保護者からのクレーム対処法。クレームが多いのは内容とは?クレームを防ぐために出来る事。

保育士の悩み

保育士と保護者は、良好な人間関係を築けるように、日頃からお互い、気をつけていることでしょう。

しかし、何か一つの問題があれば、それがきっかけとなりクレームに繋がることもあります。

クレーム対応を間違えてしまうと、日頃から積み上げてきた信頼関係を失いかねません。

本記事では、保護者からのクレーム対応の対処法やクレームを防ぐために出来ることについて、紹介します。

クレームを言う保護者、保護者は何に対して怒りを感じているのか

保育士と保護者は子どもに関わる上で良きパートナーであるべきですが、保育士が「保護者からクレームを言われる」ことは、決して珍しいことではありません。

たとえば、子どもが怪我をした時、保育士の対応がおかしいと感じた時、連絡が上手く伝わらなかった時など、保護者からクレームを言われるのは、このようなシチュエーションが多いのではないでしょうか。

我が子に関わることだからこそ、保護者は真剣に「もっとこうしてほしい」「あの対応はおかしいのではないか」と訴えるのです。

人間は「どうして、分かってくれないの」と言った悲しみから、自己防衛のために怒りを感じるとも言われています。

保護者がクレームを言う背景には「もっとこうしてくれたら良かったのに、なんで」「もっと〇〇な対応をしてほしかったのにどうして」という悲しみがあるのかもしれません。

保護者からクレームを言われた時の対処法

クレームの内容がどんなものだったとしても、まずはクレームを言われた時に対処が出来るようになりたいですよね。

基本的には、クレームを言われた際、誠意のある態度をとることが重要。

たとえば、保護者が保育士の対応が真面目では無い(適当である)と感じた場合。

さらに怒りを感じて、その場の空気と共に関係性も悪化してしまいます。

そういったことを避けるために、まずは以下の対処法を覚えておきましょう。

  • 否定た反論はNG、まずは意見を受け止めてあげる
  • できるだけ共感の姿勢を示す(謝罪とは別)
  • 事実を当事者や主任、園長に確認してから回答する
  • ただ謝る、謝ってばかりいるのも逆効果
  • 具体的にどう解決するのかを説明する

以下、保護者から保育士へ「1番クレームで多い」と予想される子どもが保育園で怪我をした場合を例を挙げて、対処法を説それぞれ明していきます。

否定た反論はNG、まずは意見を受け止めてあげる

以下、まずは悪い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(悪い例)

保護者「もっと先生方がしっかり見ていたら、こんな怪我はしなったと思います」

保育士「保育士はクラス全員のことを見ています。しかし、1対1という訳では無いので、100%怪我を防げる訳ではないのです」「もし、怪我を絶対にしてほしくないのであれば、家庭で子どもっを観るしかありませんよ」・・・・

上記の保育士の言い分は、間違ってないかもしれません。(保育士の仕事は、朝、子どもが保育園に来た状態で家にかえすことなので根本的には間違っているけど)

しかし、保護者の立場に立った時、保育士の対応はどのように見えるでしょうか。

まず、保護者は「自分の見ていないところで、子どもが怪我をしてしまった」ことに対して、ショックを感じたり「保育士を信用していたのに」と裏切られた気持ちさえ、感じているかもしれません。

更に、上記のような対応をされると、保護者は「自分の気持ちを受け止めてもらえなった」「保育園が(保育士が)悪いはずなのに、なぜ私がそんなこと言われないといけないの」「子どもに怪我をさせた上に自分のことまで否定されている」と悲しみや怒りを感じるでしょう。

クレームの内容が、攻撃的なものになってしまう可能性もあります。

では、どのような対応が正解なのでしょうか。(正解は一つではありません)

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(良い例)

保護者「もっと先生方がしっかり見ていたら、こんな怪我はしなったと思います」

保育士「お母さん、そうですね。保育士が子どものことをしっかり見てあげていたら、怪我はしなかったと思います。お母さんが仕事の間、私達のことを信頼し、子どもを預けてくれているのに、仕事から帰ってきたら、怪我をしていたのですからショックを受けたでしょう」・・・

クレーム対応では、まず第一に「保護者の意見を受け止めて対処する」と良いですよね。

できるだけ共感の姿勢を示す

以下、悪い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(悪い例)

保護者「子どもが怪我をすると、病院にも行かなきゃいけないし、私は忙しいんです。今後、子どもが怪我をするのではないかと思うと落ち着いてはいられないです。」

保育士「そうですか。でもね、お母さん、私達保育士も完璧な人間ではないんですよ」・・・

保護者は保育士の言い分けを聞きたい訳ではありません。

まずは自分の気持ちに共感してほしいのです。(女性は特に「共感」男性の場合「具体的な解決例」)

たとえば、自分が悩んでいて、悩みを打ち明けたのに「その気持ちは分からないな」「それは仕方ないんじゃない」と言われるよりも「わかるよ。そうだよね」「そんな時、辛いよね」と言われた方が気持ちが穏やかになりますよね。

保育士が「なぜできなったのか」「どんな状況だったのか」という情報も詳しく説明するのも重要ですが、この場合「保護者の怒りが収まってから」で良いでしょう。

以下の対応の方が、保護者も自分の気持ちを落ち着かせることが出来ます。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(良い例)

保護者「子どもが怪我をすると、病院にも行かなきゃいけないし、私は忙しいんです。今後、子どもが怪我をするのではないかと思うと落ち着いてはいられないです。」

保育士「そうですよね。仕事にも行っているから、病院に頻繁に行ける訳でもないし「また怪我するのではないか」と仕事中も考えてしまいますよね」・・・

保護者の言い分が間違っていない場合に関しては共感してあげましょう。

事実を当事者や主任、園長に確認してから回答する

以下、悪い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(悪い例)保護者「〇〇先生と一緒に居た時に怪我をしたんです。子どもが言うには、〇〇先生は子ども達を放って、片付けをしていたみたいなんです」「先生を1人でなくて2人にしてもらうことはできないんですか」

保育士「そうなんですか。それは〇〇先生悪いですね。これからは保育士2人つけるようにしますね」・・・

対応する保育士にもよりますが、詳しい状況も分からず、ただ「なだめようとして」、その場の勢いで回答するのは避けましょう。

もし、自分が知らない内容の場合、当事者の保育士に確認。

独断で決められるようなことでない場合は、主任や園長に確認してから回答しましょう。

以下、良い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(良い例)

保護者「〇〇先生と一緒に居た時に怪我をしたんです。子どもが言うには、〇〇先生は子ども達を放って、片付けをしていたみたいなんです」「先生を1人でなくて2人にしてもらうことはできないんですか」

保育士「そんなことがあったのですね。詳細を知らないので、何も言えないのですが、〇〇先生に聞いておきますね。またそれが事実であった場合、主任や園長に伝えておきます。」「保育士の配置は私が独断で決められないことなので、園長に相談した後、後日お話させて頂いても良いですか」・・・

クレームを言われたその場で解決できる方が良いですが、上記のように後日の方が良い場合もあります。

ただ謝る、謝ってばかりいるのも逆効果

以下、悪い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(悪い例)

保護者「子どもが怪我をすると、病院にも行かなきゃいけないし、私は忙しいんです。今後、子どもが怪我をするのではないかと思うと落ち着いてはいられないです。」

保育士「すみません。本当にごめんなさい」

保護者「どうして、うちの子どもは怪我をしたのですか」

保育士「すみません、私の不注意です、ごめんなさい」・・・

特に、新人保育士の場合どうして良いか分からず「ひたすら謝る」ことで保護者の怒りを鎮めようとしてしまう人がいます。

クレーム対応という時点で怖いですし、自分が責められると、泣いてしまいそうになって謝り続けてしまう・・・なんてこともあるでしょう。

しかし「ただ謝る」のは、逆効果になる可能性があります。

保護者からすると「謝ってばっかりで本当にわかってんの」「謝れば良いと思ってるの」と怒りを助長させるのです。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(良い例)

保護者「子どもが怪我をすると、病院にも行かなきゃいけないし、私は忙しいんです。今後、子どもが怪我をするのではないかと思うと落ち着いてはいられないです。」

保育士「〇〇くんのお母さん。〇〇くんに怪我をさせてしまって、本当にごめんなさい」・・・

保護者「どうして、うちの子どもは怪我をしたのですか」

保育士「部屋で鬼ごっこをして遊んでいた時に」・・・

心を込めて1回謝れば充分です。

具体的にどう解決するのかを説明する

以下、悪い例です。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(悪い例)

保育士「今後、気を付けていきます」・・・

上記の言葉だけだと「どのように完全しようと考えているのか」「本当に完全する気があるのか」伝わりません。

クレームは保護者からの要望でもあります。

保護者も「今度保育園がどのように対応してくれるのか」気になっているはずです。

そのため、クレーム内容に対して保育園(保育士)は今後どのようにしていくのか説明すると良いでしょう。

クレームを言われたその日だけ一生懸命対応して、その後、何も対策を講じないということは避けましょう。

子どもが保育園で怪我をした時のクレーム対応(良い例)

保育士「今後は、子ども達に怪我がないように、窓の鍵はしめておきます」「保育室の片付けをする際は、パートさんを呼んで、子ども達から目を離さないようにします」・・・

具体的にどのようにしていくのか、説明すると良いですね。

クレームを言った保護者は「嫌な思いをしたけど、〇〇先生に言って良かった」「改善してくれるなら安心だ」と思ってくれるでしょう。

クレーム対応が上手だと、保護者がクレームを言う以前よりも保育士への信頼度が高まることさえあります。

保護者から保育士へ どんなクレームを言われることが多い?

上記で例に挙げた「怪我」はまさにクレームが多いですよね。

他にも、保護者から保育士へクレームの多い内容とは、どんなものがあるのでしょうか。

保育園や保育士によって、クレームの内容は様々ですが、どこの保育園でもあるクレームの内容、また頻度が高いクレームは以下の通りです。

自分の子どもをしっかり見て欲しい等のクレーム

保育園に通わせている保護者は全員「自分の子どもをしっかり見て欲しい」と思っています。

しぐさから心の不安定さ、席や鼻水から病気などの兆候。

保育士は1対1で、子どもをずっと見ていられるわけではありません。

子どもの詳しく見られるのは、場面や時間ごと、子どもと触れ合った特定の時間に限ります。

本来、保育園は集団生活のため、そういったことは承知している保護者が多いですよね。

しかし、中には「自分の子どもは体が弱いので、咳や鼻水の際は必ず教えてください」「昨日家に帰ると鼻水が出ていました。なぜ教えてくれなかったのですか」と言う保護者も・・・。

保育士が、保育園に通っている子ども全員、クラスの全員のことを完璧に見るのは不可能。

そのため、「自分の子どもは体が弱いので、席や鼻水の際は必ず教えてください」と言われた最初の段階で保護者に以下のように伝えておきましょう。

保育士「保育園としても子どもの不調にいち早く気づくために、普段より元気がない子には体温計で測ったり、咳や鼻水が出てきたなという時は、保護者の方に伝えています。しかし、完璧に見守ることは出来ないので、見過ごすこともあります。家庭でも様子を見てください、そして気になる点があれば、「昨日の夜は熱が出ていた」等、朝の時点で教えてください」・・・

「最善は尽くすが、見過ごすこともある」これをしっかり伝えましょう。

行事の日時変更や担任を変更してくださいというようなクレーム

保育園に子どもを預けている保護者は、皆、仕事をしています。

行事の日程によっては、仕事の関係で行けないという事もあるでしょう。

「行事の日時を変更してください」「担任を変えてください」というクレームは、保育士では対応できないですよね。

クレームを受けた保育士の一存で、行事の日程を変えることは出来ませんし、担任を変えることも出来ないのです。

そのため、クレームを受けた際は以下のように答えましょう。

保育士「〇〇ちゃんもお母さんが行事で来てくれないと寂しいかもしれません。お母さんとしても参加してあげたいという気持ちは分かります。・・・しかし、私は日程を変える権限などは無いので、主任、園長に〇〇さんのこと伝えておきましょうか。返答は後日、園長から直接、もしくは私が返答をお伝えします。」・・・

説明しても納得してくれない場合。

後日、主任や園長が直接説明すると納得するケースが多いので、一人で頑張りすぎないことです。

クレームを防ぐために出来ることとは

クレームを防ぐために出来ることは、以下の通りです。

  1. 日頃からコミュニケーションをしっかりとる
  2. クレームになる前に話を聞く事も大事
  3. 保育園で起こる様々なことを予測し、事前に伝えておく
  4. クレームに繋がるものは、クレームを言われる前に改善する

日頃からコミュニケーションをしていないと、誤解を招くことがあります。

たとえば「〇〇先生はうちの子のこと嫌いなのかも」という思いから「〇〇先生はしっかり保育していない」など、ちょっとした不安や嫌な思いから、どんどんクレームに繋がっていくのです。

他にも「最近〇〇くんちのお母さんの対応がおかしいな」と思ったら話を聞くことで、未然にクレームを防ぐことも大事ですね。

「保育園で起こる様々なことを予測し、事前に伝えておく」というのは、たとえば遠足などの行事が近づいている時「子ども達は気持ちが高ぶっているので、注意散漫になることもありますし、怪我をしやすくなりますから気を付けてくださいね」と一言。

また、行事だけでなく保育の内容に関しても「トイレトレーニングはじめていきたいのですが、〇〇ちゃん、以前よりもトイレに行きたがらなくなる可能性もありますし、洗濯物も増えます。よろしくお願いします」等。

予測できる子どもの反応を事前に伝えて、保護者に心の準備をしてもらうことでクレームを防ぐことが出来るかもしれません。

最後に「クレームに繋がるものは、クレームを言われる前に改善する」は具体的に説明すると「〇〇先生の言葉使い、保護者からクレームが入りそうだな」「壊れた玩具を使っていたら、クレームが入りそうだからよけておこう」「ここが汚いと保護者はどう思うかな」等。

保護者目線になって、クレームに繋がる芽を事前に積んでおくのも良いでしょう。

保育の環境を整える・見直すことも出来るので、保育士にとっても大事なことです。

クレーム対応に備えて、自分に出来ることから実践しよう

保護者からクレームを言われると落ち込んだり、悩んだりしますよね。

しかし、クレームを言ってくる保護者も「これを言ったら〇〇先生との関係がギクシャクするのではないか」「子どもに対して冷たく当たられないか」等、沢山の不安や心配を抱えながら打ち明けてくれているのです。

その真意は「保育士を信じたい」「自分の子どもが安全に楽しく保育園で過ごしてほしい」という気持ちですから、クレーム全てが悪意のあるものではありません。

中には理不尽なクレームもあるでしょう。

そういった時は一人で悩まずに、先輩や主任、園長に頼って解決していくと良いですね。

また、日頃からクレーム対応をしている他の保育士を観察し、自分にも実践できそうなことがあれば実践し、クレーム対応能力を高めていきましょう。

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