保育ママ制度とは?仕事内容や必要な資格、給料などの条件、メリット・デメリット

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あまり知られていない「保育ママ制度」。

「聞いた事はあるけど、どんなものなのか分からない」という人が多いのではないでしょうか。

保育士資格や幼稚園教諭の資格、そしていくつかの条件をクリアすると「保育ママ」として働く事で出来ます。

本記事では、保育ママについて詳しく紹介していきます。

保育ママ制度とは

保育ママ制度とは、日中保護者に代わり0~3歳児未満の子どもを「保育ママ」と言われる事業主の居宅等で預かる制度です。

保育ママ制度は、厚生労働省が平成27年に施行された「子ども・子育て支援制度」によって、0~2歳の子どもを保育する家庭的保育事業(または地域型保育事業)の1つとして法定化されました。

そして保育ママ制度の中でも、家庭的保育事業と地域型保育事業の2種類があります。

平成19年10月厚生労働省「家庭的保育とは(定義、事業内容、意義等の説明」を参考にしてまとめたものが以下の通りです。

家庭的保育事業の特徴

  • 保育者の居宅等で3歳未満の少人数の乳幼児を対象に小規模に行われる保育
  • 保育形態は保育所同様の通常保育(毎日同じ子どもが通う・8時間保育)
  • 家庭的保育は少人数の子どもを対象にしている為、個々の子どもや家庭に個別に対応でき、個々の事情にあわせた柔軟な対応が可能
  • 保護者への子育て支援としても有効

主相官邸のサイト「保育所・地域型保育事業の認可基準について」によると、平成28年4月十点で「家庭的保育事業(保育ママ)」の認可件数は958件です。(厚生労働省調べ)

保育園の認可件数(23,447件)には及びませんが、小規模保育園事業B型(595件)と比較した場合、研修的には保育ママの方が多いのです。

一方、地域型保育事業というのは、児童福祉法第34条の15第2項により、区市町村の認可を受けている保育ママです。

保育ママの役割

保育ママ※は、3歳児未満の子どもを保護者の代わりに保育します。

※保育ママの正式名称は「(認定)家庭福祉員」。

具体的には「仕事や病気等の理由から保育をすることが難しい子ども」「保育園にも入園することができない子ども」が対象です。

保育ママは自宅で保育するので、より家庭的で細やかな配慮をしながら、子ども達を保育する事ができます。

家庭的な保育の雰囲気から「保育園の先生」というよりは、「地域のママ」という印象が強いでしょう。

導入していない自治体も多い?全国には普及していない

待機児童の問題が深刻化している地域の場合、自治体が保育ママ制度を導入し、補助金等で保育ママを支援しています。

しかし、逆に待機児童の問題があまり深刻化していない地域の場合、「保育ママ制度」を自治体が導入していない自治体もあるので、地域によっては「保育ママ」の認知度が低いのです。

保育ママを利用する子どもについて

 

保育ママを利用する子どもについて以下、紹介します。

乳児0~3歳未満の子どもを対象とする

先ほど触れた通り、保育ママが預かる子どもの対象年齢は、0~3歳未満。

預かる子どもの年齢に制限があるのは、保育園のように幼児を受け入れてしまうと、子ども達の安全が確保できないからでしょう。

同じ室内で赤ちゃんが寝ていて、幼児が走っていたら危ないですよね。

1人保育事業者に対し、子どもの数は3人まで

1人の事業主(保育ママ)に対して、子どもは3人まで受け入れる事が可能です。

事業主(保育ママ)+補助者2人をつけた場合は、子どもを5人まで受け入れる事ができます。

これは、認可保育園の0歳児の人数配置と同じですね。※

※児童福祉法第45条の規定(児童福祉施設最低基準)で定められている規定の人数配置は「子ども3人に対して保育士おおむね1人~」となっている。

たとえば東京都葛飾区保育ママ情報のサイトによると、14件の内11件保育ママは、定員が4~5人となっています。

11件の保育ママの現場には、補助者がいるという事ですね。

やはり1人で8時間子どもに付きっ切りというのも大変ですから、補助者を含め2~3人で子どもを見る体勢を取っている保育ママが多いのかもしれません。

子どもを預かる時間はどれくらい?

保育ママが子どもの預かる時間は、原則8時間です。

但し、自治体や保育ママの考え方によって時間が変わる事もあります。

時間外保育として、延長保育を行っている保育ママもいますが、全ての保育ママが「延長OK」としている訳ではありません。

保育ママになるためにはどうすれば良いのか

保育ママになるためには、区市町村の認定を受ける必要があります。

年齢や資格、特定の研修修了等の条件を満たさなければ、保育ママとして働く事はできません。

保育ママになるための条件

保育ママになるための基本的な条件は、以下の通りです。

  • 25~60歳くらいまでの健康な方
  • 修学前の子どもを養育していない
  • 介護や看護が必要な人と同居していない
  • 別の職業に従事していない
  • 保育ママとして働く設備(自宅の環境)が整っている事

他にも「保育ママ」と聞くと女性を思い浮かべますが、保育ママは男性でもなることができます。

保育士資格はなくても良い

保育ママになるために、資格は必要ありません。

しかし、保育に関する資格※を持って働いている保育ママが多いです。

自治体の保育ママの募集要項自体にも「資格保有者」とある事が多いからでしょう。

※保育に関する資格

保育士、看護師、幼稚園教諭の資格保持者

他にも、自治体によっては募集要項に「資格」の他に「経験」として、「保育施設で3年以上働いた頃がある人」「子どもを保育・子育てしたことがある人」等の記載があります。

資格を持っていない人が保育ママになる場合。

特定の研修を受ける必要があり、先ほどの葛飾区保育ママのサイトを参考にすると、認定研修(講義40時間・演習48時間・実習20日間)を履修した人が保育ママとして働けるとあります。

自治体からの認定が必要

細かな条件は自治体によって異なりますが、保育ママとして開業するためには、各自治体からの認定が必要です。

保育ママの施設に通う子どもの安全や健やかな成長のために、環境にも配慮しなければいけません。

たとえば、子ども達が過ごす保育室には以下のような条件があります。

  • 日当たりが良い
  • 風遠しが良い6畳以上の部屋(9.9㎡の室内の広さ)
  • 保育専用の部屋を提供できる
  • ペットを飼っていない

保育ママの中には、自宅ではなく、マンションの一室を借りて保育を行っている場合もあります。

各自治体で条件、提出書類は異なりますので、もし開業を考えているなら一度自治体(市区町村)のHPをチェックしてみましょう。

保育ママになる時の注意点

保育ママとして働く場合、個人で開設するため、個人事業主となります。

個人事業主となるため、金銭的な面で負担が増えるかもしれません。

たとえば以下の通りです。

  • 国民健康保険、国民年金、賠償保険の費用は全て自己負担
  • 確定申告も自分でする必要がある
  • 施設で必要となる掃除用具や玩具等、すべて自分で用意する

他にも1人で子どもを預かるという「責任の重さ」を考えなければいけません。

  • 基本的に個人的な理由で休むことは出来ない
  • 子どもの安全を常に1人で配慮する(午睡中の呼吸確認等)

「保育ママ」を目指す場合は、上記のことを頭にいれながら計画を立てる必要がありますね。

保育ママとして働く保育士と仕事の特徴や業務内容、給料や休みについて

基本的に月曜~金曜、子どもを預かっています。

土曜保育の対応は、保育ママによって様々。

保育ママによっては、「土曜のみ短時間保育」で子どもを預かっているところもあります。

東京都足立区の公式サイト「家庭的保育}を参考にした「保育ママの1日の流れ」以下の通りです。

時間 1日の流れ
8:00 子ども受け入れ
9:30 朝おやつ
10:30 室内で遊ぶ、散歩等
11:00 昼食
12:00 昼寝
15:00 午後おやつ
17:00 お迎え

原則8時間保育としている事もあり、保育園と同じような流れです。

保育ママの業務内容

保育ママの業務内容は、対象とする子どもの年齢が0~2歳児なので、食事の介助や寝かしつけ、排泄の援助をします。

保育ママの他にも補助者がいる場合は、仕事を分担することができますが、1人の場合は「食事の用意をしながら子どもを見る」「午睡の支度をしながら子どもを見る」等、子どもを見ながら仕事をしなければいけません。

他にも保育ママも、他の認可保育園同様「自園調理が望ましい」とされていますが、「お弁当持参」としている保育ママも多いです。

保育ママの働き方や休み

保育ママの休みは、日曜日・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)。

他にも、保育ママの年次休業で1年で20回、夏期休業として5日間の休みが定められています。

1年のうちの20回は有給、夏季休暇はお盆休みですね。

但し、有給とは言っても、急に休んでしまうと利用している保護者の都合もあるため、事前に保護者に休む日を伝えておく必要があります。

保育ママの給料はどれくらい?

保育ママの収入源は、保護者からの保育料(世帯に応じて自治体が決めた金額)と自治体からの補助金(自治体が実施している場合のみ)です。

まず保護者からの保育料が1人あたり20,000円から30,000円程度。

自治体からの補助金(実施している場合のみ)は1人あたり70,000~80,000万円程度。

合わせると、1人あたりで90,000円から110,000円ということになります。

1人で保育ママとして子供を預かる場合の最大人数は3人ですから、保育ママの最大月収は270,000円から330,000円。最大年収は324万円から396万円です。

月収で見ると保育士として働くよりも給料が良いようにも見えますが、個人事業主なのでボーナスや福利厚生、退職金は一切ない、国民年金・健康保険を支払わなければいけない、経費もこの収入の中から払わなければいけないといったことがあるので、給料面での魅力というのは高くありません。

また

常に最大人数である3人を保育できるというわけではなく、場合によっては1人や2人のみになってしまうケースもあるので、常にこの収入が得られるわけではないというのも注意が必要です。

保育ママとして働くメリットやデメリットについて

保護者にとっては、保育園ではなく「保育ママ」に子どもを預ける事で「子どもに一人ひとりに配慮した保育を提供してもらえる」「少人数保育の為、感染症にかかりにくい」などのメリットがあります。

一方、デメリットは「3歳以降に保育園を探さなければいけない」「保育ママによって保育内容が異なる」「第3者の目が無いため不安」等です。

保護者同様、保育ママとして働く保育もメリットデメリットは存在します。

保育ママとして働くメリット

保育ママとして働くメリットは、以下の通りです。

  • 少人数保育(3人)のため、個人に合わせた保育が出来る
  • 保育方針、保育の仕方等自由度が高い
  • 保護者との関わりも密にできる
  • 保育士同士の人間関係のトラブルはない

たとえば保育園で保育士として働いた場合は、「自分がこうしたい」という考えよりも保育園の方針や他の保育士達の考えを気にしなければいけません。

保育ママ場合、自分が考える「子どものための保育」を実現することが出来ます。

他にも保育士同士の人間関係のストレスを感じずに、1人(場合によっては補助者がいる)で仕事に専念できるのも魅力です。

保育ママとして働くデメリット

保育ママとして働くデメリットは、以下の通りです。

  • 保護者との相性が重要になる
  • 自分の体調管理に注意しなければならない
  • 負担が多い(個人事業主となる・1人で保育する)
  • 責任の重さ(子ども3人の命を1人で預かる)
  • 保育ママとして長く働いても昇給はナシ
  • 年度途中で辞める事が出来ない

保育ママは、個人で経営する小さな保育園のようなものです。

保護者の対応、子どもの面倒、雑務・・・等、子どもの人数が少ないとはいえ保育士ママの負担は大きいでしょう。

他にも子どもを預かっている間はひと時も、気を抜くことは出来ません。

保育ママは全ての事に配慮して、事故を防ぐという責任の重さがあります。

保育ママとして働きたい場合は覚悟が必要

保育ママは「自分のしたい保育を実現できる」という魅力もありますが、上記のデメリットで挙げたような「責任の重さ」や「保育者の孤立」等の負担があります。

保育ママとして働きたい人は、かなりの覚悟が必要でしょう。

補助者の確保や支援金等、保国や自治体から支援が今よりも増え、待機児童の改善、保育ママの働きやすさも改善されていくと良いですね。

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