保育士は年度途中で退職・転職するがNGというのは大きな間違い、ただし注意点も

保育士は年度途中で退職・転職するがNGというのは大きな間違い、ただし注意点も 保育士の悩み

たとえばあなたが保育園に就職した際に「年度途中で辞めるということはしないでください」と契約時に口頭で言われませんでしたか。

年度途中で辞められると、迷惑がかかるといった内容の話をされた人もいるかもしれません。

保育園側は、できれば長く勤めてほしいという願いがあるでしょう。

その印象が強く「年度末に退職できないのかな」と思っている保育士の方もいるかもしれませんが、年度途中でも退職することはできるのです。

保育士の年度途中の退職・転職はなんでダメとされてるの?

保育士の年度途中の退職・転職はなんでダメと

他の仕事であれば、退職時期なんてそこまで限定されていません。

年度途中だろうが、年度末だろうが関係なく退職や転職が可能です。

しかし保育士は年度途中はNGで年度末が原則。それはなぜでしょうか。

担任が変わってしまうなど子供への影響が大きい

保育士は基本的にクラスの担任、もしくは副担任になって仕事をします。

そして子どもたちはもちろん、保護者だって、1年間はその先生が担任なんだという認識しましす、信頼・信用も生まれます。

そんな中で、年度途中に担任が辞めて違う人が担任となるのはやっぱり戸惑いがあったり、あまり好ましくないという実情があります。

保育園側としてすぐに対応することが大変

保育園は経営的にもそこまで余裕があるわけではなく、余剰人員は抱えずにぎりぎりの人数で運営しています。

その為、年度途中に人が辞めてしまうと、保育園自体の運営に支障がきたしたり、他の保育士の負担が極端に上がってしまうことになりかねません。

代わりの人を入れるにしても、求人を出して人を入れるというのはそれなりに時間がかかります。

また転職サイト等に求人を出すこともお金がかかり経営を圧迫しかねないのであまりやりたくはありません。

だからこそ年度途中ではなく年度末に、かつかなり前もっていってもらって準備をしたいというのが保育園側の本音としてあります。

保育士自体が人手不足で募集をかけても人が集まらない

保育士は全国的にかなり不足しています。特に東京の保育士不足はひどく、有効求人倍率は5倍以上です。

その為、募集をかけてもすぐに人を採用できるとは限りません。かなり時間がかかってしまうケースも多々あるのです。

年度途中の、それも突然となると、保育園側としてかなり苦労することになってしまうのです。

保育士の退職・転職は年度末が基本、でも年度途中でももちろんOK

こういった理由から、保育士の退職・転職は年度末が基本となっています。

では年度末途中には絶対にしてはいけないかというと、決してそんなことはありません。

法律として退職時期は限定されてなく、保育士にはいつでも辞める権利があるのです。

退職時期なんて限定されていない、いつでも辞める権利を持っている

もちろん保育士が退職するベストなタイミングは年度末です。

年度末なら自分に任された仕事も全て終わらせることができますし、進級すると職員の配置も変わるため、保育園側としてもスムーズに人の入れ替えができる時期ですよね。

でもそれは保育園側の都合であって、年度途中で辞めることができないというわけではありません。

退職について、法律では以下のように定められています。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用:民法第627条

上記の法律をわかりやすく言うと「退職します」と園長に伝えて、2週間が経てば退職できるということです。

でも色々言われそうだし、引き止められそうだしやっぱり難しいのでは?

なんでベテラン保育士とかって、途中で辞める人のこと悪く言うんだろう。遠回りに私に言ってるんだろうなっていう圧力。

ほんとあの雰囲気怖い、言いづらいよね。

「年度途中に辞めたい。でも辞めるのが難しそう・・・」と思ってしまう理由には、2つの原因があります。

一つ目の原因は、基本的に保育士業界は人手不足なので、いつ辞めるにしてもしつこく引き止められて、辞めることが難しいからです。

辞める相談をしていたのに、園長との話し合いが長引いて、結局続けることになったという保育士も多いでしょう。

二つの目の原因は、年度途中で辞める人はダメ、無責任な人と同僚から念を押されているからです。

特に新人に対してベテランの保育士や先輩は「年度途中で辞めたら迷惑なんだよね」というのを話題にしてきます。

その時の会話や雰囲気、周りの保育士の表情から年度途中で辞めたらいけないという雰囲気に「年度途中で辞めるのは難しいのかな」と感じてしまうのでしょう。

確かに年度途中で人が辞めると、周りにも迷惑がかかります。

残された保育士は自分の仕事や負担が増えることが嫌なので「年度途中で辞める人」を優しく受け止めることが難しいです。

ようするに、やっぱり年度末で退職することに比べたら難しいことに間違いはありません。

ただ辞める時は大変でもやっぱり辞めるべき

色々大変であることを考えると、可能ならば年度途中ではなく年度末まで待つべきです。

上司や同僚のみならず、子どものことを考えてもその方が良いというのは間違いありません。

ただだからと言って、自分を犠牲にすべきかと言うと決してそんなことはないはずです。

辞めるべき理由があるなら、たとえ年度途中であろうが、周りに色々言われようが、やっぱり辞めるべきです。

仕事や人間関係などのストレスから精神的に限界で辛くて辛くてたまらないのであれば年度途中でもやめるべきです。

サービス残業や持ち帰り残業があまりにひどかったり、労働条件も悪すぎるなら年度途中でも辞めるべきです。

たまたま転職活動するともっと良い保育園が見つかったら、年度途中でも辞めるべきです。

自分を犠牲にしてまで上司の為、同僚の為に働いても良いことなんてありません。

転職だって大丈夫

保育士の転職が活発になるのは年度末です。

しかし年度途中での転職が難しいかというと、決してそんなことはありません。

厚生労働省平成29年度「保育士の有効求人倍率の推移」を参考に見てみると、最も有効求人倍率が低くなるのは5月ですが、それでも2倍近くあります。

これは他業種のピーク時間よりも高い数値です。

ようするに保育士は年度途中であってもいくらでも転職することはできるということ。

転職にも何の心配もいりません。

関連:転職したい保育士に朗報。有効求人倍率から見る保育士の転職しやすさ

契約社員、嘱託社員など契約期間が決まっている人は要注意

先ほど紹介したように、2週間前の申し出で退職は可能となりますが、それはあくまで正社員などの契約期間が定められていない場合に限られます。

契約社員や嘱託社員などのように契約期間が決められている人は、原則として契約期間が終わるまで退職することができません。

たとえば4月1日に契約社員として1年雇用で入社した場合、翌年の年度末、3月31日まではやむを得ない理由(病気など)がなければ仕事を続けなくてはいけないのです。

引き止められない退職理由とは

まずは自分の本当に辞める理由を明確にするのが大事です。

それから、園長に伝えるべき内容なのかどうか判断しましょう。

年度途中に辞めるかもしれないということを早めに相談しておくのがベストです。

以下、引き止められない退職理由を3つ紹介します。

ただ嘘をつくのはあまりよくありませんので、使うかどうかはよく考えてからにしましょう。

もしこれと言うものがないなら、特別伝えないというのも実は一つの手であったりします。

仕事が原因の体調不良

サラッと辞めたい。話し合いも2回くらいで終わらせたい。

それなら避けた方が良い退職理由があるからチェック!仕事を続ける気がないことをしっかり主張してね。

「夜眠れない」「食欲がない」「何もしてなくても涙が出てきてしまう」というような精神状態で、仕事をするのは不可能です。

そんな状態にある保育士が「辞めたい」と言っているのに、引き止める園長はいないでしょう。

もしそこで引き止めて働かせ続けた後、その保育士が取り返しがつかないくらいに体調を崩してしまった場合、保育園側は責任がとれませんよね。

そのため体調不良が理由なら、引き止められる可能性が低いです。

家族の介護など身内に関すること

たとえば「親が倒れた」「親の介護が必要になった」という理由です。

他にも親や親族が自営業をしていて「高齢なので仕事を受け継ぎたい」というのもあります。

「親が倒れる」「介護が必要になる」というのは、突然な出来事です。

そのため保育園側からすると体調不良同様、引き止めづらい退職理由でしょう。

結婚・出産

これも引き止められない理由で有効なのですが、場合によっては引き止められる可能性があります。

理由は結婚したとしても仕事を続けられる、実際に続けている人もいるからです。

「結婚する、出産する」という理由だけでは、年度途中で辞めるという理由として不十分と捉えられてしまい、スムーズに退職できないかもしれません。

たとえば「結婚して旦那の転勤先についていくことになりました」と言われてしまうと、園長や主任も引き止めることができないでしょう。

出産に関しては「育休とればいいじゃない」と言われてしまう可能性があります。

そういう時には「育休をいただいても、現場復帰できない」と事情を説明して理解してもらいましょう。

年度途中で退職する場合の注意点

権利があるとは言え、年度途中での退職は年度末の退職に比べると、上司や同僚に迷惑をかけてしまうというのも事実です。

だからこそ、以下の点については注意するように心がけましょう。

辞めると決めたら報告は早く

退職するというのは、中々伝えにくいもの。特に年度途中となると、何を言われるだろう、辞めさせてくれないのではないかと不安も大きくなって、中々言えずにずるずる言ってしまいます。

ただずるずる言ったところで、いつかは言わなくてはいけなくなることに変わりありません。

言わなきゃと思いながら過ごすのは精神的にもよくないです。

また保育園側としても、退職者の後任を探すなど色々としなければいけないことが発生します。早ければ早い方が対処はしやすいです。

2週間前はさすがに早い、できれば1ヶ月前には申し出たい

法律上は2週間前と言いましたが、正直2週間は短すぎます。後任を探すにも引継ぎをするにも、あまりに時間が足りません。

精神的に限界でこれ以上は無理などの理由がある場合は別ですが、そうでないなら退職日は申し出てから1ヶ月はあけたいところ。2か月あれば十分で、トラブルになる可能性も少ないです。

転職のこと、辞めた後のお金のこともしっかり考えておく

次の仕事が決まった上で退職するならいいのですが、辞めてから考えるという人は注意が必要です。

すぐに転職するつもりではなくても、転職活動は早めに始めた方が良いので転職サイトへの登録や情報収集はすぐにでも行いましょう。

またお金についてもしっかり考えておいてください。

自己都合の退職の場合、失業保険を貰えるのは退職日から3ヶ月後です。その期間は貯金や退職金等で生活していかなければなりません。

今貯金はいくらあるのか、退職金はいくら入るか、いつまでに転職を決めるか、お金の計算とスケジュールを立てることは後々困らないようにじっくり行いましょう。

もし頑なに辞めさせてくれなかったら?退職拒否にはこうやって対処

残念ながら上司によっては、法律を無視して強い引き止めを行い、頑なに辞めさせてくれないケースもゼロではありません。

ただあくまで正しいのはこちら側。しかるべき対処で退職につなげましょう。

まず行うべきは退職届を提出することです。提出した瞬間、退職は決まります。園長が認めようが認めなかろうが、提出し受け取った時点で退職日は決定。その日が来たらもう行かなくてOKです。

その間に、何を言われても辞める気持ちは変わらない、自分には辞める権利があるということを主張していきましょう。

受け取って貰えない場合は、内容証明郵便で送れば証拠として残すこともできます。

もし退職届を出したことで嫌がらせを受けるようなことがあれば、最終手段ではありますが、退職日まで有給休暇を取得してもう1日も行かずに辞めるなんてことも可能ですから、あまりにひどい場合は使ってみることを兼用しましょう。

まとめ

年度途中での退職・転職は極力避けるべきではあります。

しかし、一番大事なのは自分のこと。

やむを得ない、退職した方がいいと思うなら、気にせず退職に踏み切りましょう。

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