結果からわかる通り、家事や育児の息抜きを目的にベビーシッターを利用している人は、(割合的には)少ない事が分かります。

仕事や冠婚葬祭等の理由、そんな時に子どもを預けて見てもらえる存在がいない等の「ベビーシッターぼサービスを利用せざるを得ない状況」で利用している人が多いのですね。

保護者がベビーシッターを利用する頻度や子どもの所属

上記の厚生労働省の調査を参考にすると、利用頻度で1番多いのは「1週間に2~3回が35.5%」「1週間に1回程度19.5%」「1か月に2~3回程度が17.9%」となっています。

たとえば、ベビーシッターとして働いた場合に週に2~3回、信頼関係を築いた相性の良い保護者から指名される場合、給料面でも安定するので働き手としては助かりますね。

次に子どもの所属についてです。

保育所や認定こども園等に所属している子の割合が34.5%、小学校に所属している子の割合が22.1%、幼稚園に所属している子が14.2%。未就学児が14.2%となっています。

約7割の子どもが保育園に通っていて、更にベビーシッターを利用しているのです。

上項目でも紹介した通り、保護者がサービスを利用している理由の約8割は「仕事」。

そして「子どもは保育園や小学校に所属している」ことから「ベビーシッターが保育所等に迎えに行き、保護者が帰宅するまで、ベビーシッターが子どもと家で過ごす」という利用方法で週に2~3回、2~3時間程度利用していることが分かります。

子どもの年齢

ベビーシッターの殆どの会社では、保育する子どもの対象年齢を0~12歳と定めています。

基本的には上記の年齢が対象ですが、実際にベビーシッターが保育する子どもの年齢はどれくらいなのでしょうか。

以下厚生労働省ベビーシッター事業の現状と課題から、引用してきた図です。

上記の図からわかる通り、ベビーシッターを利用する子どものうち約70%(69.1%)の割合を0~6歳未満の乳幼児が占めています。

たとえば「保育士からベビーシッターに転職して働きたい」と考えている人にとっては好都合ですね。

丁度、保育園で関わる子どもの年齢と同じなので、子どもの扱い方は慣れているでしょう。

採用の際や保護者に対しての自己アピールとして使えますね。

子どもを預かる時間はどれくらい?

上記の厚生労働省の調査では「1回あたりの平均利用時間数」のアンケート調査を行っています。

1回あたりの利用頻度は「3時間~26.5%」「2時間~22.1%」「4時間~15.9%」でした。

たとえば保育園に勤めた場合は8時間勤務で、その間の殆どの時間を保育に充てています。

平均2~4時間程度の保育なら、ベビーシッターとして働く人にも負担は少ないでしょう。

ベビーシッターの働き方の特徴、業務内容や給料について

「子どもの世話をする事は分かるけど、実際はどんな事するの?」とべビーシッターの仕事に関して、疑問を抱いている人もいるでしょう。

以下、ベビーシッターの業務内容や働き方の特徴について紹介します。

ベビーシッターの業務内容

基本的には2~3時間の間、子どもと一緒に遊んだり、本を読んであげたり、一緒に制作をして遊びます。

たとえばリトミックや音楽、英語などの特定の分野の知識がある人は、保護者に確認して、それを活かした保育をする事が望ましいです。(会社によっては時給が上がる可能性があるため)

保育の他にも、先ほどの厚生労働省の資料によると「(ベビーシッターのサービスが)スタートした当時は、家政婦が家事の一部として子どもの世話を行っていた」とあります。

派遣会社に登録してベビーシッターとして働く場合は「ベビーシッター」と言っても、子どもの世話だけでなく家事代行のサービスを行っている会社もあるので、登録する際はどのようなサービスを行っているのか、確認しましょう。

ベビーシッターの働き方

ベビーシッターの働き方は、平日〇時~〇時と固定制ではありません。

毎日、必ずサービスを利用する人や保育する時間が固定されていないからです。

基本的な働き方としては、働きたい希望の日、空いている日や時間帯を会社に提示して「週3~4」「15時~21時」等、希望を出します。

そして、会社が利用する保護者の希望と照らし合わせて、仕事が入るスタイルです。

厚生労働省の調査によると、1つの家庭がベビーシッターを利用する時間(最低引き受け時間)は、2時間が60.4%が最も多いです。

次に3時間が22%、次に1時間が13.2%。(平均ではないため、上項目で紹介し子どもの預かる時間とは異なる結果)

最低でも2時間は子どもを預かる事を踏まえて、大体1件2~3時間程度と考えます。

それを1日何件、仕事を引き受けるかは自分次第です。

他にも「顔が見れないと不安」と思う保護者のために、ベビーシッターの顔や雰囲気、スキルを見て気に入った人を指名して保育する流れがある会社、当日いきなり会うのではなく面談をしてから当日保育をすることを売りにしている会社もあります。

ベビーシッターの休み

ベビーシッターの働き方は「完全希望シフト」と働く日を働き手が希望して仕事を入れいていく形が多いため、休日も自分で決める事ができます。

ベビーシッターを副業にしている人や主婦世代の人が働きやすいような環境になっている会社が多めです。

ベビーシッターの給料

ベビーシッターとして働く場合、基本給等はありません。

地域によっても差があるため、一概には言えませんが、時給は無資格の場合1,000~1,500円程度と思っておくと良いでしょう。

資格を持っていたり、予約が殺到するベビーシッターの場合、時給が優遇されるため「2,000~2,500円」等の高収入の人もいます。

たとえば時給1,500円だった場合。

1日2件(合計6時間程度)仕事をいれるとすると、1日9千円、週5で予約が入る場合は45,000円です。

それを4週で計算すると月収18万円。

短時間でもそれなりの金額を稼ぐことが可能となります。

【参考】保育士の給料はいくらくらい?平均年収や月収、ボーナスまとめ

【参考】保育士の手取りはどれくらい?額面から引かれすぎて13万円しかもらえないなんてことも

ベビーシッターとして働いている人の実像

厚生労働省の調査によると、ベビーシッターとして働いている人の年齢の割合は以下の通りです。

上記の図からわかる通り、50歳以上の割合が約65%となっています。

他にも保有している保育士関係の資格については、保育士資格(27.2%)、認定ベビーシッター(24.4%)、幼稚園・小学校教諭(9.4%)その他※です。

※保健師、看護師、助産師等、他の保育関連資格

育児経験の有無に関しては、80.7%の人が「育児経験あり」という結果があります。

保育士資格をあり、子育て経験のある人、そして「子どもに関わる仕事をしたい」と思っている人がベビーシッターとして働いているのでしょう。

家事や育児の長年の経験が、仕事のスキルに繋がる事を考えると、良い仕事ですね。

50歳以上が約65%占めているからと言って20代や30代が不利という事はありません。(子育て経験の有無も同様)

実際に、キッズラインの登録しているベビーシッターを拝見すると、20代や30代と見られるような人も沢山います。

ベビーシッターとして働くメリット・デメリット

ベビーシッターとして働く前に、ベビーシッターのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

ベビーシッターとして働くメリット

ベビーシッターとして働くメリットは以下の通りです。

  • 自分で働き方(週2~3程度など)決める事ができる
  • 大体2~3時間程度の利用なので、肉体的にも無理が無い
  • 基本的には保育する子どもの人数は1人、兄弟も場合は2人のため負担も少ない
  • 主婦世代にとっては始めやすい仕事(家事育児のスキルが活かせる)(自由度が高い)

働き方の自由度が高いというのが、最大のメリットですね。

勤める保育園にもよりますが、副業としてベビーシッターをする人もいます。

空いた時間で上手く活用することで、収入が増えるのであれば働きたいですよね。

ベビーシッターとして働くデメリット

ベビーシッターとして働くデメリットは以下の通りです。

  • 保護者との相性によって仕事のしやすさが変わる
  • 利用者に合わせて仕事先が変わる
  • 収入が安定しているとは限らない

働き方の自由度が高いのは良い事でもありますが、必ず週に〇回自分を指名してくれるとは限りません。

他の会社のように「基本給〇円」とある訳ではないので、先の事を考えるとベビーシッター1本で生計を立てるのは不安ですね。

保育士とベビーシッターの違いは?

上記の全項目を参考にし、保育士とべビーシッターの違いについてまとめました。

べビーシッター 保育士
働く場所 保護者の自宅 保育園の施設
働き方 希望シフト制 シフト制
給料 時給 月給
保育形態 1対1など個別保育 集団保育
保育する子どもの人数 1人(兄弟の場合2人) 複数(年長など年齢によっては1人で20人の子どもを見る)

上記の表の通り、働き方や環境については沢山の違いがあります。

たとえば、保育する子どもの人数です。

保育園の中でも、小規模保育という少人数の子どもを保育する保育園がありますが、べビーシッターは小規模保育園よりも更に子どもに対して、細やかな配慮をした保育が出来るでしょう。

【参考】小規模保育園とは?保育士が働くメリットとデメリットや給料など

他にも保育園で保育士として働いている場合、毎日8時間特定のクラスの子ども達と関わり、1年間、転園しない限りは卒園まで成長を見守る事ができます。

一方、ベビーシッターの場合は「1回限りしか会えない」「定期的に会えるとは限らない」等、子どもの成長を見守る環境の違いもありますね。

保育士の経験を活かしてベビーシッターに転職しよう

ベビーシッターの仕事は確かに、収入面の安定は難しいかもしれません。

しかし、自分にスキルがある場合は、定期的に利用してくれる保護者もいるでしょう。

保育園とは違い、1対1で関わる事が出来る環境、保護者との関わりも密にできるため、仕事にもやりがいを感じられます。

たとえば「保育士の仕事、自分に合わないな」「でも子どもに関わるしたい」「実家暮らし」などチャレンジできる条件が揃っている人は、ベビーシッターの仕事はおすすめです。

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