幼児教育は近年多様化が見られ、その種類と特徴も多岐に渡っています。
いずれにしても幼児期からの教育的働きかけが重要視されるようになってきていることは事実です。
それほど、幼少期からの教育の価値が見直されているということなのでしょう。
ここでは、幼児教育の種類や特徴について詳しくご紹介します。
幼児教育の行う場所
まずは、幼児教育は具体的にどこで、どんなことをするのか等。
「幼児教育ってどこでやってるの?」と場所について知りたい方も多いでしょう。
幼児教育を行う場所は、自宅、幼児教室、通信教育の3つに分類できます。
以下、具体的にご紹介します。
自宅で講師が行う幼児教育
講師が自宅で教室を開校しているケースが多いですが、生徒数が多い場合などは専門の講師を別に招いて共同経営するケースもあります。
たとえば、体操やバレエなどの運動系は、自宅にスタジオや体育室などが併設されています。
自宅で行う幼児教室に通うメリットは、教えてくれる講師が基本的にずっと変わらないことが多いため、子供の成長をしっかりとみてくれることです。
そして、親としても講師が誰であるのか、講師がどのような人柄でどのような経歴の持ち主なのかなども把握できるため、安心して子供を預けることができますね。
ただし、講師の体調不良や経営難などで突然教室が閉校となるリスクもあります。
他にも、全国展開している幼児教室のフランチャイズではなく個人経営の場合には、その教室に通うことでどのような成果が得られるのか、教育目標やカリキュラムなども確認しておいた方が良いでしょう。可能であれば、卒業生の実績も把握しておきたいものです。
幼児教室
幼児教室の場合、教育内容に特化した専門の講師が教室に集まり指導します。
幼児教室にいる講師は、幼児教育を運営する会社の採用試験を通過してきていますから、会社が求める講師としての質が確保された人材が揃っているでしょう。
また、万が一講師が体調不良などになったとしても、多くの場合は経営者が別の講師を派遣してくれる等の措置をとってくれます。
経営難の場合には、受講料が補償されないケースもあるため、教室の経営状態については受講前に十分に確認しておきましょう。
他にも、幼児教室の場合、幼児教室として最適な環境を整えている教室がほとんどです。
たとえば、英会話教室。
その教室に一歩入っただけで掲示物を含め全て英語になっており、講師も英語で迎えてくれる、などの工夫がなされています。
幼児向け通信教育
自宅にいればいつでもできる通信教育を活用すれば、幼児教育も気軽に始められるでしょう。
幼児期は体調を崩しやすい時期でもあります。
また、他とは違い送迎もないので、忙しい親にとってはそれもメリットですね。
英会話や知育系の幼児教育などでも通信教育で受講できるケースが多くあります。
中には、基本的には通信教育で学び、時折開催されるイベントに参加して学んだことを実践する場を設けている企業もありますよ。
一方で、通信教育で成果を出すためには、親の根気が必要。
子供が自ら通信教育をカリキュラム通りに進めるということは不可能ですから、どのタイミングでどの量をこなすかということを親がリードしてあげなくてはなりません。
また、継続して学習することがどの教育においても重要となりますから、長期間に渡って親が先生役をやらなくてはならないということも覚えておきましょう。
教育法の種類
幼児教育に関して世界各国で様々な教育法が研究されてきており、日本でも取り入れられている教育法が多くあります。
ここでは数多くある教育法の中でも特に注目されているシュタイナー教育、モンテッソーリ教育、ヨコミネ式教育、石井式教育について紹介します。
シュタイナー教育
シュタイナー教育は、教育を哲学的に捉えて子供の力を総合的に伸ばすことができる教育法です。
シュタイナー教育では、子どもを偏見にとらわれない自由な人間に育てるのが目的です。
「シュタイナー教育」は独特の教育法で、子供の感性を大切にし、芸術的な感性も育てる事ができます。
そのことから、シュタイナー教育を受けた子供たちはアーティストになるケースも多いようです。
「子供の個性を大切にして、のびのびと育てたい」という教育方針のご両親に人気があります。
シュタイナー教育の特徴は、以下の7つです。
シュタイナー教育の特徴・・・
- 7年周期説による発達段階論を踏まえて7年ごとにカリキュラムを設定する
- 人間に備わる4つの構成要素を育てる
- 人間の気質を4つに分類し、気質に応じてアプローチ方法を変える
- 自然素材にこだわった教具を用いる
- 小学校及び中学校の8年間を同一教師が担任する
- にじみ絵やオイリュトミー、フォルメンなどの独特な教授法を実施する
- エポックと呼ばれる集中学習期間が設ける
シュタイナー教育については、以下の参考リンク先で詳しく紹介しています。
【参考】シュタイナー教育とは?目的や内容、実際に行われる事例、自宅でのやり方を詳しく紹介
モンテッソーリ教育
日本モンテッソーリ教育綜合研究所を参考にすると、モンテッソーリ教育は、子どもを「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」教育法です。
上記の通り、モンテッソーリ教育は様々な化学的な研究に基づいて、子供の知能だけでなく運動能力や感覚にも働きかける総合教育。
また、現代にいたるまで多くの幼稚園等の教育機関がモンテッソーリ教育を取り入れていますよね。
たとえば、0歳~3歳は「吸収する精神(無意識)」の時期として捉えられ、以下の7つの教育が行われます。
モンテッソーリ教育の特徴・・・
- 粗大運動の活動(歩く、走る、階段を上るなどの活動)
- 微細運動の活動(手や指先を用いた、叩く、つかむなどの活動)
- 日常生活の練習(粗大運動と微細運動が複合的に合わさった活動で、水やりなどの活動)
- 言語教育(母語の話し言葉を習得するための教育)
- 感覚教育(感覚教具に触れることで子供の感覚を育てる教育)
- 音楽(音楽を聴く、楽器を鳴らす、歌う、踊るなどの音楽教育)
- 美術(クレヨン、鉛筆、粘土などを通して自分の想いを自由に表現するための教育)
モンテッソーリ教育が生まれた背景は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法で、子供は自ら自分を育てることができるという考えが根底となります。
そのため、モンテッソーリ教育では、教師が一方的に教えるのではなく、子供の自主性を大切にし、教師は子供の力を引き出すための環境を作り出すのです。
更に詳しく知りたい人は以下の参考リンク先の記事を読んでみてくださいね。
【参考】モンテッソーリ教育の基本的な知識について。保育士なら知っておこう
ヨコミネ式教育法
ヨコミネ式教育は、上記で紹介したシュタイナー教育やモンテッソーリ教育とは異なり、日本で生まれた教育法です。
そのため、日本独自の文化的背景や心理も教育の根底にあるといえるでしょう。(プロゴルファー横峯さくらさんの叔父である横峯吉文理事長が提唱した教育法)
ヨコミネ式教法の「難しい課題にもあきらめずに取り組む」という教育方針は、子供の知能や運動能力を最大限に引き出してくれるだけでなく、子供の前向きな気持ちや忍耐力をも培ってくれます。
ヨコミネ式教育の保育園を卒園した子供たちが絶対音感をもっていたり、運動能力が抜きんでていたりといった実績がテレビなどでも紹介され、多くの方から興味関心を得ています。
近年では、ヨコミネ式教育を取り入れた保育園や幼児教室も増えてきました。
以下、ヨコミネ式教育の特徴です。
ヨコミネ式教育の特徴・・・
- 読み書き計算など、学力の基礎となる力を幼児期から身につける
- ヨコミネ式95音表やそろばんを用いた計算練習
- 運動面においては、走る蹴る等の基本的な動きに加えて、全員に逆立ち歩きをさせたり、跳び箱11段に挑戦
- 音楽教育にも力を入れており、ピアニカなどを用いて曲を弾けるように練習(この際、一般的によく行われる基礎練習は行わずに最初から曲の練習をすることもヨコミネ式の特徴)
上記のピアニカの練習では「つまらない基礎練習を繰り返し行わせるよりも、難易度は高いものの、最初から曲の練習をする」事で、子供の「おもしろい」「楽しい」という気持ちを引き出そうとすることがねらいです。
そして、この「おもしろい」という気持ちをもとに「おもしろいから練習する」という前向きな姿勢につなげ、「練習すると上手になる」「上手になると大好きになる」という好循環を作り出すのです。
以下の参考リンク記事では、ヨコミネ方式教育法について詳しく紹介しています。
【参考】ヨコミネ式教育とは?目的や内容、実績などを詳しく紹介
石井式教育
石井式教育または石井式漢字教育法と呼ばれ、教育学博士である石井勲先生が提唱した教育法です。
石井式教育は、日本の教育現場での経験をもとに生まれた教育法ですので、日本人の特徴を捉えた教育法であるといえるでしょう。
石井式教育は、日本文化に根差された、日本人ならではのリズム感やことばの感覚を養える教育システムです。
石井先生は、子供の言葉、特に漢字に対する認知能力の高さを発見し、その能力を幼児教育の場で最大限に発揮させることで、子供自身のもつ多様な能力を飛躍させることを目的としました。
石井式教育の特徴は、以下の通りです。
石井式教育の特徴・・・
- 漢字と平仮名が混じった文章を幼児期から読み聞かせ親しませることで、学習習慣の基礎をつくる
- 文章は基本的に石井先生が作ったリズム感のある美しい日本語(「まねることが好き、繰り返すことが好き」という子供の特性を生かし、繰り返し同じ文章に触れさせることで学習の基礎を定着させる)
石井式漢字教育法の根本には、子供は漢字を視覚的に絵と同じようにとらえるため、大人が思うほど漢字を難しいと感じていないという考えがあります。
40年に渡る教育実践によって生まれた指導法のため、その効果には定評があります。
どんな幼児教育でも親のサポートが最も重要
いずれの教育法においても、子供の力を画一的に捉えるのではなく、最大限に伸ばすことを最終目的としています。
すなわち、子供の力がどこまで伸びていくのか、どこまで興味が広がるのかを、親としてゆとりをもって見守る姿勢が重要なのだといえます。
また、子供の能力を伸ばすためには、教室に通わせるだけでは十分ではありません。
教室は子供の能力開発のための一助であり、その力をさらに伸ばすためにはやはり家庭での働きかけが重要。
具体的には、たとえば週60分のレッスンで終始させるのではなく、そのレッスンで学んだことを家庭で繰り返し復習することで、レッスンでの学習内容が子供に定着していくのです。
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