保育士の退職金の相場は?退職金なしの保育園も多い?

保育士の労働条件

昔はつらくても厳しくても長く勤める方が良しとされた時代がありました。

最近では自分の理想の働き方を求めて転職しながら新な仕事で自分のキャリアを磨く人も多くなってきています。

長く勤めていても「もし違う仕事をしていたら自分はどんな生活を送っているのかな」と考える時が誰にでもありますよね。

この記事では一般的な退職金制度について、また保育士の退職金は保育園や勤続年数によってどれくらい差があるのかを紹介していきます。

退職金制度とは

退職金とは退職した労働者に対して支払われるものというのは皆さんご存知ですよね。

いま働いている職場から転職しようと思っても、仕事が決まるまでの生活はどうするのかと不安になる方もいると思います。そういったときに手助けしてくれるのが退職金です。

退職一時金制度退職年金制度の2つに分かれています。

退職一時金制度は退職時に一括して支給されます。一方で退職年金制度は一定期間あるいは生涯にわたり一定額を年金として支給される制度です。

そして一つ注意しておきたいことは法律で義務づけられているわけではないため、退職金制度がない企業が違法ということにはならないのです。

厚生労働省の「 退職給付(一時金・年金)制度の有無及び形態 」によると退職金制度を取り入れている会社の割合は、1000人以上の規模で従業員を抱えている大企業で退職金制度を取り入れている割合は77%です。そして300~999人で68%となっており、30~99人の規模の企業だと約26%となっています。

退職金の重要性

退職金の支給は義務じゃないから、働き手のこちらが職選びの時に注意しなくてはいけないということだね!

筆者は法律など全くわからないので就職したら誰でも退職金が支給されると思って気にも留めたことがありませんでした。

人間関係で退職する場合や転職先によっては引っ越しも考えられます。そのため大事や資金源になる退職金の重要性を感じずにはいられません。

せっかく思い切って転職を決断しても生活費が確保できないからといって焦って転職先を決めてしまうのは勿体ないですよね。

仕事で人生が決まるといっても過言ではないほど仕事選びは人生を大きく左右する大切な決断です。

以下では保育士の退職金の相場についてさらに詳しく紹介していきます。

保育士の退職金の相場は?

業種によって給料が違うように退職金の金額もそれぞれ差があるようです。以下の項目では保育園の中でも退職金の金額差があるのか気になりますよね。

保育士の退職金が一般的な職種と比べて低いのかなど以下で詳しく紹介していきます。

公立保育園の場合

地方公務員と同じ待遇で退職金制度があります。

公務員保育士の退職金算出方法は以下の通りです。

退職手当額 = 基本額 + 調整額
基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額

(参考:地方公務員の退職金手当制度

私立保育園の場合

私立保育園の場合は必ずある、そしてないとも言い切れません。

公立や私立に関係なく保育園によるのが現状ですが、私立の場合は通常は3年以上の勤務をしていないと退職金をもらえない場合があります。

私立保育園だと退職金なしの場合も多い?

私立保育園でも、退職手当共済制度等の補助を利用して退職金を支給してくれる場合も少なくありません(参考:厚生労働省「退職手当共済制度(保育所等)の公費助成について」)。

この共済制度によると国と都道府県、経営者つまり法人で支給財源を確保しています。

ただ保育園自体の負担がゼロになるわけではない為、この共済に加入していない保育園も少なくありません。

法人で退職金共済に加入している場合

各都道府県によっても異なるようですが法人で退職金共済に加入している場合があり、共済に入っていると退職金が支払われます。

算出の仕方が複雑で共済によっても異なるのですが独立行政法人の福祉に特化しているサイト退職金のシミュレーションをしてくれます。

正確な金額を割り出せなくても参考にはなるのではないでしょうか。

退職金共済に入っている保育園と仮定した場合

法人で退職金共済に加入している場合、2パターンで退職金を計算すると以下のようになります。

1つ目、保育士の平均勤続年数である8年、月収の全国平均23万円の保育士が自己都合により退職した場合の退職金は約91万9千円です。

2つ目、同じ保育園で3年間働き、平均月収17万円の保育士が自己都合により退職した場合は約25万円です。

退職金制度の有無は労働契約時にチェックしておいた方が良いです。なお、退職金制度を取り入れているのかどうかの記載は法律で義務付けられています。

ちなみに一般企業の場合だと?

一般の中小企業だと保育士とは異なる共済に加入することになります。

中小企業退職金詳共済事業本務でもシミュレーションができるもで計算してみましょう。

ただし一般企業だと毎月の掛け金や年齢によっても退職金額が変わってきます。一般企業の場合、毎月の掛金1万円で3年間納付した23歳の人の場合は36万円です。

とはいえ給料形態なども全く違うので正確な比較はできません。しかし金額だけを見ると保育士の方が少なく感じてしまいます。

退職金の支払日、税金の優遇措置

退職をすると決断しても「退職金はいつ入金されるのか」と退職金の支払い日を知っておかないと転職する時期など目途が立ちませんよね。

退職金がもらえるのは良いのですが退職してすぐにもらえるわけではありません

退職金の支払日

保育士の場合は福祉の共済なので独立行政法人福祉医療機関を参考にします。以下にあるように2か月後に支給されることが多いようです。

たとえば3月に退職した場合は5月頃に支給されます。

しかしこの場合も5月に必ず支給される訳ではなく、5月以降になる場合もあるという事を頭に入れておかないといけません。

「退職手当金請求書・被共済職員退職届」が機構に到着してから2か月程度で支給となるよう努めています。
(なお、4~8月にかけては、3月末退職者からの請求が多いため支給までの時間が2か月以上かかることがあります。ご理解いただきますようお願いいたします。)

(引用:独立行政法人福祉医療機関)

ちなみに一般の中小企業の場合は以下の通りです。

退職金の支払いは、請求を受け付けてから通常のケースで約4週間でお支払いいたしております。ただし、退職金は退職された月までの掛金の入金を確認してからお支払いすることになりますので、事業所の掛金の納付方法等によっては2か月以上かかることもあります。

(引用:中小企業退職金共済事業本部)

上記を参考にすると一般の中小企業を退職した場合も保育士として退職した場合も2か月程はかかるということですね。そしてどちらの共済にも2か月以上かかることもあると記載されています。

退職金にかかる税金

退職金は勤務先に所定の手続きをしておけば源泉徴収で課税関係が終了するので、原則として確定申告をする必要がありません。(参考:国税庁の「退職金と税」

なお退職金は長年の勤労に対する報償的給与として一時的に支払われるものなので、他の所得と分離して課税されるなど税負担が軽くなる配慮されています。

保育士が退職金があるかないかをチェックする為の方法

退職金があるかないかは、就職する前に調べる方法があります。

退職金については求人に記載している場合が多いのでそれを確認すると良いです。どういったことをポイントに見たらいいのかを以下の項目で紹介していきます。

求人票で「退職金制度あり」となっているか

退職金があることは求人を行う会社・保育園側にとってアピールしたいことであり、基本的には記載されていることがほとんどです。

退職金があるのかどうか記載があっても新卒の保育士の中には、よくわからないと感じる方もいるかもしれません。

そういったときは電話で直接、保育園側に確認すると間違いもなく不安が解消されます。大切なことなので聞いたからといって変に思われることはないでしょう。

雇用契約時に退職金ありと通知されているか

退職金がある場合はそれを通知することが法律で義務付けられてるのです。

就職した際に保育園側から説明があると思いますので、そこで退職金についての情報が提示されます。

就業規則に記載があるか

労働基準法(第89条)では常時10人以上の労働者(アルバイト・パート含む)がいる場合は就業規則を作成し、行政官庁に届け出が必要です。かつ労働者が見れる体制を作っておかなくてはならないのです。

就業規則には退職金制度について書かれているので必ず退職金の有無を確認しましょう。

ただし退職金は必ず支給しなければならないものではないため、退職金制度がなければ記載はありません。

先輩に聞いてみる

すでに働いている知り合いがいるのであれば、先輩に話を聞いて確認してみるのが1番早く確実ですね。求人を見てもわからない場合、保育園側に電話や面接時に園長や理事に聞くより気が楽です。

また就業規則を設けてない場合にも「退職した人が実際に退職金をもらっているのか」を確認して、貰っていれば過去の慣例があればそれに従うことになります。

最後に

現在働いている職場を理由があって退職したくても、退職後の計画が必要になってきます。2か月後の支給になるとはいえ、少しでもお金が入ると助かりますよね。

そして筆者は今まであまり退職金について考えたことがありませんでしたが、人生設計をするうえで大切なことだと改めて知りました。退職金のことも頭に入れながら就職先、転職先を探していきましょう。

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