保育園を選ぶ上で重要な福利厚生とは?あるかないかでかなりの損をしてしまうかも

保育士の労働条件

保育士の皆さんは求人選びの時に何を重要視して選んでいますか。

給料や保育方針、場所などの他にも福利厚生が充実しているという点をチェックしている人も多いでしょう。

福利厚生を知っている人もどのような福利厚生が存在するのか、福利厚生が充実していないとどれくらい損するのか、知りたい人も多いはずです。

本記事では保育士の福利厚生について、求人を探す際に確実に選ぶべき福利厚生とは、などあなたの役に立つ情報を紹介します。

そもそも福利厚生ってなに?

福利厚生ってなんか従業員とは働き手が得するみたいなやつだよね。これが充実してたら、働きやすいとかなんとかって。

そうそう、でも詳しく説明してって言われても出来ないんだよね。とりあえず福利厚生が充実していたら働く側が得するってことはわかる。

福利厚生とは企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する給料以外の報酬、サービスのことです。

従業員のモチベーションアップのため、また企業側としては人材確保のために必要なものです。

たとえば保育士なら「ここで働くとこんなにいいことがあるんだ」という魅力ある保育園で働きたいですよね。

法定福利

法定福利とは、法律によって会社に義務づけられている福利厚生のことです。

ちなみに福利とは幸福や利益という意味があります。

働き手の健康を維持することや安全な職場環境を管理するためにそれにかかる費用を会社が負担してくれているのです。

法定福利と呼ばれる項目は以下のとおりです。

  • 健康保険
  • 厚生年金基金
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

そして会社によって支払う割合は異なりますが、これらにかかる費用は会社と従業員で支払います。

給料明細を見て「健康保険料と厚生年金、給料から引かれすぎ」と思っていても実は会社が半分ほど支払ってくれているのです。

もし会社が負担してくれなかったら、手取りが減ってしまうので今よりキツイと感じるでしょう。

法定外福利

法定外福利とは、法律に関係なく会社が独自で定める福利厚生のことです。

法定外福利は会社や保育園(事業主)によってサービスが異なるため、ここで他との差がでます。

法定外福利と呼ばれる項目は以下の通りです。

  • 住宅手当や社員寮、借り上げ社宅
  • 通勤手当
  • 退職金制度
  • 旅行やホテル宿泊代が割引などのサービス

そして他にも保育園には以下のような法定外福利があります。

  • 特別休暇(結婚休暇、忌引き休暇、リフレッシュ休暇)
  • エプロン貸与
  • 給食無料

上記で挙げた他にも沢山あり、法定外福利が充実しているとそれだけ働きやすく、得する内容がある可能性が高いです。

対象者は?派遣やパートの福利厚生は?

対象者について明確に記されている法律などは存在しません。

法定福利の場合は正社員ではない非正社員やパート職員でも対象者に含まれる場合が多いです。

そして派遣の場合、保育園で働いていたとしても福利厚生に関しては派遣会社の福利厚生を利用することになります。

ちなみに社会保険も派遣会社の方で加入することになります。

パートの場合にも一定の条件を満たしていれば社会保険に加入できるとしている保育園もあります。

社会保険の加入条件は以下の通りです。

  • 1年以上雇用されることが見込まれている
  • 勤務時間および日数が正社員の4分の3以上である
  • 週に20時間以上の勤務している
  • 年収106万円以上であること
  • 従業員が501名以上の勤務先
  • 学生でないこと(※学生も加入できる場合有)

しかし法定外福利に関しては「正社員のみ」などの条件がついている場合もあり、職員全員が受けられないものもあります。

ちなみに筆者の元職場の保育園でも正社員は住宅手当がでるけど、非正社員は住宅手当がでませんでした。

法定外福利の場合は会社・保育園の負担が大きいので、対象者の指定がある場合も珍しくないのです。

大きな法人で経営している保育園ならパートや非正社員に対しても差別なく、福利厚生を受けられる保育園もあるかもしれません。

福利厚生が充実している保育園を選ぶメリット

福利厚生を充実させないと保育園も求人を出しても人が入ってきません。

そのため待機児童の問題が深刻化していて「保育士が必要」という保育園では、かなり福利厚生が充実しています。

福利厚生が充実していれば住宅手当や通勤手当がでるので、生活の負担が軽減されるので働き手にはかなりのメリットですよね。

福利厚生は働く職員にも勿論、保育園(事業主)にもメリットがあります。

たとえば福利厚生を充実させると、求人を出すと人が集まりやすい保育園(事業主)に対する信頼性が向上するなどのメリットがあるのです。

そして「ここの保育園って職員のことよく考えてくれてるな」と働き手も満足度が上がり、保育園への愛着も沸きます。

愛着というのも結構大切なもので、ここで離職を食い止めることができれば保育園側にとってもかなりのメリットですよね。

実際に保育園の求人に記載されている福利厚生を利用すると、どんなメリットがあるのか以下で詳しく紹介します。

福利厚生が充実していたらどれくらい得する?

福利厚生に対して悪いイメージを持っている人はいないはずです。

福利厚生が充実しているということは「働きやすい」「信頼できる保育園」そんな印象をもっている人が多いでしょう。

代表的な法定外福利厚生で以下、どのような得があるのかを紹介します。

1人暮らしするなら家賃補助があるところを選ぼう

家賃補助とは、保育園(事業主)から家賃の一部を補助してもらったり、自己負担ゼロで職員が通勤しやすい住宅に住む制度です。

住宅手当の相場は、毎月5,000~20,000円程度になります。

寮・社宅・借り上げ社宅・宿舎借り上げ制度の場合は、自己負担ゼロもしくは少額負担が多いです。

最近の保育園の求人を見ると都内などでは社員宿舎借り上げ制度制度という福利厚生を導入している保育園があります。

宿舎借り上げ制度は、住宅手当と違って宿舎借り上げ制度は保育園側が職員から一部の家賃を徴収して、保育園側が支払うという流れです。

住宅手当のように給与として支給されるわけではないので、課税対象にならないというメリットがあるのです。

ただし宿舎借り上げ制度の場合は契約者が職員ではなく、保育園側(事業主)というところは注意しなくてはいけない点ですね。保育園が賃貸住宅を契約し、職員が住みます。

区市町村によって宿舎借り上げ制度の補助金額は異なりますが、たとえば東京都内で1番補助金額が多いのは千代田区で13万円です。

千代田区の場合、家賃の相場が1DKで12~14万円程なので13万円の補助金は十分だと言えます。

次に港区で11万円、他にも東京都では8万2,000円を限度額に定めているところが多いのですね。

条件が合うアパートやマンションがあれば、東京で人暮らしをしても家賃の自己負担がありません。

1人暮らしの1番大きい出費が家賃です。

給料が増えるわけではないですが、家賃代の出費を抑えられるだけでもかなり大きいです。

【参考】保育士の家賃補助。住宅手当や寮・社宅・宿舎借り上げ制度について詳しく解説

 

軽視できない日々の交通費や給食代、エプロン代

毎日仕事に行くだけでも交通費や昼食代、エプロンにかかるお金など結構な出費になりますよね。

まず通勤にかかる交通費です。

電車などを1か月定期で買った場合10,000~20,000円かかる場合もあるかもしれません。

次に昼食にかかる昼食代です。

保育士は基本的に自分でお弁当を持ってくるというよりは給食費を払って子ども達と昼食を食べる、あるいは休憩室で昼食をとりますよね。

ちなみに筆者の元職場の給食費は多いときで4,500円でした。主食は持参するスタイルです。

上記の二つ、「通勤交通費全額負担」「給食無料」という福利厚生がある保育園に就職した場合は出費はありません。

他にも保育士に欠かせないアイテムのエプロンにかかる費用です。

エプロンって毎日使うので意外とボロボロになってしまいます。

汚れたり、子どもに引っ張られてほつれたりしますよね。

エプロンは1枚2,000円のものもありますが、素材が良い物を選ぶと4,000円近いものもあります。

そしてエプロンは1、2枚だけでは毎日洗濯しなければいけません。

毎日使うエプロンの他にもなにかあった場合に変えも必要です。

最初に3枚準備するだけでも1万2千円がかかり、そのあとにボロボロになって買い足すとなると年間で必要なエプロンの枚数は5枚程でしょう。

これも「エプロン貸与」という福利厚生がある保育園なら、エプロンにかかる出費はありません。

 

将来の大事な資金となる退職金制度

退職金制度というのは、法律で義務づけられているわけではないので保育園によっては退職金制度を導入していないところもあるのです。

算出の仕方が複雑で共済によっても異なるのですが独立行政法人の福祉に特化しているサイト退職金のシミュレーションを参考にします。

たとえば退職金共済に入っている保育園で勤続年数5年働いた場合の退職金は57万4,200円です。

退職した時にまとまったお金をもらえるのは結構有難いですよね。

退職金は転職が完了するまでの間のつなぎや引っ越しをする場合は大切な資金になります。

福利厚生の充実している保育園との違い、損をしてしまうかも・・・

上記では福利厚生が充実した保育園に勤めた場合は、それぞれの費用がかからないことを紹介してきました。

それでは逆にこれらの福利厚生がない保育園に勤めた場合、福利厚生が充実している保育園と比べて具体的にいくら損をしてしまうのでしょうか。

以下で計算してみます。

1人暮らしの場合なら、かなりの損

宿舎借り上げ制度の福利厚生を導入していない保育園に勤めた場合、たとえば東京都千代田区で1DKに住むとしたら毎月13万円かかります。

場合によってはそれ以上かかってしまうかもしれません。

毎月13万円を計算すると年間156万円家賃代として給料から消えます。

交通費・給食費・エプロンにかかる出費

福利厚生が充実していない保育園に勤めた場合、交通費毎月15,000円と仮定すると年間18万円になります。

給食費は筆者の場合を例にすると毎月4,500円、年間5万4千円です。

エプロンにかかる費用は年間2万円になります。

退職金

先ほども触れた通り、福利厚生が充実している保育園に勤めた場合、退職金として入る支給される金額は5年勤務で57万4,200円です。

福利厚生が充実していない保育園に勤めた場合、退職金はゼロです。

そして同様の額を積み立てようとしたら年間11万5千円、毎月1万円を貯蓄していかなければなりません。

たとえば求人で月収20万円の保育園と月収21万円の保育園があった場合、給与も高い方が良いと思うかもしれません。

しかし月収21万円の保育園を選んで、そこの保育園に退職金制度がなかった場合、上記の貯蓄の話を踏まえると月収20万円の保育園と結局収入は同じということになります。

他にも求人で気になる保育園が多い場合、一見給与が高い保育園が良く見えたとしても「給料は他より少し低いけど、条件を含めるとこっちの保育園の方が総額は多い!」ということがあるのです。

全ての金額を合計した場合・・・

ちなみに保育士5年(25歳と仮定する)の平均年収額は343万円です。

平均年収は額面の値なので手元に残る残高とは異なりますが、参考までに計算すると以下の表の通りになります。

住宅手当 退職金 その他 平均年収との合算
福利厚生充実 +156万円 +57万4,200円 +25万円 581万4,200円
福利厚生なし 0円 0円 0円 343万円

※その他は交通費・給食費・エプロン代

極端な例ですが、福利厚生が整っている保育園とそうでない保育園を比較すると年収の約半分が減ってしまうのです。

同じ条件の生活をしていたとしたら、福利厚生が充実している保育園を選んだ方が生活に余裕があるのは間違いないでしょう。

今の保育園の福利厚生に不満があるのなら

え~うちの保育園、就業規則見てみたら退職金なかった・・・。30歳、40代で退職して退職金ないと切ないな~。

「ま、いいか」とあまり気に留めない人もいるかもしれないけど。長い目で見ると、かなり損するのが福利厚生だよね。

保育士友達や他の保育士が福利厚生が整っている保育園で働いていて、自分より待遇がはるかに良かったら、同じ保育士をしているのに損をしているような気がしますよね。

そして同じ保育士ということは、あなたも福利厚生が整っている保育園を選ぶことで同じ待遇をうけられるのです。

転職はすぐできることではありません。

時間がかかったり、園長に相談したり少し面倒くさい手間があります。

しかし転職の際少しの間、忙しい思いをするだけで条件の良い保育園で働くことができるのなら良いと思いませんか。

保育園を変えるだけで住宅手当が出る、交通費が出る、給食費の補助がでるなどの福利厚生があればかなり生活にも余裕が出てくるはずです。

もし現在働いている保育園に不満があるのなら、他の保育園はどのような福利厚生があるのか、求人をまずチェックしてみたら良いかもしれませんね。

求人を探す時のポイントは?自分にとって最低限必要な福利厚生

福利厚生が充実しているといっても、ただ項目が多いだけでは「条件の良い保育園」ということにはなりません。

抑えておきたいポイントは人によってそれぞれかもしれませんが、確実に抑えておくべきポイントをいくつか紹介します。

法定福利厚生

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

法定福利は義務になります。

法定福利がない場合は問題外なので、そういった保育園は選ばないようにしましょう。

法定福利は義務なので当然あるものと思っていても、法定福利さえ整っていない会社も中にはあるので気をつけてくださいね。

法定外福利厚生

  • 借り上げ住宅制度
  • 交通費支給
  • 退職金制度

最低でも上記に挙げた福利厚生が入っている保育園を選ぶと良いです。

それにプラス、保育園独自で福利厚生を充実させているところを選ぶと良いかもしれませんね。

※借り上げ住宅制度は東京都・神奈川県・千葉県以外の県や市町村の保育園には導入されていない

まとめ

おそらく待機児童の問題が深刻な地域は、保育士を早く確保しなければならないので、どんどんこういった保育士にメリットとなることに力を入れていいる傾向があります。

東京都や神奈川県などの待機児童が深刻な地域では福利厚生も充実して、給料も改善されていますが地方との格差がかなりありますよね。

これから保育業界全体が改善され、もっと保育士にとって働きやすい職場の環境が整っていくと良いですね。

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