【保育士アンケート】保育士が経験したモンスターペアレント事例や対処法【体験談】

保育士の悩み

保育士は子どもを預かる仕事ですから、当然、子どもの「親」とも関わらなければいけません。

たとえば、クラスに20人の子どもがいれば、少なくても20人の親、父と母が揃っていれば40人の親を相手することになります。

特定の特徴を持った親のことを「モンスターペアレント」と呼び、保育士の中には、このモンスターペアレントで苦労している人も少なくはありません。

本記事では、モンスターペアレントの特徴やモンスターペアレントの対応をしなければならない時の対処法について、詳しく紹介します。

モンスターペアレントとは

モンスターペアレントとは、保育園に対して自己中で、理不尽な要求をしてくる親のことです。

一時期、テレビやドラマなどでも取り上げられたり、モンスターペアレントという言葉を知っている人も多いはず。

また、冒頭でも触れた通り、保育士はの仕事内容の中には「家庭の支援」も含まれているため、少なからず親と関わる中で嫌な思いをしたり、トラブルになった経験をした人もいるのではないでしょうか。

保育園にいるモンスターペアレントの特徴

保育士を苦しませるモンスターペアレント。

まだモンスターペアレントと遭遇していない保育士の方もいるかもしれませんが、モンスターペアレントの特徴を把握しておくことで、事前に対策をしたり、身構えることが出来ます。

そもそも「モンスターペアレントとはどんな親のことなのか分からない」という人は、具体的にはどのような特徴を持っているのか、以下の項目を保護者に当てはめて考えてみてくださいね。

自分が良い親と思い込み、自己中心的な要求ばかりしてくる親

「自分の考えが正しくて、保育士(保育園)が間違っている」と思いこんで、自己中心的な要求をしたり、権利を主張してくる親です。

たとえば、このタイプのモンスターペアレントは「私は保育料を払っているんだから、〇〇を要求する権利がある」と明らかに常識はずれな要求をしてきます。

一度意見を言い始めると止まらず、自分の要求が通るまで「おかしい」と言って、何度も抗議してくるのです。

勿論、保育園に非がある場合は、抗議されても仕方ありませんが、自己中心的で明らかに常識はずれな要求をしてくるという点がポイント。

これは、代表的で世間的にも認知度が高いモンスターペアレントのイメージなので、この傾向が強い親は、すぐにモンスターペアレントだと分かるでしょう。

保育士や保育園に早朝、閉園時間など、時間問わず連絡をしてくる親

早朝や閉園の時間帯は、保育士も少なく、充分に対応することは難しい時間帯です。

保育園によっては、保護者に理解を得て、連絡する時間帯をある程度指定している保育園もあるでしょう。

しかし、モンスターペアレントは保育士に対して、他人に対しての配慮が欠けるため、こちらの事情に構わずいつでも連絡をしてきます。

大体の保護者は、よっぽどのことがない限り「保育士さんも忙しいから、連絡を短く終わらそう」という配慮をしながら、連絡事項を伝えてくれますが、モンスターペアレントには配慮がありません。

朝や閉園時間帯の時間を気にせず、自分が不満を感じた時に、1時間や2時間近く「自分の気が済むまで」電話をかけてきます。

子どもを溺愛しすぎてしまい、我が子さえ良ければそれで良いと思っている親

我が子を大切に想う親。

当然の事のようにも感じますが、これが行き過ぎてしまうとモンスターペアレントとなります。

我が子を溺愛しすぎてしまい、周りのことが見えなくなり「我が子がよければそれで良い」という思考になってしまう親です。

たとえば保育園では、子どもが友達とのトラブルで相手に怪我をさせてしまうことは、よくあることですよね。

仮にモンスターペアレントの子どもが原因でトラブルがあったり、誰かが怪我をしたとします。

そして、保育士が個別で保護者に子どもについて相談、事実を伝える時。

モンスターペアレントは、自分の子どもを溺愛するあまり「〇〇ちゃんがそんなことするはずがない!」と事実を受け止めることを拒否し、他人の助言を聞くことが出来ず、冷静な判断が出来ません。

「自分の子どもに限ってそんなことをするはずがない」という返答があった場合は「モンスターペアレントの傾向があるな」と認知しておきましょう。

子どもの躾がなっていないのを、保育士の指導のせいにしてくる親

モンスターペアレントは責任転嫁が得意なので「〇〇先生が日頃、子どもに対して〇〇だから、うちの子どもがこうなってしまった、どうしてくれるんですか」と保育士の指導のせいにしてくるのです。

本来、躾は親が主となり子どもに教えていくもの、それに加えて、地域や保育園などの機関が見守り、手助けするもの。

しかし、モンスターペアレントの多くは「自分は悪くない」と、どこから湧くのかわからない自信に満ちているので、子どもの躾がなっていないのも保育士のせいにします。

いくら日中、保育園で過ごしているからとはいえ、保育園が子どもの全てではありません。

乳児期・幼児期の子どもは、親からうける影響の方が大きいのです。

たとえば、上記で触れたような、子どもが友達とのトラブルで相手に怪我をさせてしまったことで、保育士が保護者の相談した時。

「〇〇先生が、ちゃんと見てくれて、指導してくれていたら、そんなことにはならなかったんじゃなんですか」などのような返答が返ってきた場合は、モンスターペアレントの傾向がある親の可能性が高いです。(場合によっては保育の体制が行き届いてないこともあるので、一概には言えません)

保育士に対して、嘘や誹謗中傷を言ってくる親(暴言・暴力)

保育士に対して、嘘や誹謗中傷、暴力や暴言を吐いてくる親は、確実にモンスターペアレントです。

モンスターペアレントを通り越して、モラルが欠如している人と言っても過言ではありません。

たとえば、考えられる現場での「嘘や誹謗中傷をしてくる親」の例は以下の通りです。

  • 言ってもいない・証拠もないのに「〇〇先生が、子どもを叩いたところを見たんです」という嘘をつく(保育士をやめさせようと虚言する)
  • 「〇〇先生は、見た目も暗いし、子どもからも好かれてないし、とっとと保育士辞めたらどうですか」と誹謗中傷してくる

暴言や暴力は論外ですね。最悪の場合、裁判や警察沙汰になりかねません。

他にも、暴力や暴言まではいかなくても、話し合いの途中で「物に八つ当たりをする」「必要もなく、わざと強く肩をぶつける」などの行為をするモンスターペアレントもいます。

自分が受け持つクラスや保育園の中に上記のタイプの親、もしくは「感情的になり、暴力行為を起こしかねない親」がいる場合。

早急に園長に相談し、対応について保育園内で話し合いましょう。

保育士としてのモンスターペアレントの対処法

実際にモンスターペアレントを対応する時は、頭が真っ白になってしまい「すみません」と謝ってばかりで状況が悪化するという最悪な事態も考えられます。

何も知らないまま、モンスターペアレントを前にして「冷静な対応を」と言われても、無理があるかもしれません。

そうならないためにも、モンスターペアレントの対応をしなければならない時、どうすれば良いのか、事前に確認しておきましょう。

話し合いの記録をとる、証拠を残す

トラブルの内容に関わらず、モンスターペアレントの対応は、長期戦になることも珍しくないですよね。(その時だけでは終わらず、何回もぶり返す)

そういった場合、後々「言った言わない」「されたされてない」の水掛け論になりかねません。

できれば、後で事実を確認できるように、保育士とモンスターペアレントの会話を録音して証拠を残すことが望ましいです。

たとえば、上記で触れたような嘘や暴言をはくモンスターペアレントに対しては、いつも来る時間帯や玄関で見かけた時に、服やエプロンのポケットにスマホを入れておいて、録音機能を起動させておくと良いですね。

対応中にスマホを触ると、相手の感情を逆なですることになってしまうので、事前に用意しておく必要があります。

しかし、実際にはそれが難しい場合もあるかもしれません。(スマホを保育中に持ってはいけなかったり、用意していない時にいきなり話し合いが始まってしまう)

その場合は、話し合いの直後にモンスターペアレントとの会話や状況を、詳しくメモに残しておくと良いですね。

1対1ではなく、第三者を交えて対応する

まず、注意点として、保育園以外の場所で保護者と話し合いをしない事。

保護者と話し合いをする時は、保育園でする、直接保護者の家に行ってすることがないようにしてくださいね。

何かあった場合に、事実を確認することが出来ませんし、事態を悪化させる可能性があります。

話し合いが長引きそうな時は、次の日や次回の日程を決めて、第三者の目が沢山ある保育園で話し合いましょう。

そして、モンスターペアレントを対応する時は、1対1で対応するよりも、第三者を交えて対応するのが望ましいです。

「第三者が見ている」ということで、自身もモンスターペアレントも、冷静に話し合いが進んだり、抑制が効きます。(中には効果がない人もいますが)

また、万が一、暴言や暴力を振るわれた場合。

第三者がいると対応することができますし、第三者の証言が状況の裏付けとなります。

現場の状況や言動の証言をしてくれる人がいた方が、状況説明により信憑性が増しますよね。

あいだに入る第三者は、園長や主任があいだに入ってくれると良いですが、園長や主任が対応できないこともあるので、そういう場合は、保育士に入ってもらいましょう。

常識の範囲以内で、誠実な対応を心がける

相手がモンスターペアレントであっても「またコイツか」というような態度は控えましょう。

モンスターペアレントは、どこで怒りのスイッチが入るか分かりません。

最初から露骨な態度を取ってしまうと「態度がムカつく」と言われて、話が長引いたり、自体が悪化することも・・・。

こちらに非が無いことまで謝る必要はありませんが、対応に関しては、丁寧に話を聞いてあげた方が自体の収集も早い可能性が高いです。

無理な要求をしてきた場合、曖昧な返事をせずにキッパリと断る

モンスターペアレントの怒りをなだめようと、最初から出来ないと分かっていることに対して曖昧な態度を取っていると逆効果です。

モンスターペアレントは期待していた分、怒りが倍になり、保育士に攻撃してくることも・・・。

納得させることよりも要求を諦めさせることが重要です。

モンスターペアレントの場合、納得させようと保育士が丁寧に説明しても、保育士の主張や話に聞く耳を持ちません。

そのため「どうにか納得してもらおう」と丁寧に説明していても時間の無駄。

たとえば、発表会でモンスターペアレントに「自分の子どもを〇〇役にしてください」など、決めた事項に対して何か言われた時。

「お気持ちは分かりますが、もう決まったことなので、それは出来ません」と、ハッキリ言いましょう。

【保育士アンケート】実際にあったモンスターペアレント事例

実際に現場で働いてる保育士の方々に、モンスターペアレント事例についてアンケート調査を行いました。

実際の事例は、かなり参考になります。

「自分が対応する保育士だったら」とイメージトレーニングをしながら、読んでみてくださいね。

食事用のエプロンにご飯粒がついて戻ってくるが、帰宅してから洗濯しようとするとカピカピになっていて、落とすことができない。保育園で洗濯してほしいと言われた。

朝ごはんを食べさせることはできないのに、食べてきてないので食べさせてくださいといってくる親。自分の子供にも負があるのに怒鳴り込んでくる親。

好きな物だけ食べさせてくれという親や虫刺されにクレーム入れる親、高熱があるのに迎えに来ない親。

ちょっとした擦り傷でも、病院に連れていかないと「訴える」という保護者がいました。保護者に何か伝えるときも言い方一つで機嫌を損なってしまうので、伝える前に職員間で言い方を考えるようにしていました。

自分の子どもが他の子を叩いたりしても、何とも思わないのに、自分の子どもがやられると、大騒ぎする。

トイレトレーニング中に漏れてしまったことによって、パンツにおしっこの匂いがついてしまい、取れない。どうしてくれるのか。と言われた・・・。

自分の子どもだけを大切に見てほしいと過度な要求をして、お迎えの時、ちゃんとみてもらえていないのではと細かい指摘をして毎日のようにクレームをつける保護者がいた。

子どものことを非常に心配して、園での様子を何度も聞いてきたり、園長にも確認したりすることです。子どもが偶然、軽くぶつかったという事だけでも、警察ざたになりそうでした。

乳児担任だった頃の話ですが、ある子どもが熱を出し、検温したところ38度を超えていたので電話をして迎えに来てもらったのですが、帰宅後保護者が検温すると38度に満たなかった様で、なぜ迎えに来ないといけないのですか、と怒られました。

「うちの子のオムツが取れないのは先生のせいだ!」子どものオムツはずれの時期はそれぞれで、個人差があります。

夏の猛暑でも、蚊に刺されないために長袖長ズボンで遊ばせてほしいと言われた。一箇所でも刺されてはいけない!という感じで、子どもは顔を真っ赤にして遊んでいてかわいそうだった。

やんちゃな子どもなのにとても神経質な親がいて、汚れるのでうちの子には絵の具や土遊びをさせなくて良いですと言われた。

お水を飲もうとしたときに子どもがこぼしてしまい、靴下がお水で濡れてしまったので弁償してほしいと言ってきた。

連絡ノートを、あの先生がかくのはいいけれど、他の先生が書くのはいやと勝手なわがままな保護者。

休日保育は事前申請がないと申し込みができませんとお応えしたところ保護者の方が怒り爆発してしまい「仕事をするなってこと」「うちの子どもも預かりたくないってこと」「あなた保育士の資格ありませんよお前なんか嫌いだやめろ!」など暴言を吐かれた。

独身時代におむつや着替えが足りないことを伝えたら「子どもを産んだことがないくせに」と忙しい親の気持ちが分からないからと担当と言われた。最後に「独身は時間があるから代わりに買ってきて」と現金を出して言われた。

年中年長になると2階の教室になりますが、階段を登った2階の部屋は、我が子が落ちると危ないからと一階の教室にしてくれと要求してきた。

運動会で、自分の子どもの写真をいい場所で撮りたいモンスターペアレントです。かけっこのときに、一番前で、他の保護車は座って撮っているのに、立って撮ろうとします。後日、園に立って撮れなかったことをクレームで入れてきました。

実際にあったモンスターペアレントの話。

元保育士の筆者も事例を読んでいて「あるある」「ありそうだな」という内容がほとんどです。

たとえば、新設園の場合「まだ保育園にモンスターペアレントはいないけど、こう言われた場合はどうするか」など、保育園内で話合う時に、上記を参考に話し合うと良いのではないでしょうか。

まとめ

本記事をまとめると以下の通りです。

モンスターペアレントとは

  • 自分が良い親だと思い込み、自己中心的な要求ばかりをしてくる親
  • 保育士や保育園に早朝、閉園時間など、時間に配慮せずに連絡してくる親
  • 子どもを溺愛しすぎてしまい、我が子さえ良ければそれで良いと思っている親
  • 子どもの躾がなっていないのを、保育士の指導のせいにしてくる親
  • 保育士に対して、嘘や誹謗中傷を言ってくる親(暴力・暴言)

モンスターペアレントの対処法

  • 話し合いの記録を取って証拠を残す
  • 1対1ではなく、第三者を交えて対応する
  • 常識の範囲以内で、誠実な対応を心がける
  • 無理な要求をしてきた場合、曖昧な返事はNG、キッパリ断る

子どもと関わる仕事は、どうしても保護者である親とも関わることになります。

年齢や性格、価値観など、様々な人がいる中でトラブルなく、できる限り衝突なく過ごしたいと保育士は思っているはずです。

しかし、自分がそう思っていても、予測できないことを一方的に訴えてくるのがモンスターペアレントなのです。

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