3歳児は幼児に近づきながらも、まだまだ赤ちゃんな部分もある難しくて可愛い年頃です。
しかし乳児の時のように「〇〇しよう」と言っても簡単には聞いてくれなかったり、「なんで」「どうして」と何度も聞かれて疲れてしまうといったこともあるでしょう。
本記事では3歳児クラスになった時に知っておきたい、3歳児の成長の特徴などについて紹介します。
3歳児の担任になったら知っておきたい3歳児の基本
3歳は3歳特有の可愛さがあり、子どもと話していると癒されます。
可愛い言動が沢山あるのも確かですが、可愛いだけでは終わりません。
「魔の2歳」が過ぎ去り、さらに「悪魔の3歳」とも言われる扱いが難しい年頃です。
3歳児は運動能力は勿論上がり、2歳よりもさらに活動的。
そして思考力も伸びているので「さっきは〇〇っていってたもん」など自分に意見をしっかり主張する姿もあり、大人がちょっと怒っただけでは言う事を聞かないのです。
勿論性格によっては主張もあまりせず、おとなしい子もいますが、言う事を聞かないのは通常の3歳児なので担任をもって子どもが言うことを聞かなくても落ち込まないでくださいね。
3歳児の保育士の配置基準は何人?
3歳児の保育士の配置基準は子ども20人に対し、保育士が1人。
実際は1人で見るのは、かなり大変です。
実際の現場ではここにパートや保育補助の先生が入り、クラスを回すことになります。
保育園によっては人が足りなくてパートが乳児に回ってしまい、殆ど一人で見ている保育士もいるかもしれません。
また認可保育園、認可外保育園によっても保育士の人数配置基準は異なります。
3歳児クラスといっても月齢によって出来ること、出来ないことがバラバラですから、担任になった時は「一人じゃ手が回らないよ」と忙しく過ごしている保育士も多いのではないでしょうか。
3歳児の保育目標
平成30年2月厚生労働省「保育所保育指針解説」によると、3歳児未満の乳児と3歳児以上の幼児で保育目標も異なり、3歳以上の指導計画については保育所保育指針の解説に以下のような記載があります。
3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
【引用】保育所保育指針解説
3歳以上児の指導計画については、一人一人の子どもの主体性が重視されてこそ集団の育ちがあるという点を十分に認識した上で作成することが重要である。
【引用】保育所保育指針解説
0~2歳児クラスでは、子ども自身が個と集団を捉えるのは難しい場合もあり、個人の成長等によってバラバラでしょう。
しかし3歳になると「玩具は自分だけのものじゃない」「みんなと遊んでいる」など集団を意識して社会的なルールも少しずつ理解できるようになるのです。
そして3歳以上児も乳児期と変わらず「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の五領域によって保育内容を示します。
以下、それぞれの五領域の抜粋です。
- 【健康】様々な活動に浸し見、楽しんで取り組む
- 【健康】身の回りを清潔にし、衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする
- 【人間関係】自分で考え、自分で行動する
- 【人間関係】いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ
- 【環境】自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く
- 【言葉】したり、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する
- 【表現】 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由
にかいたり、つくったりなどする
上記の他にも保育所保育指針には保育内容に関する記述がありますが、上記のような感性が育つように保育士は保育の仕方や関わり方を考えていかなければいけません。
3歳児の担任を受け持つ保育士の役割とは
保育士の役割について保育所保育指針解説では以下のように記載があります。
保育士等は、ただ善悪を教え込むのではなく、子どもが自分なりに考えるように援助することが重要である。そして、子どもが自分で気付かないことに気付くようにすることが大切である。例えば、物を壊してしまったというような物理的な結果は分かっても、相手の心を傷つけたという心理的・内的側面には気付かない子どもに相手の意図や気持ち、そして、自分の行動が相手にもたらした心理的な結果に気付くように働きかけることが必要である。
【引用】保育所保育指針解説
上記だけでもわかりやすいですが、子どもに「これはだめ」「これは良いことだよ」と社会的なルールを保育士が教えてあげることだけではなく、子ども自身が自分で考えることの重要ということですね。
そして本人が気づくことが大切なのです。
たとえば子どもが特定の子どもを仲間外れにした時「入れてもらえなかった〇〇ちゃんはどう思うかな」というような声かけを保育士がすることで、子ども自身が「〇〇ちゃんの気持ちになって考えてみる」機会を作ります。
保育士の役割は、直接善悪を教えるだけでなく、子ども自身が自分で考える機会を作ることで、相手の気持ちを考えるなどの子どもの社会性を育てる・集団生活の中で協調性の育ちを援助することです。
確かに家庭でも育つものかもしれませんが、保育園という子どもが沢山いるからこそ効果的に経験できることですよね。
3歳児の成長や特徴、保育士の関わり
3歳児は「なんで〇〇なの」と興味を持って聞いてきたり、「大きい小さい」といった物の捉え方ができるようになる、他にも少しなら数をかぞえるようになります。
そして保育士の話す真似、テレビのマネ、なんでも大人の真似をしたがるでしょう。
自分の感情を表す言葉を沢山覚えたり、「ふわふわ」「ガリガリ」など物体の雰囲気を表現する言葉(時に自分で言葉を作りだすこともあります)を表現するなど、言語能力も発達します。
0~2歳児と接してきた保育士なら、「3歳児はコミュニケーションがとりやすい」と感じるでしょう。
他にも「先生と一緒に新聞紙、準備してくれない?」など頼み事をすると、それを理解し、喜んで子どもなりにお手伝いをしようとする姿が可愛いです。
3歳児の食事風景や保育士の関わり方
2歳児までは食事が地獄と感じたこともあったけど、食べ方の面では3歳になると大分おねえさん・おにいさんになるよね。
たしかに~。
食事中の3歳児は以下のようなことができます。
- 自分で食べられる
- 器を持って食べられる
- 食べ物をこぼさず食べられる
- 子どもによっては箸を使える
- 友達とお話を楽しむ
2歳児頃までは手で食べたり、汁物が口からこぼれたりしますが、3歳児になるとかなり上手になります。
しかし家庭での指導によっては後ろを向いて食べる子ども、肘をついて食べる子ども、立ち膝をして食べる子どももいるので、その場合は注意してあげましょう。
それまでは食後の片付けも大変でしたが、大分楽になります。
またクラスの月齢によって食器の片付け、自分の弁当箱やおしぼりを片付けるなどの後片付けも子どもにしてもらうのです。
時々子どもを注意することがありますが、一緒に食事をする保育士も子どもと話しをしながら楽しく食事をすることができます。
3歳児はとにかく体を動かしたい!楽しいことして遊びたい!
3歳児はジャンプしたり、布団にダイブしたりダイナミックに遊ぶことが大好きです。
それだけ身体能力も上がる年齢なのでしょう。
他にも片足立ちなど体のバランスをとることができる、音楽に合わせて走っていても音楽が止まればピタッと急に止まることができる、つま先立ちができるなど3歳になると基礎的な運動能力が身についていきます。
子どもが思いっきり体を動かせるように天気が良く、気持ちよく散歩ができる日は進んで散歩に行ったり、室内遊びでも広いホールを使って体を動かす設定保育を考えないと子どもは体力を持て余すでしょう。
子どもの体力が残っていると午睡時になかなか寝付けなかったり、保育室などの狭い場所でも走り周り、怪我をしてしまうこともあります。
室内が狭くてもリズム遊びやCDをかけて踊るなど、少しの時間だけでも身体を動かす時間を作ってあげる必要がありますね。
3歳児は簡単なストーリーを理解できるようになる
たとえば桃太郎や3匹の子ぶた、赤ずきんちゃんなどの短く分かりやすい物語であれば話の内容を理解できるようなるのが3歳児です。
そのため絵本の読み手となる保育士も絵本を考えるのが楽しくなりますね。
そして3歳児はごっこ遊びも上手になります。
2歳児が喜ぶ「だるまさんが」を読んでも盛り上がるかもしれませんが、せっかくなので少しだけ物語性のせいのある絵本を選んであげると日々の遊びへ展開することができ、子ども自身も楽しいでしょう。
3歳児の友達との関わりはどんな感じ?
3歳になると「〇〇ちゃんとは遊ばない」「△△ちゃん好き」など自分と気が合う子が誰か、自分に優しい子、意地悪な子などが分かってくるようです。
そのため「いれて」「だめよ」という状況で「なぜだめなのか」聞いてみると、「〇〇ちゃん玩具取るから」「約束わからないんだもん」など自分がなぜそうしたのかを意外としっかりとした答えを言う子もいます。
そして「個人で遊ぶのも楽しいけど皆で遊ぶのも楽しい」「ちょっと難しいけど簡単なルールの中で遊ぶのも楽しいかも」と遊びの幅がどんどん広がっていく3歳です。
玩具の取り合い等は3歳児、4歳児になってもありますが「これあげるから、これ貸して」など子ども達の間で解決する場面も見られるでしょう。
また「ねえきっとこれ〇〇かなぁ」「あれはきっと△△だよ」など3歳児同士の話をこっそり聞くと面白いですよね。
先生や親との関わりも好きですし、まだまだ甘えたい年齢ですが、2歳児の頃よりは落ち着き、子ども同士の繋がりが見られます。
3歳児との会話 どんなことを伝えられるの?
3歳になると「ママ、仕事行った」「きのうバナナ食べた」など大体の子が3語文を話すことができます。
話が上手な子は「昨日ママとアンパンマン見たの」など流暢に話すことができたり、「〇〇だから△△しない」と理由を言うこともできるのです。
喧嘩などのトラブル時も誰に何をされたのか言うこともできる子がいる一方、まだそういうことが曖昧で説明できない子もいます。
保育士は子どもの性格を配慮しながらトラブルを解決する必要がありますね。
保育士が3歳児担任になると抱える悩みやQ&A
3歳児からは複数担任ではないので、保育補助やパートで働く保育士の力を借りながらも担任一人でやっていかなければいけません。
2歳児ほど伝わらない歳ではないけど、4歳や5歳のように保育士の話の全てが伝わるというわけではない3歳児。
日々担任保育士を悩ませているでしょう。
以下、保育士が3歳の担任になると抱える悩みに対しての回答を紹介します。
友達との喧嘩。保育士が仲介に入っても納得してくれない
3歳児は自分の意見がハッキリしています。
控えめな子であっても「絶対にこれは譲れない」と喧嘩の際は真剣です。
大人がそこへ介入しても、仲直りができなかったり、その後も引きずることがあります。
子どもなりに「許せない」「〇〇だったのに」など納得いかないことや何か思うことがあるのでしょう。
保育士は子ども同士のトラブルを仲立ちして解決することも役目ですが、それが上手く出来ない時もあります。
3歳児はまだ少し赤ちゃんな部分もあるので、自分の感情の落としどころが分かんないでいることがあり、保育士が子ども同士のトラブルを全て上手に解決できないこともあるのです。
「そういうこだわりがある年頃なんだ」とある程度仲立ちをしてお互いが納得いかない場合は様子を見るというにも一つの案ですよ。
そして落ち着いてから子ども一人ひとりに「さっきはどうしたかったの?」と時間差で話を聞いてあげるのも良いかもしれませんね。
なんでも一人で出来ると勘違いしているみたいで・・・
3歳児は「なんでも一人で出来ると勘違いしている」ようにも見えますが、それは成長の過程において大切なことなのです。
「自分はこんなこともできるようになった」と高いところから跳んでみたり、危なっかしい手つきでハサミを使います。
しかしそれはある意味、健全な3歳児の成長です。
「自分がいま何ができるのか」と試してみたり、「これをやったら痛いんだ」と学ぶ時期なのでしょう。
3歳児は次から次へと新しく面白い遊びを探します。
そして自己主張をしながら「自分の思いを大人に受け入れてもらいたい」という気持ち、「何かあったら助けてね」という甘え、「〇〇したいけど、きっとだめかもしれない」という自己抑制とのバランスの中で過ごしているのです。
保育園の場合は家庭のように一人ひとりのペースで何かをしてあげることが難しい環境にありますが、できる限り「子どもが納得するまでやらせてあげる」という方が子どもにとっても保育士にとってもストレスがなく良いでしょう。
トイレに誘っても全然来てくれない
3歳になるとそろそろオムツではなく、パンツに移行してほしいのでトイレトレーニングを焦ってしまいますよね。
3歳児も大人の圧を感じるのか「トイレ行くと楽しいことあるよ」ではもう誤魔化すことができないのです。
子どもはトイレに行くのが嫌になる時期があります。
理由としては「失敗するかも・・・」という気持ちからトレイに行きたくない、自分が離れたら遊びの場をとられる、玩具を違う人に取られるという不安、「トイレに行く時は遊びを止められるから嫌」・・・などです。
そういう時は「〇〇先生にここの場所は△△ちゃんのだから取っといてもらおう」「玩具はここに置いておくから誰にも取られないよ。もし取られても先生が取り返すから大丈夫」と子どもを安心させてあげてくださいね。
しかし思考錯誤試しても全く効果がないということもあります。
3歳児は自分の気持ちに素直ですから、「行きたくない」といえば絶対に行きません。
保育士も失敗すると後片付けがある、着替えの予備の残りが少ない、周りの子の服等を汚すなど不安に思いますが、どうしても行かない時は諦めて子どもの気持ちを尊重してあげましょう。
失敗しておしりが気持ち悪いと感じたら、徐々にトイレに行くようになります。
子どもの状況を保護者に伝えて、パンツやズボンの着替えを余分に用意してもらうなど子どものペースに合わせてあげると良いですね。
また大人が焦っていると子どもはやる気をなくしてしまうので、しつこくなりすぎないように気を付ける必要があります。
3歳児におすすめな遊びは?
天気が良ければ外に行って遊べますが、そんな日ばかりではありません。
室内でも工夫して遊ばせてあげたいですよね。
以下室内遊びで盛り上がる遊びです。
- けんけんぱ
- 宝探しゲーム
- チラシ遊び(テープ等使用可)
- ぬりえ
- ごっこ遊び
- ダンス(エビカニクス等)
- シール貼り
上記の中でも保育園や子どもの発達に合わせて遊んでみてくださいね。
運動機能が発達している3歳は、けんけんぱの枠を作り担任保育士が実際に跳んで見せてあげると「やりたい」とすぐに真似してくれるでしょう。
また指先を使う遊びも発育に良いとされているので、塗り絵やシール貼りも取り入れたいですね。
他にも3歳児はごっこ遊びも大好きです。
ただおままごとの玩具を出して遊ぶだけでなくハンカチやエプロン、警察の帽子や板前さんの前掛けなどひと手間ですが、そういったものを用意してあげると集中して遊ぶことができるでしょう。
まとめ
3歳児の担任は難しい面もありますが、話も上手な3歳児との遊びは楽しいですよね。
上記で遊びについて紹介しましたが、導入で使う絵本やペープサートによっても遊びの展開がしやすくなります。
上手く利用して子ども達の発想力を合わせると楽しい遊び、子ども達がハマってくれる遊びが見つかるでしょう。
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