保育士一年目不安や期待で胸いっぱいの中、仕事がはじまり時が経つと「仕事ってこんなに辛いんだ」「保育士ってこんなに辛いの…辞めたい」と感じてしまう人は意外にも多いのです。
本記事では保育士一年目の人が辞めたいと思う理由、また辞めたいと思ったときの対処法を紹介します。
保育士1年目で辞めたいと思う人はかなり多い
世間では長く勤めることが良いとされています。
辛いことを乗り越える力や忍耐力をつけることは勿論大切ですが、辛くて毎日のように泣いて気持ちが落ち込んで、このままでは自分はだめになってしまうと感じている場合も続けた方が良いのでしょうか。
仕事のことを考えると涙が出てきてしまう、この仕事を続けてたら自分はだめになってしまうと感じるのであれば辞めてしまってもいいのです。無理をしてもいいことはありません。
保育士の離職率は厚生労働省「保育士等に関する関係資料の保育所保育士採用者と離職者」によると10.3%もいうのです。
保育士になっても約10人に1人は辞めています。あなただけではなく、多くの人が辞めたいと感じて実際に辞めているのです。
保育士1年目が辞めたいと思う理由・悩み
保育士になる前は「子どもに優しく接していつもニコニコしている魅力的な先生になる」「子どもの成長を見守る」など自分がどんな先生になりたいか、子どもと何をして遊ぶのかということばかりを考えています。
その他の業務や職場での人間関係で苦労することなんて想像していなかったという人もいるでしょう。
社会人になって、実際保育士になると想像もしなかったような壁にぶち当たります。それはいったいどんな悩みなのか、以下の項目で紹介します。
給料が安い
お金が全てではありませんが、生活していく上でお金はやはり大事です。
お金持ちではなくても、理想の生活に近づきたいというのは当然ですよね。
給料は生活に直に影響するため毎日余裕がない暮らしをするのはかなりストレスになります。自分で働いた給料で欲しい物を買うからまた仕事頑張ろうと思えるのです。
友人によって職種も様々だと思いますが、社会人一年目で友人との会話で自分と同じ1年目なのに給料差があったり、生活の差があると悲しくなりますよね。
とにかく仕事量が多い
保育士という仕事の大変さ、仕事量の多さを保育士として1年働いてみて多くの人が感じています。
子どもと遊ぶにはまず保育の準備、その前の段階では保育室の環境整備をして子ども達が安全に遊べるように掃除をします。
雑務が意外と多くて子どもと接する時間が少なく感じますよね。
保育方針が合わない
なんとなくで保育園選んじゃった。
私も若い時は方針とかあまり重要視してなかったな。後になって意外と重要なんだって気づくんだよね。
学生の頃、求人票を見ても文章から雰囲気まではわかりませんよね。そして見学に行った時と実際に働いた時の印象が一致しないということもよくあることです。
自分が持っている保育目標や保育士像と保育園の方針が違う場合、保育することが難しく感じます。
難しい人間関係
例えば職員同士の人間関係であれば保育士はチームプレーですから上手くいってないと辛いですよね。
社会人一年目であれば、初めての社会ですから先輩といっても年齢が離れていたり、園長や主任に対して失礼のないように接さなくてはいけません。
そして新人であっても保護者への対応も任されます。
保護者からしてみればあなたは「先生」であり、自分の大切な子どもを預けるのですから厳しい目で見られることもあります。
しかし保育士一年目であれば職員との人間関係、保護者との人間関係、普段接したことがないような人とも会話をしなくてはいけないので精神的ストレスを感じてしまうでしょう。
先輩保育士に怒られる
新人は仕事をしていてもわからないことばかり。
怒られるとやる気なくなる、てか落ち込む~。ゆとりと言われようが仕事に行きたくなくなるぅ。
例えば突発的に子どもが嘔吐した時や子どもが遊具から落ちた時、保育中に危険なことがあれば一瞬でピリッとした空気になります。
そういったときすぐに子どもの応急処置をしなくてはいけないのですが、どう動いたら良いかわからず立ち止まったまま固まってしまうことがありますよね。
後で振り返ると嘔吐物を布巾で拭き取るなり、子どもに冷やした濡れタオルを持ってたら良かったと冷静に思いつきますが、そういった突発的な事故が突然目の前で起こった時に迅速な対処ができないのです。
保育士の仕事は子どもの命を預かる緊張感がある仕事なので、その場の先生達も何か事故があると余裕がなくなり「〇〇して!」「なにやってるの!~することくらいわかるでしょ!」と新人に対して怒鳴ってしまうのでしょう。
保育士の職場は女性が多いので女性だと指導が感情的になってしまいがちです。怒りのあまり無視をされることもそんなに珍しくありません。
叱られる側も自分に非があると思っていても「あんたなんて保育士やめた方がいい」「あんたのせいでこうなったんだ」などキツイ言葉を言われると泣きたくなくても、つい涙が出てきてしまいますね。
新人は出来ないことがあるのは当然なのに、毎日強く責められて仕事を辞めたくなるのは当然です。
自分に余裕がなくて子どもが可愛いと思えない
子どもが可愛い、子どもが好きと思って保育士になったはずなのに日々の緊張感や疲労から目の前にいる子どもを可愛いと思えないことで悩むことがあります。
毎日のように友達とのトラブルを起こす子どもに対して優しく接してあげれなかったり、気持ちを受け止めてあげれなかったり、そういう時ってありますよね。
そういう時は自分に対しても嫌気がさしてしまうし、そうならないように保育するのが自分の仕事なのにそれも出来ない自分に対して苛立ってしまうのです。
悩みを解決する方法はある?
色々嫌なこともあるけど、これってどこに就職しても慣れない1年目は仕方ないことなのかもしれないなぁ。
悩みによっては解決できるものもあるだろうし、そもそも自分が変わらなきゃどこに行っても同じことで悩むことになるんじゃないかな。
あなた自身が「このまま辞めてしまっては勿体ない」と思うのなら一度、悩みが解決できないかどうか問題と向き合って、改善を試みても良いのではないでしょうか。
一年目は悩むのが当然、辛いことが当然と開き直って頑張れるのであれば周りに相談や愚痴を聞いてもらいながら仕事を続けていけたら良いですね。
長く勤めたからこそ味わえる達成感や子ども達の成長を見届ける保育士としてのやりがいを感じて「今まで頑張ってよかった」と思えることもあるかもしれません。
悩みを解決する方法
全ての人に適するわけではありませんが、自分に照らし合わせて解決策を考えてみましょう。
筆者は2つの保育園で働いた経験があるので経験を含め、悩みを解決する方法を考えていきます。考え方を変えるだけで意外と簡単に問題が解決するかもしれません。
仕事量が多い
仕事量に関しては一年目だからという問題ではなく、保育士の仕事に共通して言えることです。
しかし職場に慣れると徐々に仕事を終わらせるのが早くなります。
1年目は次から次へと新しい仕事を覚えていくのが大変と感じてしまいますが、2年目になると1年目よりも確実に仕事の能率も上がるため1年目よりも苦痛に感じなくなるはずです。
そのため「辛いのは今だけ」と思い、仕事量が多くても優先的なものから時間を見つけてコツコツ処理していけば終わります。
それでも無理なら一度主任や上司に相談し、業務の簡易化を検討してもらうと良いです。
難しい人間関係
人の嫌がる仕事をやるのは中途半端な気持ちではできないけど、便の処理や重たい物を持つのを変わるなど大変な仕事を率先してやる後輩はどこでも可愛がられるよね。先輩に好かれる必殺技って感じかな。
ありのままで好かれなら苦労しないけど。余裕なくても時には自分が先輩だったらどんな後輩を好きになるかなって相手の気持ち考えなきゃダメかぁ。
自分自身の改善により上手くいく問題であれば、先輩が嫌がる仕事を自分から「私〇〇します!」と率先してすることでやる気をアピールするとその努力を認めてもらえる可能性が高いです。
そして社会人ともなれば、自分を突き通すことよりも協調性や相手の気持ちを優先しなくてはいけない場面が多々ありますから、その練習だと思いましょう。
頑張っている姿を見てくれてれる人は必ずいます。信頼を勝ち取ることができるのであれば、挑戦してみる価値があるのではないでしょうか。
先輩保育士に怒られる
人に教えるって難しいし、つい感情的になることもあるなぁ。先輩の立場の私からしたら後輩指導についてどうしたら良いのかいつも悩んでる~。職場では先輩として気を張っているけどね…。
これはある意味一年目の特権なのかな。「次はこんなふうに言わせないぞ」と負けん気で乗り越えるしかないか~!その時期を乗り越えて先輩と仲良くなって今怒られてること、笑い話にしたいな。
先輩の怒る意図を考えて「この先輩は私に何を学んでほいくて怒っているのか」と冷静に考えると、自分の成長のヒントが見えてきます。
先ほど挙げた怒られる例でいえば、子どもが事故やケガをした場合の対処方法は保育士であれば絶対的に覚えた方が良いことですし、いつでも近くに先輩がいるとは限りません。
理由もなく怒る人はいないですよね。
先輩保育士が「なにを言ってもこの子にはわからないだろうな」と諦めていたら、その相手に怒ることもないでしょう。怒られるということはある意味では期待してくれていると前向きに捉えてると良いですね。
※先輩保育士が非常識に怒っているのであれば、主任や園長に相談するのも一つの手です。
子どもを可愛いと思えない
子どもが可愛いと思えない殆どの理由は「疲れている」からです。
例えばどんなに我が子が愛おしく大切な存在であっても赤ちゃんのお世話をするお母さんが疲れてしまい、育児を投げ出してしまいたくなる時と同じです。
そうなった時は休日に沢山寝てゴロゴロして身体の休息をとり、友達と遊んだり趣味に没頭して心の休息をとることで解決します。
保育方針が合わない
保育方針は求人の時点で提示している情報なので、あなたはそれを選んだということになります。
でもこれは実際入ってみないとわからないということもあります。
解決策としては全体的のときは保育園の保育方針に従いながら、自分の譲れない保育観は貫いていくというのが一番ではないでしょうか。
幼児であれば話も理解できるので、喧嘩の仲裁や子どもの気持ちを受け止めてあげる場面では「他の先生は〇〇っていうかもしれないけど、先生は△△だと思うよ。」と言ってあげるといいかもしれません。
保育士それぞれ保育観が違うのは当然のことですので、全体で何かをするといった時以外はあなたらしく保育をしていたら良いのです。
給料が安い
給料に関しては他の問題に比べて解決が難しいです。
給料は求人票の時点で提示しているものなのであなたはその条件を受け入れたということになります。
そして園長や主任に相談したからと言って簡単には解決しないですし、そもそもそんなこと相談できないですよね。これは自分が我慢するか、他の良い条件の保育園を探すことが解決への近道です。
上記の項目を読んでもやはり解決しそうにない場合、一番てっとり早い解決方法は思い切って職場を変えるという選択肢があるのです。
1年目だって転職しても問題ない
あなたが辞めたいと言っても周りの人は「もう少し続けてみなよ」「勿体ないよ」と言うかもしれません。心に余裕があるならそれも良いですが実は保育業界は人手不足なので求人が沢山あります。
問題解決のために頑張ってみたけどもうだめだ…と思うなら転職してみてはいかがでしょうか。
保育士の有効求人倍率は他業種と比べてとても高いのです。
年度末に辞めることがベストではありますが、それでも本当にしんどいと感じてもう職場に行くことを考えただけで食事も喉が通らないなどの状況であれば、年度途中であっても辞めた方が良いです。
仕事のためにそこまで自分を追いつめて犠牲にすることはありませんよ。
上記で挙げた仕事量、保育方針、給料の悩みであれば職場を変えるだけで簡単に解決することが殆どです。
保育士の求人は2019年3月に公開されている厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移」よると、1年で最も低い5月の時でさえ求人倍率は2倍近くあります。
有効求人倍率が2倍ということは保育園の求人数が10人であれば、仕事を求めている人が5人しかいないということです。
保育園側はその5人を採用しても5人足りないという状況なので、働き手のこちらにしてみたらチャンスが沢山あるということになるのです。
※有効求人倍率とは・・・求人で募集している人数に対する有効求人数のこと。有効求人数というのは職を探している人の数。
最後に
筆者も初めて勤めた保育園は1年で辞めましたが後悔はありませんでした。そこの保育園は真面目でしっかりしている古風な保育園でした。
そこで働く先生達は静かで優しい人が多かったのですが、筆者が目指している理想の保育士像ではなく、そこで保育士を続けていても楽しくなかったと思います。
次に勤めた保育園は全く違う雰囲気でアットホームで元気で明るく暖かな先生達でした。保育園を変えただけで毎日自分らしく保育をすることができ、のびのびと仕事ができました。
良い意味で前の保育園で過ごした1年と次の保育園で過ごした1年は全く違う1年をなったのです。
圧倒的に仕事を楽しいと感じることが多かったため今の保育園に不満があったり、人間関係で悩んでいる保育士友達の相談を聞いた時は転職を進めます。
保育園はいっぱいあるのですから、自分に合った保育園を探すことで理想の保育園にたどり着くことができるのです。あなたを必要としている保育園は他にも沢山あるのです。
そしてまた新たに頑張って、あなたらしく働けるようになると良いですね。
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