「給料が安い」ことが保育士の仕事を離職する原因の上位にあります。
現在保育士として働いている皆さんでしたら殆どの人が感じたことがありますよね。
そのため平成25年から処遇改善の政策が行われました。
保育士の給料に関する大切な政策ですが説明が難しく、内容をしっかり把握できていない人も多いのです。
本記事では処遇改善手当についてわかりやすく紹介していきます。
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処遇改善手当とは?
処遇改善手当は正式に「処遇改善等加算」と言います。(※以下「処遇改善手当」と呼ぶ。)
しかし保育士同士の会話の中で実際に出てくるのは「処遇改善手当」なのでこちらの方が馴染みがありますね。
政府が保育士の待遇改善のために平成25年から平成29年までの4年間で月額2万千円の給与増額を目指してこの制度をスタートさせました。
平成29年年4月より全ての保育士を対象に2%(月額約6千円)の給料の上乗せを実施しました。
また新たに副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダー(現在の時点では仮称)という役職が新設し、勤続年数や役職により、処遇改善手手当の金額差があります。
園長と主任保育士を除いた保育所で勤める全ての人たちが対象になっています。
厚生労働省の資料の留意事項にもある通り「月額4万円の配分については保育園等の判断で技能・経験を有するその他の職員に配分することができる」と記載されています。
つまり金額の指定は保育園側が行います。
保育園で働いている職員の給料水準やバランスを配慮し、上限の月額5千円以上4万円以下の中で、保育園側が自由に決定できるのです。
そのため違う保育園で働いている友人に比べて自分は全然支給額が少ないなんてこともよくあるのです。
処遇改善手当の目的
処遇改善手当の目的を簡単に言うと保育士の給料UPとキャリアアップの2点になります。
近年では保育士の離職率が高く、また待機児童の問題も深刻になっています。たびたびニュースやネットでも話題に上がるようになってきました。
そのために国としても対策をしなくてはなりません。待機児童の問題を解決するには、保育園を増やすのも大事ですが、そもそも保育士の確保が必要になります。
しかし保育士の離職は上がる一方で、また保育士資格を持っていても保育士という仕事に魅力を感じないため潜在保育士が多くいるのが現状です。
それではなぜ離職する人が多いのか、冒頭でも述べたように保育士を辞める理由には「給料が安い」というのが上位にきています。
その問題を解決するため国として予算を組み、保育士として働く人が増えるように政策を打ち出したというわけです。
技能や知識を習得できるようにキャリアアップの研修をして保育の質を上げ、給料アップの仕組みを構築しするのが目的です。
このキャリアアップは「保育士の給料は年数を重ねてもあまり上がらない」という現状を改善する目的だと感じます。
既に保育士資格を持っている潜在保育士の人も、保育士として働き待機児童の問題を解決してほしいということですね。
処遇改善手当の支給日、支給方法
国からの処遇改善手当は一度保育園に支給されて、その後保育士の給料と合わせて振り込まれる場合が多いです。
そのため給料日と一緒の支給日、支払い方法となります。
ちなみに、給料明細や求人の際にも基本給と処遇改善手当は別枠としての扱いなので求人の場合は「基本月収22万円~(処遇改善手当6千円含む)」と記載しなくてはいけません。
正しく記載していない場合もありますので求人を見る際にはチェックしてください。
勤続年数に応じて役職がもらえる?そのために研修もあり
今まで保育士の役職といえば園長や主任くらいしかなく、長く勤めていても役職ももらえず給料が上がることもなかなか難しいのが実情でした。
しかし新設された役職により、保育士の役職を増やし、その役職に応じて手当が支給されるようになりました。
新設された役職の要件・手当の金額について
先ほども触れましたが保育園で働く全ての人を対象に月額5千円以上4万円以下処遇改善手当があります。
さらに現時点では仮称ですが園長・主任保育士の下に副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダー(現在の時点では仮称)という役職が新設されました。(参考:厚生労働省 保育士処遇改善推移)
施設の職員数の概ね1/3が対象となる副主任保育士の要件は以下の通りです。
副主任保育士の要件
- 経験年数概ね7年以上
- 職務分野別リーダーを経験
- マネジメント、3つ以上の分野の研修を修了
- 副主任保育士としての発令
※公定価格上の職員数全体(園長等の管理職を除く)の概ね1/3を対象とする仕組みになります。
施設の職員数の概ね1/5が対象となる専門リーダーの要件は以下の通りです。
副専門リーダーの要件
- 経験年数7年以上
- 職務分野別リーダーを経験
- 4つ以上の分野の研修を修了
- 専門リーダーとしての発令
以上2つの新設された役職の保育士は月額4万円の処遇改善があります。
職務分野別リーダーの要件は以下の通りです。
職務分野別リーダーの要件
- 経験年数3年以下
- 担当する職務分野の研修を修了
- 修了した研修分野にかかる職務分野リーダーとしての発令
※この職務分野別リーダーは同じ分野について複数の職員に発令してもよいものです。
以上の職務分野別リーダーは月額5千円の処遇改善があります。
キャリアアップ研修って何するの?
初めて聞く人にはキャリアアップと言われても具体的に何をするのかわかりませんよね。
以下のような研修分野を習得します。
習得したことにより、新設された職務分野別リーダーや、副主任保育士としての要件を満たすことになるのです。
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
- 保育実践
- マネジメント
以上の研修は都道府県等が実施しています。
引っ越ししてその土地で保育士をする場合も研修修了の効力は引き続き有効となります。
転勤族のお母さん保育士にとっては研修を受けなおさなくていいのは有難いですね。
そして就職や転職の時に「今の土地で良い求人がない!」という時は思い切って好条件の保育園がある土地に行き、研修修了の効力が有効なら実践力をアピールできます。
研修を既に受けて技能を身に着けている転職する人や、産休育休から復帰して職場を変える人にとっては全国どこへ行っても研修修了が有効なのは転職する人にとっては有難いですね。
以下のリンク記事ではキャリアアップ研修について詳しく紹介しています。
気になる方は読んでみてくださいね。
【参考】保育士がキャリアアップするメリットや、キャリアアップする為に行う具体的なこととは?
処遇改善手当に関するQ&A
処遇改善手当の説明が「なんだかわかりづらかった」という人もいるかもしれません。
処遇改善手当は直接、給料に関わってくるため知っておきたいことが沢山ありますよね。そして疑問に思うこともでてきます。そんな疑問点に関するQ&Aを以下で答えていきます。
処遇改善等加算1と2の違いは?
処遇改善手当ってよくわからないけど、とにかく給料が上がるっていうことだけは分かる。でもそもそも自分にも適応されるのかな?勤続年数によって金額は変わるのかな?
なんか説明聞いたけど、周りの保育士の友達も詳しいことはよくわかってないみたい。疑問点が次から次へと…。
平成30年度内閣府の子ども・子育て本部の「子ども子育て支援制度の資料」を参考に紹介します。
処遇改善等加算1の内容
処遇化全加算1の内容は、職員の平均勤続年数に応じた処遇の改善、人件費等の加算のことです。
また対象者は職種に関わらず施設に勤続する非常勤職員やパート、調理員などを含める全職員です。
処遇改善等加算2の内容
処遇改善等加算2は2017年に導入されました。内容は新設された副主任保育士や職務分野別リーダーのなど、キャリアアップの仕組みの構築のことです。
対象者は園長や副園長、主任保育士を除いた通常の保育・教育に従事する職種、職員が対象です。非常勤職員も含みます。
先ほど紹介した副主任保育士や職務分野別リーダーの要件を満たす人ということです。
無認可保育園と認可保育園で違いはありますか
処遇改善手当の支給は認可保育園のみとなっています。
無認可保育園(認可外保育園)に対する支給はありません。
パートや派遣でも処遇改善手当は貰える?
処遇改善手当は園長・主任保育士を除く園で働く全ての保育士が対象となるので、派遣社員の場合も対象となります。派遣元事業所を通じて処遇改善が確実に行われなくてはいけません。
- 派遣保育士
- パート保育士
- 栄養士
- 調理員
他にも処遇改善手当をもらえる対象は、スクールバスの運転手なども含まれます。
処遇改善手当は産休・育休中はもらえますか
産休・育休中は保育園からまた日本保育協会の「処遇改善に関するよくある質問」によると、処遇改善等加算Ⅱの対象者が育休を取得した場合、育休休業期間中は給料自体が支払われないため、処遇改善額もゼロになると答えています。
処遇改善手当がもらえない人はいますか
延長保育事業や併設されている放課後児童クラブなど通常とは別の事業で働いている人は対象外となります。
実は国から保育園等に「処遇改善手当」として支給される補助金の使い道は経営者に任せられています。保育園側が決めることなので、もらえる保育園ともらえない保育園があります。
保育園次第なので正社員でも必ず貰えるとは限りません。この処遇改善手当は「全額を保育士の給料に充てる」という決まりはなく、手当の使い道が保育園側に任されています。
国としては保育士の処遇改善が目的ですが、規定がされていないため保育園の設備投資や内部保留金に充てられてるケースがあるのです。
処遇改善手当のアップ率を教えてください
以下は政府が公表している「保育分野の現状と取り組みについて 保育士の処遇改善推移」によると、保育士の処遇改善は年々上がっているのです。
年 | 増加率 | 金額 |
H25年 | +約3% | 月額9,000円 |
H26年 | +約5% | 月額15,000円 |
H27年 | +約7% | 月額21,000円 |
H28年 | +約8% | 月額26,000円 |
H29年 | +約10%+最大4万円 | 月額約32,000円アップ+最大4万円 |
平成30年4月1日全国待機児童マップから東京都の待機児童を参考にしても未だに5,414人います。厚生労働省の保育所等関連状況取りまとめの「保育所等待機児童数の状況」によると平成30年度の待機児童数は19,859人です。
待機児童の問題が解決するまでは処遇改善手当が続く可能性が高いです。
平成31年度の処遇改善手当は?いつまでもらえる?
政府は処遇改善手当の期間について明確に定めていません。
処遇改善手当の政策が行われてから平成31年度現在で7年経ちましたが未だ待機児童の問題が解決していないのですからまだまだ保育士の確保は必要となります。
処遇改善手当によって給料は上がったの?
「もらえる人がいたり、もらえない人がいたり…実際の保育士の給料は本当に上がっているの?」と気になるところです。
処遇改善手当によって保育士の給料は本当に上がったのでしょうか。
他にもこの政策に対して保育士から改善を求める声が上がっています。この政策の具体的にどういうところが問題なのか、以下で紹介します。
保育士の全国平均年収のアップ率
厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」保育士の平均賃金によると、保育士の年収は平成25年から以下のように上がっています。
平成25年 | 310万円 |
平成26年 | 317万円 |
平成27年 | 323万円 |
平成28年 | 327万円 |
平成29年 | 342万円 |
処遇改善手当が無かったころに比べると32万円、割合にして1割程度アップしているとのことです。
元の水準が低かったとはいえ、数字上は大幅アップしていることがわかります。
【参考】保育士の給料はいくらくらい?平均年収や月収、ボーナスまとめ
給料アップに満足できていない人も
数字としてこれだけ上がっていますし、実際に私も処遇改善手当という名目での手当を頂いていました。もっとベテランの方だと数万円貰っているという人もいます。
ただ一方でその給料アップに満足できていない人が多いと言うのも現実。
しっかり政策の意図通りに保育士の給料を上げている保育園もあれば、施設設備などに使ってしまうところがあったり、そもそもの給料が低いのでまだまだ生活は苦しいという人もいます。
若いとは言えフルタイムで働いているのに手取りが13万円しかないという人もいますからね。
処遇改善手当の問題点
処遇改善手当の政策ができたことで、保育士の給料が上がるきっかけになったことは嬉しいことですよね。あとは全国の保育士として働いている人たちが給料アップを実感することが大切です。
この政策はできたばかりですが、制作に不満や不安を抱く人も多いです。
手当の使い道が本来の意図と合っていない
まず「手当の使い道を保育園を経営する側に任され、自由に決められる」というのは柔軟な対応ができる分、1番に果たすべき点の「保育士の給料の改善」に繋がらないように感じます。
しっかり処遇改善手当の使い道をピンポイントに定め「保育士の給料に全額を充てる」と明記し、さらに政策が改善されることを望んでいる保育士の方が多いのではないでしょうか。
都道府県や地域によって待遇の差が激しい
例えば東京の求人を見たときにかなり好条件な保育園が沢山あります。
日本の中でも東京は保育士不足の問題がかなり深刻なため、必然的に保育士確保の競争が激しいからというのがありますが全国的にも東京のように処遇改善や待遇の向上をしてほしいですよね。
役職手当は嬉しいけど人数制限がある
新設された役職手当として月額4万円や5千円と給料アップは嬉しいですが、保育士の人数が多い保育園だと同じキャリアでも適当な処遇手当が受けられなかったりする場合があります。
これは納得いかないですよね。
処遇改善手当の今後
キャリアアップのための研修受講要件では、2017年の実施状況を踏まえて2022年を目処に研修受講の必須化を目指すこととされました。
2022年から必須ということは、2022年当初の時点で研修が修了している職員をその役職に就かせるということです。
前の項目で述べたような改善点があるのは確かですが、研修を地道に行っている人は給料アップのチャンスがくる可能性が高いですね。
そして国からの補助金も年々上がっている傾向があるため、今後も待遇が改善されることに期待しましょう。
もしもすぐに待遇改善が難しそうなら
待遇改善手当で給料が多少アップしたとしても、あまり満足出来る金額ではなかったり、給料のアップがなかったりするとモチベーションも下がってしまいますよね。
もしもすぐに今の職場で給料の改善が期待できなかったり、今後もなかなか給与改善ができなさそうなら職場を変えてみることも検討してみましょう。
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