共働き家庭の幼児教育。習い事に通わせる時間が中々取れない場合、どうすればいい?

幼児教育について

共働きしながら子供を育てている家庭では、「十分な幼児教育ができていないのでは?」と悩む人も多いかもしれません。

毎日忙しいですが、子どもの将来の可能性が広がるなら、習い事をさせてあげたいと思うのが親心です。

そこで、限られた時間の中でもできる幼児教育と親ができるサポート、母親の負担を減らす対策方法についてご紹介します。

幼児教育に悩む共働き家庭は多い

共働き家庭では育児と家事、仕事をこなさなければならないため、毎日が時間との戦いです。

共働き家庭の場合、どうしても母親への負担(仕事と育児)が大きくなってしまう傾向がある為、くたくたに疲れている方も多いでしょう。

たとえば「子供の話をゆっくり聞いてあげたい」「一緒に遊んだりしてあげたい」と思っていても、やることがいっぱいありすぎて、後回しになってしまう場合もありますよね。

こんな状況の中で幼児教室などの習い事を子どもに通わせたら「子どもや自分にとっても負担になってしまうのでは・・・」「でも、そろそろ将来の事も考えて習い事の一つくらい」と悩む事も・・・。

そして、子供に寂しい思いをさせているのではないか、必要な幼児教育が足りていないのではないか等、今一歩、踏み出せないという家庭は多いのではないでしょうか。

共働き家庭の幼児教育に対する悩み・不安

以下、共働き家庭が抱える幼児教育に関する悩みや不安について紹介します。

一緒に何かをやってあげられる時間が少ない

たとえば、平日の朝。

自分や旦那さんの仕事の準備、子どもの幼稚園や保育園の支度で慌ただしいです。

そして、夜は仕事で疲れていても、夕食を準備して、子どもに夕食を食べさせてお風呂に入れて・・・となかなか親子でゆっくり関わる時間が無いですよね。

時には、急いでるあまりイライラして、怒ってしまうこともあるでしょう。

一方、子供が眠ってから帰宅する父親の場合、平日は子供と触れ合う時間が殆どありません。

そのため、両親が子供の話を聞いたり遊んだりできるのは、休日のみということになります。

上記のような家庭は沢山あり、お子供と一緒に何かをやる時間が足りていないと感じている両親は、少なくないでしょう。

こんな状況の中で習い事をさせてしまうと「更に親子の関わりがなくなってしまうかも」「子どもを疲れさせてしまうかも」と不安になってしまうのです。

習い事に通わせることができない

幼稚園や保育園のお友達が始めた習い事に、自分も行きたいと子供が言ってくる場合があります。

たとえば3歳以降になると、英語やピアノ、プールや運動系の習い事をする子が多いです。

しかし、習い事の時間帯は平日の夕方に多く、送り迎えや付き添いも必要なので、習わせたいと思っても時間の確保が難しく断念しなければならない場合があります。

共働き家庭場合、習いごとの為に母親か父親のどちらかが「習い事の為に仕事を早く終わらせる」「有給を時間単位で使う」なんて、職場に気を使ってしまってなかなか言えないでしょう。

子どもの将来を考えると、決して「そんなことで」という内容ではないのですが、理解してくれる職場は珍しいです。

そのため、「何か習わせてあげたい」と思ってもなかなか習い事に通わせてあげることが出来ません。

保育園と幼稚園の教育格差はある?それとも習い事が子どもの知能と関係している?

「幼稚園と保育園で教育の格差があるのか」「習い事をしてる子と習い事をしていない子はどのように違うか」という点が気になる保護者も多いでしょう。

実際に明確な答えはありませんが、以下の2つの研究結果を紹介します。

保育園卒の子どもよりも幼稚園卒の子どもの方が学力が高い?

保育園の管轄は厚生労働省の為、保育園では遊びや生活習慣のトレーニングに力を入れてると言えます。

一方、幼稚園の管轄は文部科学省の為、幼稚園では読み書きや簡単な算数を教えるのです。

上記の点から、保育園と幼稚園とでは、学力に差が出ると言われています。

平成22年7月文部科学省幼稚園課がマスコミに発表「幼児教育が学力に与える影響」は、以下の通りです。

保育園と幼稚園の学力格差に関する調査結果・・・

幼稚園卒の子どもは保育所卒の子どもよりも成績が高い。(この調査は幼児期の教育の大切さを検証した初めての調査)

※上記は、文部科学省が平成21年、23年、27年、29年に行った小学校6年生に対する全国学力調査を参考にし「実際に保育園と幼稚園でが学力に差が出るのかどうか」という点を調査しています。

上記にもある通り、保育園を卒業した子どもよりも幼稚園を卒業した子どもの方が学力が高いという調査結果です。

そして、この文部科学省の発表に対して、ある教育社会学者は以下のようなコメントをしています。

学力格差は経済格差を反映している。保育所卒の子どもの学力が低いのは,保育所の方が,幼稚園通園家庭よりも低所得層が多いためではないか。

【引用】学力格差は幼児期から始まるか?経済格差を超える要因の検討

収入の高い家庭が多い幼稚園の子供の方が学力も高いと言っているのです。

確かに収入の高いということは、それだけ、子どもの教育に対して、お金がかけられるという意味でもあるかもしれませんね。

他にも、保育園や幼稚園の違い以外に要因があるのではないか(習い事による差)と考えた人による調査結果を以下、紹介します。

保育園・幼稚園の違いではなく、習い事をしている子の方が語彙力が高い

十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・和田伸子先生の学力格差は幼児期から始まるか?経済格差を超える要因の検討の調査を参考にしてみましょう。

上記の文部科学省が発表した「保育園卒と幼稚園卒で学力の差が出る」という点に疑問を持った内田伸子先生(発達心理学、認知心理学、保育学が専門)が、文字を書く・読む能力について調査したところ、収入の格差による差はありませんでした。※

※・・・読みと書き、つまり模写能力においては5歳になると家庭の収入による差がなくなる(手指の運動調整能力)

他にも、以下のような記述があります。

「子ども中心の保育」で自由遊びの時間が長い幼稚園や保育所の子どもの語彙得点が高い。語彙得点の差は保育の仕方によって生ずるもので,園種は関係ないことが明らかになった。すなわち,小学校の教育を先取りして学習を導入している一斉保育の幼稚園や保育園に比べて,子どもの自発的な遊びを大事にしている自由保育の幼稚園や保育園の子どもの語彙得点は高い。

【引用】学力格差は幼児期から始まるか?経済格差を超える要因の検討

つまり、保育園や幼稚園に関係なく(勿論、保育園の種類にも関係なく)子どもの自発的な遊びを大切にしている保育園や幼稚園の方が子どもの知能が高いという事。

自由遊びを取り入れいている保育園の例を挙げると、代表的なのはモンテッソーリ教育でしょうか。

上記の調査は、日本だけでなく韓国や中国、ベトナムなどの5か国の国際比較短期追跡調査をしており、ソウルでも同じ結果だったそうです。

そして、上記の調査では、保育園・幼稚園に関係なく、習い事をしている子の方がしていない子より語彙能力が高いという結果。

さらに、習い事の知育系と運動系で語彙能力を調査した結果、大きな差はありませんでした。

つまり、習い事の種類に関係なく、周囲の人とコミュニケーションを取ることが子供の語彙力を高めていることが分かったのです。

実際、語彙の豊かさは知能に深く関係しており、語彙の多い子ほど知能も高いと考えられています。

上記を参考にした場合、幼児期に行う幼児教育(習い事)は、子どもにとって良い影響を与えるということでしょう。

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幼保一元化によって縮まる格差、結局どうしたら良いのか

幼保一元化というのは、認定こども園を指します。

内閣府「認定こども園概要」によると、認定こども園は教育と保育を一体化した、両方の良さを併せ持つ施設です。

「幼保一元化」によって、幼稚園と同様のカリキュラムで保育に取り組むところが増えているという事。

仮に、保育園と幼稚園に差があるとしても、幼保一元化によって保育園と幼稚園の差は更に縮まっていると考えて良いでしょう。

結局、どうしたら良いの?

そして、上記の調査を参考にまとめると、保育園と幼稚園の差が気になる人は「認定こども園を選ぶ」ことで問題はなくなるという事ですね。

しかし、今は待機児童の問題がある為、親が保育園や幼稚園を選べない、もしくは入園することすらままならない状況の家庭もあるはず・・・。

そういう場合は、上記の内田伸子先生の研究結果を参考に、習い事をさせて沢山の人と関わる機会を作り、語彙力を高めるという方法を試してみると良いかもしれません。

しかし、共働きの場合は、習い事をするのが難しいという事も考えられます。

上記の内田伸子先生の研究結果は、周囲のコミュニケーションを増やすためのツールとして適しているのが習い事(幼児教室など)ということであり、周囲のコミュニケーションがあるなら、習い事を無理にさせなくても良いと捉えることも出来ますよね。

そのため、共働きで子どもに習い事をさせるのが難しい場合は、他の人と関われる施設(児童館や公園、町内の祭りなど)に積極的に参加するなどの工夫をしてみると良いのではないでしょうか。

共働き家庭が幼児教育をする上で大切なこと

以下、共働き家庭が幼児教育をする上で大切なことを紹介します。

強制型しつけではなく、共有型しつけを意識する

幼児教育の内容や機関は、親が「〇〇を習わしたい」から子どもに習わせるのではなく、あくまでも子ども主体で考えましょう。

たとえば、親がどんなに「将来、〇〇は絶対に役に立つから」と言って、習い事をさせても、子どもが「嫌」「習いたくない」と感じている場合は、効果ナシ。

むしろ、その習い事(運動・勉強など)を嫌いになってしまって、小学校・中学校でも苦手意識を惹きづってしまうのです。

ちなみに、先ほど紹介した済格差を超える要因の検討調査の中には「強制型しつけ※1」よりも「共有型しつけ※2」の方が良いという紹介があり、強制型しつけをしてしまうと、子どもの語彙が低くなることにも触れています。

※1・・・強制型しつけとは「自分の思い通りに子どもを育てたい」「子どもが言うことをきかないなら罰を与えるのは当然」低所得層にも高所得層の家庭にも多い

※2・・・共有型しつけとは、子どもを一人の人格を持った存在として尊重し、子どもとのふれあいや会話を大事にしていて楽しい経験を子どもと共有しようとするしつけ

しかも、幼児期のリテラシー※や語彙力は自動機の学力テストにも影響するという調査結果から、乳幼児期には習い事や勉強を強制するよりも以下の共有型のしつけをした方が効果的ということを述べています。

※リテラシーとは・・・読み書き能力。与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力。(コトバンク引用)

共有型しつけ例・・・

  1. 子どもと一緒に遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませる
  2. 思いっきり遊ばせる
  3. 遊びの時間を子どもと共に過ごす事(絵本の読み聞かせ等)

【参考】(難関校突破組は子ども時代によく遊んだ〔絵本の読み聞かせ習慣も⇒読書好き〕 (内田,2014より)

幼児教育は重要ですが「親の自己満足」にならないように気をつけましょう。

夫婦間のすれ違いを防ぐ、幼児教育に関して話す時間を作る

まずは、夫婦間でどんな子供に育てたいのか、どんな目的で習い事をさせるのかなど教育の方針を話し合うことが大切です。

送迎や費用の関係もあるので、どちらか一方が勝手に決めてしまうと、「あなたが言い出したことでしょ、私関係ない」とすれ違いになり、「あなたが言い出したことでしょ、私関係ない」とすれ違いになり、後々トラブルになりかねません。

この時に、たとえば「毎週どれくらい」「費用はどれくらいまで」「交通手段は・・・」など、より具体的に相談しておくことが大切です。

同じ立場で同じ悩みを持っている友人をつくる

共働き家庭の大変さは、同じ立場の人の方が共感してくれます。

子供の保育園や幼稚園、職場の同僚などの中からママ友を作って相談してみましょう。

習い事の情報交換などもできると心強いですよね。

自分では思いつかなかった「もっと取組みやすい幼児教室や教育法」を知るきっかけにもなります。

日常生活的に幼児教育を取り入れる

幼児教育に対して「何かと特別な教室や資格を持った人でなければ幼児教育は出来ない」という印象を持っている人もいるかもしません。

しかし、幼児教育で最も大切なのは、習い事に通わせるよりも家庭での過ごし方です。

実際に、家庭でも簡単に幼児教育を取り入れることが出来ます。

幼児教室は環境が整っている為、より効果的な幼児教育が受けられる可能性が高いですが、家庭でも少し意識をするだけで幼児教育になるのです。

たとえば以下の通りです。

家庭でも簡単に取り入れる事が出来る幼児教育・・・

  1. 規則正しい生活を送る
  2. 子どもに手伝いをさせて、褒めてあげる
  3. 知育系のパズルを一緒にする、絵本の読み聞かせをする
  4. 休日に陶芸教室に行く、動物園や地域の祭りに参加する
  5. 夜ご飯は家族皆で食べて、その日のあったことを話し合う時間を作る

時間は短くても大丈夫。

大切なのは時間の長さではなく、子どもとしっかり関わる事。

時間は短くても濃密にスキンシップを取っていれば、子供の心は安定し、育っていきます。

たとえば、1日食後に30分、知育系のパズルを一緒にしたり、寝る前は必ず1冊絵本の読み聞かせをしたり、休日には体を動かしてボール遊びをする等、短時間でも子供と遊んであげると良いですね。

知育系の玩具は、今はネットや本屋さん等で簡単に手に入りますよ。

他にも上記にある通り、ご飯はできるだけ家族と食べるようにして、その日にあったことを話し合ってみましょう。

コミュニケーションを取ることで、子供が何に興味を持っているかを知ることができますよね。

たとえば、子どもが「親が自分の話を聞いてくれる」「大切にしてもらっている」と感じることで、自尊心を育てることが出来ます。

そして、家庭で行う幼児教育は、最も大好きな人(親)と1対1という特別な幼児教育です。

これは、習い事ではできない幼児教育と言えます。

毎日の生活の中で積み重ねていきましょう。

マイペースで、無理はしない

仕事を終えてから、家事や育児をこなす毎日。

仕事や家事、育児に追われていると、心の余裕を失ってしまいます。

無理をした結果、ストレスをため、子供に当たるようなことがあると逆効果・・・。

つい、イライラして子供や家族に八つ当たりするのは、お互い辛いですよね。

そんな時は無理をしないで、冷凍食品や宅配サービス、時短家電を活用してみましょう。

また、家族やベビーシッター等のサービスに家事や子供の送迎などをお願いしてみるのも良いですね。

自分がするよりもお金がかかってしまうかもしれませんが、時間は二度と戻ることは無いのですから、決して無駄なお金ではありません。

上記は贅沢ではなく、家族の為に自分の為に時間を有効に使い、自分の体力をより優先すべきこと(自分を休める・子どもとの時間を作る)ことに充てる為です。

たとえば、毎日使ってしまうとお金の面で大変なことになりますから「〇曜日は外食」「〇曜日は家事は手抜きして子どもと遊ぶ」「今日はもう頑張らない」等、マイペースになること、自分の機嫌を取ることも重要。

時間に余裕ができると、心にゆとりができて家族とのコミュニケーションもスムーズになります。

幼児教室は土日でも参加可能、まずは体験してみる

幼児教室は通っているその時間だけではなく、普段の日常生活での幼児教育に関する指針にもなるので、体験に行くだけでも勉強になります。

幼児教室は体験レッスンを行っているところが多いので、参加してみると「これ、自分の家でもできそう」ということが見るかるかもしれません。

平日は難しくても土日なら時間があるという家庭は、土日に開催している幼児教室を探してみましょう。

幼児教室では、専門家からの客観的な意見が貰えるので、自宅での幼児教育のヒントを得られます。

まずは、家庭の中で幼児教育に取り組んでみよう

共働き家庭では、子供と接する時間が少ないことや習い事などの面で、幼児教育が足りていないと悩む人が大勢います。

しかし、子供と一緒にいる時間が長いからといって、子供に必要な幼児教育ができるというものではありません。

上記でも触れた通り、時間の長さよりも内容だということを念頭に置いて、できるだけ子供とスキンシップを取るように心がけ、短時間でも有意義な時間を過ごすようにしたいものです。

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