小規模保育園とは?保育士が働くメリットとデメリットや給料など

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定員が100人近い保育園で働く保育士は「保育士の仕事は好きだけど、毎日余裕がない」と思ってしまう人もいるでしょう。

子どもと丁寧に関わりたいと思う保育士は、小規模保育園も選択肢として考えると良いかもしれません。

本記事では小規模保育園について、小規模保育園に勤めるメリットとデメリットについて紹介します。

小規模保育園とは

小規模保育園とは、0~2歳を対象とした定員6人以上19人以下の少人数で保育を行う保育園です。

市区町村、民間事業者などが小規模保育園の事業主体となっています。

平成30年5月厚生労働省の保育所等における保育の質の確保・向上に関する基礎資料から、引用した図が以下の通りです。

小規模保育園A型は、一般的な認可保育園と小さくした保育園ですね。

小規模保育園B型、小規模保育園C型は、元々小規模保育園が認可外保育園に含まれていたこともあり、認可外保育園と似た部分があります。(保育士の資格保持等)

他にも認可基準を満たしていても、全ての小規模保育園が認可保育園ではありません。

事業者の考えによっては「認可外保育園として運営したい」という園もあります。(企業主体型小規模保育園など)

そして他の保育園同様、小規模保育園の設置は厚生労働省の小規模保育園の設置許可等についての基準に沿って作られています。

小規模保育園の役割は0~2歳児の待機児童の受け皿になること

小規模保育園で預かる子どもの年齢は0~2歳。

なぜ他の認可保育園のように「0歳~就学前までの預かり」ではないのでしょうか。

理由として、小規模保育園の役割は「0~2歳児の待機児童の受け皿となること」だからです。

厚生労働省が発表した「平成30年10月時点の保育所等の待機児童数の状況について」から引用した待機児童数の表が以下の通りです。

上記の図からわかる通り、3歳児以上児が2,719人。

3歳未満児が44,479人なので、待機児童は圧倒的に3歳未満児の方が多いのです。

待機児童数が多い都道府県(平成30年10月時点)は、東京都(4,475人)、埼玉県(1,443人)、千葉県(1,084人)、神奈川県(933人)、兵庫県(773人)、大阪府(754人)です。

上記からもわかる通り、東京都は他の県と比較すると待機児童数がかなり多いですよね。

しかし都心でもあるため、一般的な大きな保育園を建てるほどの余裕はありません。

そのため一般的な保育園より施設規模は小さくなりますが、コンパクトな小規模保育園の数を増やして、少しでも待機児童解消するため小規模保育園事業を進めています。

平成27年から認可外保育園から小規模認可保育園へ

平成27年以前、小規模保育園は認可外保育園の中に含まれていました。

しかし平成27年厚生労働省が実施した「子育て・子育て支援新制度」によって、地域型保育事業と位置付けられ、市区町村による小規模保育事業となったのです。

小規模保育園の指導監督は市区町村が行っており、認可されると、施設運営費として公的な補助金が受けられます。

待機児童を解消するために、他の保育園や幼稚園、認定こども園の新設も進みますが、小規模保育園の設置や新設も同様に増えていくでしょう。

令和元年小規模保育園の子どもの受け入れ人数は?

待機児童解消のため、緊急対策として平成28年から定員を超えて22人までの受け入れが可能になったことをご存知でしょうか。

以下、平成28年厚生労働省から各都道府県市長に向けた通知「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」の対応方針についての文中から引用したものです。

3歳未満児の受け入れ枠が確保されるよう、人員配置基準や面積基準を満たす限りにおいて、定員超過の受け入れも積極的に活用いただきたい。具体的には、小規模保育事業(A型、B型)における定員は 19人以下となっているが、定員弾力化により、22人までの受け入れを可能とする予定である。

以前、小規模保育園の子どもの受け入れ人数は「定員6人以上19人以下」でしたが、は「施設や事業所の設備(面積等)職員数、設備運営基準を満たしていること」を条件に、A型とB型の小規模保育園では定員を超えた受け入れ(定員超過)をすることになりました。

他にも「給付費の減算措置が適用される施設・事業所に対しては、利用定員の見直しに向けた指導が行われること(教育・保育の提供は、利用定員の範囲内で行われることが原則)」と記載があるので、自治体からの指導も入り、安全に子どもを受け入れられる体制を整えてます。

他にも先ほど触れた通り、小規模保育園に通う子どもの対象年齢は0~2歳。

3歳になると卒園しなければいけません。

卒園した場合、在学していた小規模保育園と連携している保育園、幼稚園、認定こども園に優先的に入園できることになっています。

小規模保育園で働く保育士の勤務形態や給料・休みについて

小規模保育園で勤める保育士はどのように働いているのでしょうか。

「小規模保育園だから~」という点はあまりないかもしれませんが、働く上で休みや給料は重要なポイントです。

以下、それぞれの項目について詳しく紹介していきます。

小規模保育園で働く保育士の勤務形態

地域にもよりますが、正社員、非正規社員で保育士を雇っています。

一般的な保育園と同様、シフト制が多いです。

他にも、求人を確認すると「完全週休2日制」「週休2日制」となっている保育園もありますが、4週6休等のシフトもあるので休みは保育園によって様々です。

企業型小規模保育園の場合、企業の休日に保育園も準ずるので、年間休日日数が多い可能性が高いでしょう。

【参考】保育士の平均年間休日数や他業種との比較。やっぱり休みは少ない?

小規模保育園で働く保育士の給料

小規模保育園の求人を見ると、基本給は25~27万円程度。

給料が高い小規模保育園の場合、30万円と記載がある保育園もあります。

上記でも触れた通り、27年度から認可保育園となったことで「処遇改善手当」もるので、給料が高い小規模保育園もありますね。(求人によっては既に含まれた金額が記載されている)

待遇も良く、福利厚生が充実している保育園が多いです。

小規模保育園は保育士の数も他の保育園より少ないので、次々と保育士が辞めてしまうと子どもの安全、保育園の運営にも支障がでてしまいます。

そのため、どこの保育園も同じですが、小規模保育園は特に「長い腰を据えて保育園で働いて欲しい」と思っているでしょう。

小規模保育園で働く保育士の休み

保育園によっては「有給休暇の消化率が100%」という記載もあります。

小規模保育園では、保育士の数が少ないですが、連携を取りながら休みを取得しているのでしょう。

小規模保育園に限らず、最近は保育士の労働条件が改善されてきています。

待機児童が多い地域ほど保育士が必要なので、他の保育園よりも魅力的な保育園にする必要があるのです。

小規模保育園と一般的な保育園を比べた場合のメリット・デメリット

小規模保育園に通う子どもの年齢は乳児(0~2歳9ということが、小規模保育園の特徴でもあります。

幼児のように活動量が沢山ある訳ではありませんが、乳児は乳児の大変さがあるので、「乳児が得意かどうか」を考える必要がありますね。

「赤ちゃんが好き」「大きな保育園は大変そう」という理由で小規模保育園を希望する保育士も多いですが、まずは働いた後の自分を想像してみることが大切です。

小規模保育園で働く前に小規模保育園で働く保育士のメリットとデメリットを含め、考えると自分に合っているかどうかイメージがつきやすいかもしれません。

小規模保育園で働くメリット

以下、小規模保育園で働くメリットです。

  • 子ども一人ひとりに応じたきめ細やかな保育ができる環境
  • 通園する子どもは乳児のため、幼児よりは活動範囲が少なくて済む
  • 家庭的で雰囲気でアットホームな保育所が多い
  • 職員や保護者の数も少ないため連携がとりやすい
  • 会議や行事などが少ない傾向がある(その分仕事量も少ない)
  • 保育士資格がなくても研修を受けることで働ける

子どもの数に応じて保護者の数、保育士の数も少ないので、連携がとりやすいです。

人数が少ないこともあり、より丁寧で細やかな配慮ができるでしょう。

他にも大きな保育園のように行事や保育参観がない小規模保育園も多いです。

行事がない分、保育士の負担も少ないので、そこは魅力的ですね。

【参考】保育士が1歳児の担任になったら知っておきたい1歳児の基本的な知識やおすすめの遊び、本など

【参考】保育士が2歳児の担任になったら知っておきたい2歳児の基本的な知識や色々な悩み

小規模保育園で働くデメリット

以下、小規模保育園で働く保育士のデメリットです。

  • 小規模保育園では乳児しか関わることができない
  • 大きな保育園で身につくはずにスキルが身につかない(行事等)
  • 子どもの成長を小学生まで見守ることができない
  • 同じ子どもと関われる年数は最高でも2年~3年未満
  • 保育士資格が不要な施設の場合、職員の知識や能力に差が出る
  • 施設の規模上、大きなイベント(運動会等)の実施が困難

小規模保育園に勤めた場合は、幼児と関わる機会がないので、幼児だからこそ出来る遊びや関わり、会話を味わうことはできません。

たとえば「子どもから手紙をもらう経験」「幼児の喧嘩の対応」等です。

小規模保育園から他の保育園に転職した場合は、幼児との関わりの仕方がわからず悩んだり、行事や仕事量が大変に感じるかもしれません。

他にも小規模保育園は3歳になるまでに卒園しなければいけないので、子どもとのお別れが早いのもデメリットですね。

自分が赤ちゃんの頃から関わってきた子が大きくなる姿を見届けられないのは、保育士としては少し切ないでしょう。

子どもと丁寧に関われる保育がしたいなら、小規模保育園で働こう

上記でも触れた通り、小規模保育園で働く最大のメリットは「子どもと丁寧に関わることができる」事。

小規模保育園は保育園内にいる子どもが20人程度なので、100人定員の保育園のひとクラス分です。

大きな保育園の場合「子どもとゆっくり、丁寧に関わりたい」と思ってもなかなか難しい状況なことも多く、子どもに対して罪悪感を抱いてそれがストレスになる保育士もいます。

子どもの人数が少ないと、どの年齢の子どもとも密に関われることができるのが嬉しいよね。

大きな保育園に勤めていて「疲れてしまった」という人も、小規模保育園に転職することで問題が解決することがあるでしょう。

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