転職を考えている人が指標にするものの一つに、有効求人倍率というものがあります。
「転職したいけど何もわからない」と思っている方や「やりたいことはなんとなく決まってるけどこの業種の雇用状況は?」と疑問を持っている方にとっても、有効求人倍率はチャンスを見つけるために非常に大切な情報です。
「有効求人倍率ってなんのことだろう」と思う方はこちらの記事を見て頂ければ、すぐに理解できるでしょう。
以下では基本的な有効求人倍率について、また他業種に比べて保育士の有効求人倍率はどれくらいなのかを紹介していきます。
現在の保育士の有効求人倍内容
現在最新のデータによると保育士の有効求人倍率は保育士は他業種に比べても有効求人倍率がかなり高いのです。
全国の有効求人倍率
平成29年度厚生労働省「保育士の有効求人倍率の推移」よると平成29年の場合、保育士の有効求人倍率が最も高い時期は2.76倍が最も高く低い時期でも1.8倍です。
上記のグラフを参考にすると、全職種では最も高くても1.58倍程度なので保育士の職種が高いことがわかりますね。
一般的に保育士の転職は4月に行われることが多く、それに向けて1月に求人数がピークを迎えます。
そして2月・3月と徐々に下がっていくのですが、1年で最も低い5月の時でさえ求人倍率は2倍近くあるのです。
ちなみに有効求人倍率とは?
そもそも「有効求人倍率」という言葉を皆さんは、聞いたことあるでしょうか。
有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)をハローワークに登録している求職者(有効求職者数)で割った値のことです。
たとえば、企業側からの求人が10人だったとして、仕事を求めている人が5人いたと仮定します。
そうすると有効求人倍率は10÷5=2倍。
有効求人倍率が高いということは、企業側が人が入ってこなくて困っている状態です。
反対に仕事を求めている転職者にとっては仕事が見つけやすく、選択肢もたくさんあるということになります。
最も人手不足が顕著な東京都の有効求人倍率
2017年の東京都における保育士求人倍率5.39倍との資料があります。(東京都福祉人材対策推進機構運営協議会)
平成29年度都内の保育園の有効求人数は100,353人に対して、有効求職者数が18.630人なのです。
さらにわかりやすく説明すると、この場合「保育園で働きたい」という18.630人全員を雇用したとしても保育園の現場では81.723人も保育士が足りていないという状況ですよね。
以上のことからもわかるように保育の現場は全然、人が足りないのです。そのために保育士をめぐる競争率が激しくなっています。
他業種の有効求人倍率
厚生労働省の「一般職業紹介状況」平成18年のグラフから平成30年12月の数値を比較すると、近年は数値がとても高いのです。
ちなみにバブル期のピークである1990年7月で有効求人倍率は1.46倍です。
さらに、現在は他業種でも人手不足と言われ、人手不足で倒産する企業も増加中です。
それでも有効求人倍率は1.6倍程度なので、保育士の有効求人倍率の高さは異常と言えます。
有効求人倍率が高いとどういうメリットがある?
上記でも述べたように、有効求人倍率が高いということは転職者にとってたくさんの選択肢があるということです。
少ない求人から理想の仕事や職種を選ぶよりも、たくさんある選択肢から探す方がより自分の理想に近い条件の求人を見つけることができますよね。
以下ではさらに詳しく保育士にとって有効求人倍率が高いと、どういったメリットがあるのかさらに詳しく紹介していきます。
人が足りない保育園が多いので求人が豊富
新卒の方や、現役の保育士の方でも1回は「保育士 求人」で検索したことはあるでしょう。
例えば以下のような好条件の求人が沢山でています。
保育士の好条件求人例
- 年間休日120日以上
- 時間外勤務なし
- 月収23万円~
- ボーナス4か月以上
これから保育園に就職を考えている人にとっても魅力的な条件ですよね。
せっかく同じ保育士として働くのであれば、好条件の保育園を見つけて少しでも自分の理想の職場で働きたいものです。
本記事で何度も述べているように保育士の有効求人倍率が高いということは、転職をしやすいということなのです。
これを機会に今の現状に悩みを抱えている人は保育士という仕事は諦めずに、自分はどんなふうに働きたいのかと働き方を見つめ直してみましょう。
倍率が低く採用される可能性が高い
保育士業界は人が足りない、応募が少ない、倍率が低い、採用される可能性が高い…保育園は常時、保育士を募集しています。
中途採用も珍しいことではなく、よくあることで保育園にとっては人が入ってくれることが何より助かるのです。
ただし、「受ければ当然受かる」というような傲慢な態度ではいけません。人が少ないとはいえ人間性は見られます。
条件が改善されていく傾向がある
人が余っていれば多少条件が悪くても人は集まってきます。働かないと生活していけないため、求人が少なく条件が悪い中でも我慢してでも働かなくては、と思いますよね。
しかし、人が足りない中で条件が悪いと人が集まらずに運営に支障がでます。
そのため、条件を上げて人が集まるようにする保育園が多くなるということです。
たとえば、年間休日120日以上、給料高め、住宅手当があるなど様々な条件で保育士確保をしようと保育園側も必死です。
実務経験がなくても働くことが可能
以下の施設では実務経験や資格がなければ就職することはできません。
実務経験がなくても働ける保育施設
- 児童養護施設
- 保育園
- 認定こども園
- 養護施設
- 乳児院
また、認可外保育園は3分の1の職員が保育士資格を取得していればいいのです。s回ほど
最近は大学等ではなく保育士試験を受けて「資格を持っているけど未経験」という人も多いですが未経験の人でも挑戦しやすいのです。そして認可外保育園では資格を持っていると尚更、重宝されます。
ただしこんなデメリットも・・・
今まで転職者にスポットを当てていましたが、今度は求人を出し続けているのに一定数の人がなかなか集まらないという保育園で働く人はどうでしょう。
例えば保育所であれば、以下のように国が定めた保育士の配置基準があります。
子どもの年齢 | 保育士の配置人数 |
0歳児 | 概ね3人に保育士1人~ |
1~2歳児 | 概ね6人に保育士1人~ |
3歳児 | 概ね20人に保育士1人~ |
4~5歳児 | 概ね30人に保育士1人~ |
そのために保育士がいないと子どもの定員数も下げることになっては保育園としての経営もだんだん難しくなっていくのです。
当然、現場の保育士にも影響がでてきます。
人手不足の園で働くと休みがとりにくい
保育園で勤めていると子どもからインフルエンザや胃腸炎など様々な病気が移ります。
知り合いの不幸など様々な理由で仕事を休まなくてはいけないことがありますよね。
人が足りない園では、毎日現場を回すのが精いっぱいで、1人休めばその代わりの人が補うことになるため大変なのです。
残業も増えていく
人が少なくても、園として運営していかなくてはなりません。
仕事の簡易化したとしても保育士の仕事内容が減るわけではないので、人がいない分、ひとりの負担が大きくなるのです。
認可保育園の場合は子ども達につく保育士の数は規定があるため、事務仕事がどんどん後回しになることもあるでしょう。
次から次へと仕事を片付けなくてはいけないので残業をして仕事を終わらせなくてはいけません。そして大抵の場合がサービス残業になり、職場への不満がたまってしまいます。
産休や育休がとりにくくなる
産休とは産前産後休業の略で、出産予定日の6週間(双子等多胎児妊娠の場合は14週間前)から出産までに取れる休暇です。
産休の間、人が1人減ります。職場に人が足りないのであれば「迷惑がかかってしまうかも…」と躊躇してしまいます。
産休・育休復帰をしてからの職員間でのトラブルも避けたいですよね。
なぜ保育士の有効求人倍率は高いのか
なぜ、一般の企業と比べて有効求人倍率が高いのでしょうか。
考えられる原因の一つとして、保育士の離職率です。
保育士の離職率は10.3%という厚生労働省の調査結果があります。
保育士になった人のうち10人に1人は辞めてしまうということですね。辞める理由は結婚・出産、給料が安い、職場の人間関係など様々な理由があります。
そして離職率だけではなく、そもそもならない人が多いのも問題です。「待遇が悪いから保育士にならない」という人が沢山いるのが現状です。
保育士というのは命を預かる責任重大な仕事にも関わらず、求人を探しても福利厚生面や給料面で、自分の条件に合ったものがなければ働きたいという気持ちになりません。
仕事を決めるということは生活や自分の人生を左右するもの、そのため簡単に妥協したくないですよね。
また厚生労働省の「一般社団法人全国保育士養成協議会の資料」では2015年の時点で、全国で保育士資格をもっている人の数は約120万人と表記されています。
その中でも保育士資格を持っているけど保育士として働いていない人を潜在保育士と言います。
これからはさらにその人達が「働きたい」「働きやすい」と思えるように今後も保育士の労働環境が整えられ、待遇も良くなっていかなければ「保育士不足」の問題は解決していかないでしょう。
転職したいと考えているならぜひ行動を
今の保育園で働くのに疲れちゃった。私には向いてないのかな。子どものことが可愛くて大好きなのに…。
それは保育士の仕事が向いていないのではなく、職場が合わないだけなんじゃない?人が足りない保育園はいっぱいあるんだから!
「子どもが大好き」「保育士の仕事自体は楽しいのに職場の雰囲気が嫌」と思っているのなら、不満を持ちながらも継続する忍耐力も大事ですが、思い切って環境を変えてみてはいかがでしょうか。
保育園によって雰囲気は全く異なります。
保育士は、家族以外で身近に子どもの成長をみられるやりがいのある素晴らしい仕事です。子ども達と一緒にいると、大変だけど可愛くて笑顔になれますよね。
あなたらしく働ける職場を探してみてください。
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