普段商業施設内にあるキッズルームと言われる施設や「託児所あり。お子さんも連れてきても大丈夫」など記載があるイベントのポスターを見て「この託児所って保育士が働いているのかな」と興味を持ったことはありませんか。
ちなみに筆者も勝手な想像で「保育園よりは楽そう」と思っていました。
実際託児所で働く人はどのような仕事があるのか、気になりますよね。
本記事では、託児所について詳しく紹介します。
託児所とは
託児所の定義は曖昧ですが、基本的には幼児を預かる小規模保育施設になります。
そして託児所は大きく分けて2通りあるのです。
- 事業所内託児所
- 一般利用託児所
上記の2つの託児所を簡単に説明すると以下の通りです。
- 特定の職場で仕事している親が仕事の間に預けられる保育園を指す場合
- 商業施設やイベント会場にある一時的に幼児を預かる施設を指す場合
以下、さらに詳しく説明します。
事業所内託児所と一般利用託児所の違い
同じ託児所ですが、若干の違いがあります。
事業所内託児所と一般利用託児所の違いの表が以下の通りです。
事業所内託児所 | 一般利用託児所 | |
設置場所 | ビルの中や企業のオフィス内 | 商業施設の中やイベント会場 |
利用条件 | 料金を払えば利用可能 | 施設利用時、イベント参加中のみ |
利用料金 | 有料 | 無料※有料の場合もある |
散歩の有無 | ある | なし |
食事 | ある | なし |
上記の表にもある通り、まず設置場所の違いがあります。
事業所内託児所は、近隣のビルの中や企業のオフィスに設置されている保育施設。
一般利用託児所は、キッズスペース、キッズルームの言われる保育施設です。
一般的に託児所というのは一時的の子どもを預かり保育する施設なので、保育士の勤務時間に変動はありませんが保育園と比較すると1人あたりの対する保育する時間は短くなります。
しかし例外的に近年は待機児童の問題もあるため、保育園に子どもを入れることができない保護者が定期的に託児所に子ども預けることもあるでしょう。
幼稚園や保育園と託児所の違い
幼稚園や保育園、託児所の違いが以下の表の通りです。
幼稚園 | 保育園 | 託児所 | |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 | 特になし |
子どもの年齢 | 3~6歳 | 0~未就学児 | 2~小学3年生※1 |
通常保育時間 | 9:00~14:00※2 | 7:15~18:15※3 | 日中のみ又は24時間 |
保育内容 | 教育的指導をする | 保育 | 一時的に子どもを預かる |
※2・・・延長料金を支払うことにより17時頃まで延長できる、夜間保育園というのもある
※3・・・延長料金を支払うことにより19時過ぎ頃まで保育できる
幼稚園や保育園の場合は開設条件があり、それぞれの管轄が定めている条件を満たしていないと「幼稚園」「保育園」と名乗ることができません。
託児所の場合は、上記のにある通り管轄というのはないのです。
あくまでも「一時的に子どもを預かってほしい」というお客さんのニーズに応えられるように、また比較的に運営者側が開設しやすいような簡易的な保育施設ということになります。
事業所内託児所と企業内保育園の違いがわからない

ちょまって、企業で働く人のための保育園のことは企業内保育園っていうけど、事業所内保育所も同じ意味だよね。こんがらがってきた・・・。

わかる、紛らわしいよね。
「企業内保育園と託児所の違いがわからない」と感じている人もいるかもしれません。
上記で説明した事業所内託児所と企業内保育園は「預かる子どもの人数も少ない」という点と「企業に勤めている人が預けられる保育施設」という似ていますよね。
しかし同じ子どもを預かる施設でも上記の項目で説明した違い、要するに託児所と企業内保育園では働く人の条件と施設の設置基準が違うのです。
「保育園」の場合は、保育士を雇う必要性があり、また保育園を設置するためには児童福祉法で定められている「設備及び運営に関する基準」を守らなくてはいけないのです。
その上で企業内保育園と事業所内託児所の違いは以下の通りです。
- 働く人の保育士資格の有無
- 子どもを預かる期間
また保育園の場合は大きく分けて認可保育園と認可外保育園があります。
認可保育園の場合は子どもの数によって保育士の配置人数が決められているのです。
また認可外保育園の場合であっても、働く職員全体のうち3分の1は保育士資格や看護師の資格がある人でなければいけません。
一方「託児所」の場合保育士資格が必要ないので、雇う人も無資格でOK。
そして子どもを預かる期間言うと、保育園の場合は1年間毎日子どもを預かります。
保護者が仕事等の都合で家で保育ができない時、また平日仕事が休みでも子どもを預けることができるのです。
しかし事業所内託児所の場合は1日に保育できる子どもの数が決められているため「勤務がない日は利用することができない」など利用する保護者にとっては不便な面もあります。
働く保育士にとって「子どもを保育する」という大まかな仕事内容は保育園と変わりありませんが、利用する保護者にとっては利用の仕方が大きく異なるのです。
託児所を利用する子ども
毎日通う子、数時間だけ利用する子など託児所の利用の仕方は人それぞれです。
先ほども触れた通り、託児所の特徴は利用する保護者や子どもは毎日変わるという点です。
「その日初めて出逢う子がどのような動きをするのかわからない」中で安全に保育するのは、難しいところもあるでしょう。
そして子どもはある程度の年齢になると遊具や玩具があれば遊ぶようになりますが、幼い子どもの場合は場所見知りや人見知りが激しいです。
また「保護者から子どもがなかなか離れず対応に困る」「保護者がいない間ずっと泣いている」ことも珍しくはありません。
保育士は、子どもの非日常的な「託児所に預けられる」「母親と離れる」という不安に寄り添いながら、子どもの相手をしたり、子どもの同士のトラブルがあれば間に入って解決します。
短時間だけでも子どもを預かるのですから、子どもが怪我をしないように見守らなくてはいけないので大変ですね。
託児所で働く保育士の仕事、特徴とは
託児所で働く保育士の仕事の例を挙げると以下の通りです。
- 保護者の対応(受け入れ時、送り時)
- 子どもと遊ぶ
- 子どもの排泄等の援助
- 壁面作り
- 託児所内清掃
- おたより配布
- 玩具等の管理
- 簡易的保育日誌の記録
保護者の対応といっても子供を受け入れる時とお迎えが来た時のみ預かっている間の子どもの様子や体調について伝えるだけです。
保護者支援というような本格的な支援をしているところは少ないでしょう。
また毎日利用する子どもがいないので個人記録というものもありません。
簡易的な保育日誌を記録する、手が空いている時に壁面を作る、玩具等の消毒などの仕事はあります。
また託児所で子供を預かる時間について日中だけでなく24時間預かりをしている場合は寝かしつけ等の仕事もあるでしょう。
一般的な保育園と比較すると仕事量は少ない傾向にあります。
また託児所の特徴として、一緒に働く同僚の子どもへの知識や専門性という点が大きいですね。
先ほども触れた通り、託児所で働く場合は保育士資格は必要ないのです。
そのため働く人の中には「子育て経験はあるけど保育の知識はない」「子どもの病気等に関して全く知識がない」など様々な人が働いています。
一緒に働く職員が保育士資格を持っている人がいないとなると、保育園で働いたことがある人からすると不安点があるでしょう。
託児所で働く保育士の給料・年収はどれくらい?
託児所の正社員として保育士資格が持っている人が働く場合の給料は、手当込みの月収で16万円から23万円程度。
年収はボーナスを含めて平均で300万円程度となり、保育園で働く場合に比べると若干低い傾向です。
ただし、独立した託児所ではなく大手企業が従業員向けに運営している託児所だと月収・ボーナスともに高い傾向にあり、年収が400万円を超えるような場合もあるようです。
また託児所でパートとして働く場合の時給は1,000円から1,200円が一般的。週3、1日5時間で働く場合だと月収は60,000円~80,000円となります。
託児所で働く保育士の休みや勤務時間ってどんな感じ?
託児所は各施設の営業時間や営業日によって働き方が大きく異なります。
たとえば24時間営業で土日も営業している託児所の場合、勤務時間は深夜を含めたシフト制となり、休日も4週6休もしくは4週8休というシフトで休みをとるという働き方が一般的です。
商業施設に入っている託児所の場合は営業時間がそこまで長くない為、勤務時間は日によって大きく変わることは少ないです。ただし土日も営業しているのでこちらも4週6日、4週8日などでシフトで休みをとることになります。
一方、大手企業内の託児所の場合は会社の所定労働時間や稼働日に合わせることになる為、休みは曜日固定、休日数も多い傾向にあります。
その企業の年間休日が120日なら託児所で働く人も年間休日120日、土日祝に加え夏季休暇、年末年始に大型の連休がとることが可能です。
【参考】保育士がシフト制勤務で働くことのメリット、デメリット
【参考】保育士の平均年間休日数や他業種との比較。やっぱり休みは少ない?
人によってはデメリット?保育士が託児所で働く時の注意点とは
先ほども紹介した通り、保育園と比較すると保育士の負担は少なめです。
しかし人によってはそれがデメリットになることもあります。
保育士が託児所で働く場合の注意点は以下の通りです。
- 子どもの年齢は人数も毎日異なるため保育内容に悩む
- 初めましての子どもと関わる大変さ
- 保護者との関わりもその日が初めて
- 保育のスキルアップは望めない
たとえば託児所で保育する子どもの対象年齢が「2歳~小学3年生」の場合、そういう場合はグループ分け等で対応するとは思いますが、同じ室内に2歳児と9歳の子どもがいるとなると少し危なっかしいような気がしますよね。
同じ遊びをするにしても年齢差があると盛り上がらないこともあるので、保育内容に関しては当日の子どもの状況や託児所の環境によって大きく左右するでしょう。
また「保育士としての技術を向上させたい」と思っている人にとっては不十分な環境です。
他にも「子どもと密に関わりたい」「子どもの成長の
1人ひとりの子どもに対してじっくり関わることができますが、先の見通しを持って子どもの成長を考えることはありません。
一時的子どもを預かり一緒に遊ぶだけなので保育園のように、子どもと仲が深まることも難しいでしょう。
他にも既に保育園で務めたことがある人は、保育士免許を持っていない人との価値観のすり合わせ等にも最初は苦労するかもしれません。
意外と大変そう・・・しかし働く保育士にメリットもある
意外と大変そうな託児所ですが、働く上でメリットもあります。
託児所で働く保育士のメリットは以下の通りです。
- 圧倒的に事務仕事が少ない
- 残業もない
- 外遊びもしなくて良いから楽
- イベントも殆どない
- 保護者支援も殆どしない(保護者との面談等がない)
一般的な保育園ではPM2.5や黄砂、また熱中症の心配がなければ外に行って子ども達に気分転換をさせたり、体を思いっきり動かして発散できるようにしています。
一方託児所は外遊びがない分、日焼け等も気にしなくて済みます。
また外に行くことによって怪我等の危険性や準備等の忙しさもないということも嬉しいポイントですね。
そして先ほども触れた通り、圧倒的に事務仕事が少ないのです。
「がっつり子どもに関わりたい」「保育の技術を向上させたい」と思っている人には不向きですが「子どもが好きだけど、少し関わって遊びたいくらいの気持ち」「残業をしたり、事務仕事に追われる毎日は嫌」「保護者との面談とか苦手」と思っている人にとっては丁度良い仕事かもしれません。
託児所に対して偏見を持つ利用者もいる・・・?
託児所に対して偏見を持っている人も少なくありません。
親は子どもを預ける時「安全な施設かどうか」「信頼できる職員かどうか」など厳しい目で判断します。
冒頭で説明したほどの知識はないかもしれません。
しかし親は「保育の質」に敏感なため「保育園より子どもに対する保育の質が低いのではないか」「保育士や看護師がいないのに大丈夫なのだろか」と託児所に対して子どもを預ける前から不安を感じている保護者もいるということを知っておいた方が良いでしょう。
知っておくことで自分が勤めた時にはどのようなサポートをしたら良いか考えることができます。
そんな中で運が悪く託児所の保育中、子どもが怪我をするとクレーム等に繋がる可能性もあります。
そんなトラブルは避けたいですよね。
もし託児所に興味がある人は実際に働き手となる自分にとって条件はどうか、また保護者の目線に立ちながら信頼できる託児所なのかどうか見極めて決めましょう。
また託児所に勤めた時は子どもの安全がないがしろにならないように施設の管理や職員同士で情報交換をしながら保育できると良いですね。
【参考】保育園を選ぶ上で重要な福利厚生とは?あるかないかでかなりの損をしてしまうかも
【参考】ブラック保育園の特徴や見分け方、残業代はしっかり出てる?有給休暇はとれる?
【参考】30代未経験保育士でも就職できる!これから保育士を目指す人も歓迎
興味がある人は託児所の求人を探してみよう
託児所で10年、20年働く人はなかなかいないかもしれませんが、数年の間だけ、空いた時間にちょっと仕事したい時には良い条件で働くことができるでしょう。
資格を持っている保育士がいると託児所への「信頼」があります。
保育園で働くのは疲れてしまったけど子どもと関わるのは好きという人は、副業や空いた時間で勤務するなどの働き方も良いかもしれませんね。
最近は施設内に託児所ができることも多いので、気になる人は求人で託児所を探してみてくださいね。
コメント