シングルマザーに保育士の仕事がおすすめな理由。資格取得について

保育士の豆知識

最近では「母子家庭」「シングルマザー」はよく聞く言葉になってきました。

まだ男女の収入の格差はありますが、昔に比べ女性も社会に出て働ける環境が増えているため、母と子でも生活していけるのでしょう。

そんなシングルマザーの人の中には「最近よく求人見るけど保育士ってどうなんだろう」「昔から興味あったんだよね」という方もいるかもしれませんね。

本記事ではシングルマザーに保育士の仕事がおすすめな理由について紹介します。

保育士でもシングルマザーは珍しくはない

平成31年厚生労働省の「人口動態統計調査」によると、平成31年の婚姻件数は60万464組、そして離婚の件数は21万639人、簡単に計算すると20組中7組、約3組中1組は離婚しているということになります。

世間的にも母子家庭やシングルマザーという家庭は珍しくありません。

保育園の職場の9割は女性。

理事長や園長を抜かせば全員女性という職場の方が多いでしょう。

統計を当てはめたとしても、シングルマザーで保育士として働いている人がいてもおかしくないのです。

ちなみに筆者が元いた職場の職員の数は30人、シングルマザーは5人近くいました。

よく休憩室では「高校は公立に行ってほしい」「母子家庭だとさぁ~」など、先輩保育士達が自分の家庭について話していたのを覚えています。

女性の職場だからこそ気軽に悩みや不安を打ち明けられる雰囲気があるのかもしれませんね。

保育士の仕事は需要が高い、働くなら今がチャンスかも

平成31年1月厚生労働省の「保育士確保集中取組キャンペーン」によると、平成30年11月有効求人倍率は3.20倍、東京都では6.44倍です。

どれほど高いのかを説明すると、たとえば有効求人倍率2倍で考えた場合、求職者が50人いた場合、求人数が100件あるということになります。

これに東京都保育士の有効求人倍を当てはめてみると求職者50人に対して、322件の求人があるのです。

待機児童の問題は少しずつ改善に向かっているようですが、有効求人倍率からもわかる通り、現時点では保育士の数がまだまだ足りていません。

保育士として新たに転職する人もいれば辞める人もいるので、保育士の数がすぐに満ちることはないのです。

そのためこれからも保育士の仕事は需要が高いでしょう。

しかし注意点もあります。

最近は保育士確保のために魅力的な求人が沢山出てきていますが、この魅力的な求人がいつまでも出続けるというわけではないのです。

条件の良い求人は人気が高くすぐに埋まってしまいますし、待機児童の問題が今後解決してきた場合はもうそんなに良い求人は出てこない可能性が高いです。

そのため「保育士として働こうか迷う」「今後また気になったら保育士として働こうと思っている」という人が保育士になる頃にはもう既に今のような条件の良い求人はないかもしれません。

上記で触れた通り、有効求人倍率からもわかる通り現時点では保育士の需要がかなり高いですから、保育士として働くなら今がチャンスです。

【参考】初めての転職は不安。保育士の転職の流れや注意点を事前に確認しよう

【参考】転職したい保育士に朗報。有効求人倍率から見る保育士の転職しやすさ

【参考】保育士になる前に知っておきたい保育士の現実。なって後悔する前に要チェック。

シングルマザーに保育士がおすすめな理由

それではシングルマザーの人にとって保育士の仕事がおすすめな理由について紹介します。

おすすめポイントが以下の通りです。

  • 資格があれば未経験でも働きやすい
  • 年齢制限がなく、30代・40代から始める人も多い
  • 就職する保育園によっては自分の子どもを預けることができる
  • 職場からも家庭の理解が得られる

上記のようなことが挙げられます。

保育士は離職率が高いため、保育業界は基本的に人手不足です。

そのため資格さえ持って入れば就職先の困らないのです。

実際には保育士資格を持たなくても保育士として働ける保育園として「認可外保育園」もあります。

とはいえ資格手当がついたり、保育園自体に何かあった時に切られる心配もないので資格を持っている方が良いしょう。

また保育士の年齢層の関しても気になるかもしれませんが平成26年3月東京都福祉保健局の東京都保育士実態調査のよると年齢層のグラフは以下の通りです。

20代が半分以下、あとの半分は30代40代50代です。

そのため30代40代で新人として入ったとしても最初は仕事を覚えるのに苦労するかもしれませんが違和感もなく、女性の職場ということもあり、話をしているうちにすぐに馴染むでしょう。

また「お子さんを働く保育園に入れることができます」という保育園もあります。

同僚に気を使うという面では「どんなんだろう」と思う点もありますが、0歳~未就学児の子どもがいるシングルマザーに人にとっては良いのではないでしょうか。

送り迎えをするストレスが減り、子どもの体調が悪い場合はすぐに対応することができます。

他にも「職場からも家庭の理解が得られる」というのは具体的に説明すると、保育士の職場には女性が多いため、たとえば子どもが熱を出した時や参観日、自分の体調が悪い時などは「休めばいいしょ~」と言ってくれることが多いのです。

保育士の中でも子育て世代が多いので母親の気持ちを理解してくれるのですね。

そして「お互い様」という精神が強いのか、普段からコミュニケーションを取っている分、できる限り配慮してくれることもあるでしょう。

筆者の元職場の人達もシングルマザーの人達も、学年が丁度被らないという理由で中学生の制服のおさがりをあげたり、受験の悩みを聞いたり、家庭との両立のために助け合っていました。

退職する理由から保育士の仕事について知っておこう

デメリットを知ってから買い物するタイプだから。

それは一理ある。

平成26年3月東京都保育士実態調査では保育士を辞めた人にアンケート調査をして、退職理由が挙げられています。

調査からわかった退職理由が以下の通りです。※上から多い順

  1. 妊娠・出産
  2. 給料が安い
  3. 職場の人間関係
  4. 結婚
  5. 仕事量が多い
  6. 労働時間が長い
  7. 他業種への興味
  8. 子育て・家事
  9. 転居

上位からいくつか挙げて考えていきましょう。

まずは1位のシングルマザーの人は既に「妊娠・出産」を終えているので問題はないでしょう。

2位の保育士が給料が安いというのはどうでしょう。

上記の東京都保育士実態調査が行われたのは平成25年8月26日~平成25年の9月10日です。

しかし現在は令和元年。

既にこのアンケート調査から6年経過しているため保育士の労働条件はその頃よりも改善されています。

また平成29年4月からは保育士の処遇改善加算により給料改善が行われているので、現時点での最新の保育士の平均年収を確認してみましょう。

最新の保育士の平均年収

厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査によると平均年齢の36.8歳の保育士で、平均勤続年数8.1年とすると3,579,300円(約357万9千円)というのが平均年収。

女性の正社員に限定した場合の平均年収は376万6千円。

一般の女性の年収に比べて、保育士の年収が特別に低いという訳ではないということは覚えておきましょう。

世間の人や友人が「保育士って給料低いんでしょう」と言ったとしても、それは既に昔のことかもしれません。

待機児童が深刻な地域では保育士確保の競争率が激しいため、保育士の給料が高く、福利厚生も充実、家賃手当8万円支給など保育士にとって魅力的な求人もあるので、給料の問題は上手に求人を探すことでカバーできるでしょう。

しかし給料に関しては働く地道府県や地域によって格差があることも忘れないでください。

待機児童があまり深刻ではない都道府県や地方の地域では、給料が低いです。

保育士の仕事に興味があり、「給料大事」と思う人はできるだけ東京都や埼玉県など保育士確保に力を入れている地域で探すことをお勧めします。

他にも「人間関係」「仕事量が多い」「労働時間が長い」という退職理由ですが、保育士の世界に限ったことではありません。

たとえば「人間関係」という退職理由は、他業種の仕事を辞めるランキングの中にも必ず入っているものなので「保育士だから人間関係に苦労する」ということはないでしょう。

ちなみに実際に筆者も2つの保育園を経験しましたが、人間関係やサービス残業で悩んだことはありません。

「保育士の仕事良いかも」と興味を持った人は保育士の仕事の良い面と悪い面についてしっかり知識をつけて、自分にとって条件が合っているかどうか見極めてみてくださいね。

【参考】保育士の離職率や仕事を辞める理由。

【参考】保育士の処遇改善手当とはなに?実際にいくら貰えるの?

【参考】保育士は有給休暇が取れなくて当たり前?みんなどれくらいとっている?

シングルマザーが保育士として働くメリットとデメリット

それではシングルマザーが保育士として働くメリット・デメリットを挙げていき、「自分の生活に合うか、合わないか」考えてみましょう。

冒頭でも触れた通り筆者の元職場にもシングルマザーの人が実際に働いていたので、例に挙げながら紹介していきます。

シングルマザーが保育士として働くメリット

メリットと言われると気になる~。

わかる。

まずがシングルマザーが保育士として働くメリットについてあげていきます。

  • 子育て経験が活かせる
  • 資格さえあれば就職先に困らない
  • シフト制を上手く活用する
  • 職場で気の合う友達ができるかも

子育て経験が活かせるという点も良いですが、逆に子育ての勉強にもなるという点もメリットです。

たとえば友達と子育てについて話すことはあっても、リアルな子育てや子どもの様子まで見る機会はなかなかありません。

しかし保育園には様々な家庭や子育ての仕方が直接見えるので、かなり勉強になります。

他にも病気についても知識もつくので、保育士の仕事は子育てに活かせる仕事です。

また自分の子どもの年齢にもよりますが、中学生や高校生の場合はシフトを上手く活用することで家事との両立もできます。

保育士はシフト制で早番・中番・遅番で勤務時間が毎日異なるのです。

そのため早く帰ってこれる日、遅く出勤できる日に合わせて子どもと打ち合わせをしながら、家事を分担したり、済ませたりすることで意外と両立ができると、シングルマザーの保育士が言っていました。

中学生になると部活等もあるので、朝子どもが早かったり、帰りが遅いのでお迎えの時間を合わせて外食に行ったりと上手に時間を使っていましたよ。

他にも保育士の仕事は子どもを相手にするので、働く保育士の素がでやすい環境にあります。

簡単にいうと職員同士が仲良くなりやすい環境なのです。

その場に居合わせて一緒に子どもの面白い場面に出くわした時も、働く保育士が素で笑って楽しい雰囲気で仕事ができます。

それが良いか悪いかは状況によって異なりますが、毎日子どもは可愛いくて面白い言動をするので、職員室では「今日〇〇ちゃんさ~」と子どもの話をして盛り上がります。

そのたまえ職場内で仲良くできる人ができ、仕事やプライベートなことを相談するような仲になる職員もできるでしょう。

【参考】保育士の家賃補助。住宅手当や寮・社宅・宿舎借り上げ制度について詳しく解説

シングルマザーが保育士として働くデメリット

メリットと捉えるか、デメリットと捉えるかはあなた次第。

それはほんとそう。

シングルマザーが保育士として働くデメリットは以下の通りです。

  • 保育園によっては給料が低い
  • 体力的、精神的にきついかも
  • 事務仕事等も忙しい
  • 子どもの年齢によってはシフトがキツイ

適当に就職先を選んでしまうとかなりしんどくなってくるのが保育士です。

給料は上記で紹介した通りなので飛ばしますが、体力的にも精神的にもきついと感じる人も少なくありません。

基本的に座れるのは休憩時間のみで、勤務中子どもと関わってる時間の殆どは立って動いていることが多く、子どもの安全を常に見ていなくてはいけないので精神的にも疲れてしまうこともあるのです。

また勤務時間中、休憩時間以外は「子どもを保育する時間」です。

勤務時間の仲に事務仕事をする時間がどうしてもとれないという問題を抱える保育園は多いです。

そのため保育士の殆どは休憩時間を事務時間に充てて、仕事をしています。

それでも終わらない場合はサービス残業をしなくてはいけない時もあるでしょう。

そして「子どもの年齢によってはシフトがキツイ」というのは、乳児~幼児~学童児の子どもをもつ親にとってはシフトで毎日仕事する時間が異なるのは辛いかもしれません。

自分の都合に合わせて子どもの生活を変えなくてはいけないこともあります。

自分が仕事の時に面倒を見てくれる人がいない場合はそこが1番のデメリットになるでしょう。

【参考】ブラック保育園の特徴や見分け方、残業代はしっかり出てる?有給休暇はとれる?

シングルマザーが保育士になる方法

「保育士良いかも」と思った人は、次は「どうやったら保育士の資格とれるんだろう」と疑問が浮かびますよね。

保育士の資格を取得する方法が以下の通りです。

  • 通信教育講座を受ける
  • 独学で保育士試験の勉強をする
  • 職業訓練に通う
  • 最短資格がなくても保育士にはなれる

現実的に考えてこの中から自分にできそうなもので取り組んで見ましょう。

資格取得の流れについては以下の関連記事で詳しく紹介しているので気になる方はチェックしてみてください。

【参考】30代未経験保育士でも就職できる!これから保育士を目指す人も歓迎

【参考】保育士になる年齢は何歳まで?年齢が高くなってからの資格取得の方法や働くまでの流れ

資格を所得して保育士として働こう

保護者の対応や子どもの対応の仕方など大変な面も沢山ありますが、それだけではありません。

保育士の仕事はやりがいのある素敵な仕事です。

子ども達の成長を見守るというのは保育士の仕事以外では体験することはできないのです。

魅力があるから何年も働く保育士がいます。

興味がある人は保育士資格を取得して保育士として働いてみましょう。

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