仕事関係で悩んでいると「もう辞めたい、すぐにでも辞めたい」と思ってしまうことがありますよね。
そして「明日から仕事に行きたくない」と気持ち的にも追いつめられてしまうこともあるでしょう。
本記事では突然辞める時に必要な退職方法、手続きについて紹介します。
突然辞めるの大丈夫?
仕事辞めたいな~。もう園長とか職員の顔も見たくない。保護者も無理。飛んでもいいかな。(※)
突然辞めることをバックレともいうよね。そんなに限界なのかぁ、辛いね・・・。
※飛ぶとは・・・何も言わずに出勤しなくなり、実質突然辞めること
突然辞めるというのは、急に出勤しなくなるということです。
平成28年度厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」の3年目の離職者数を見ると、短大では3年以内に41.5%の人が辞めるという結果が出ているのです。
保育士の離職率は高いので5割を超えるかもしれません。
大げさかもしれませんが、保育士になった2人のうちに1人は辞めるということです。
実際にこれだけ辞めている人のデータがあるのですから、あなたが「辞めたい」と思っても、珍しいことではありません。
そして場合によって、突然辞めるのはアリです。
以下詳しく紹介します。
バックレはだめ
社会人のマナー的には、突然辞めるというのは1番避けたい選択です。
突然辞めることで保育園や保護者、子ども達にも迷惑をかけてしまいます。
たとえばあなたが突然辞めたことによって、他の職員の配置やシフトが変わってしまうことで残された職員達の予定を大きく狂わせるのです。
他にも引継ぎもしていないため仕事の内容も把握できず、それを調べるのも手間がかかります。
そしてあなたが担任をもっていた場合、保護者や子ども達は混乱してしまうでしょう。
保護者も保育園に対して不信感をもったり、子ども達も担任がいなくなってしまうと寂しがります。
他にも突然辞めたあと、辞めた職場の同僚や保護者に街中で会ってしまった時のことを考えるとかなり気まずいです。
店の中で逃げることになります。
隠れて生活しなきゃいけないなんて、めんどくさいですよね。
2週間前ならOK
最短で辞めれる方法ある?
実はあるの。
退職については、民法で定められています。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法第627条
上記の法律をわかりやすく言うと「退職します」と園長に伝えて、2週間が経てば退職できるということです。
そしてもう一つの気になる点は、非正社員の保育士や臨時職員の保育士の場合、就職した際に保育園側と労働規約で契約を結んでいますよね。
そこでは1年間や3年間など契約期間が記載されていますが、契約した期間未満であっても上記の法律さえ守れば退職できるのです。
他にも退職理由について、明確に記載しなければいけないという法律はありません。
要するに、退職理由を伝える義務はないのです。
そのため理由が面倒くさいなら「一身上の都合で」と答えるだけで良いでしょう。
しかしそれだけでは園長や同僚も納得してくれないかもしれません。
双方気持ち良い退職がしたいのなら、ある程度の理由は用意しておく必要がありますね。
有給休暇を使えばすぐに辞めれる
もし有給が残っているのであれば「二週間後退職します」と言って、その二週間は有給を使うことで実質明日から退職というのも可能です。
有給を突然使えないという暗黙のルールがある保育園であっても、退職の場合は有給を使うことができます。
本来有給は労働者の権利であり、休む理由はなんでも良いのです。
そして雇用者(使用者)には時季変更権というのがありますが、退職の場合は2週間で辞めてしまうことが決まっているので時季変更権を使うことはできません。
※時季変更権とは・・・使用者は労働者から有給を請求された時期に有給を与えることで事業の正常な運営を妨げる時に、時期を変更することができる
体調不良で休んでもいい
明日から辞めたいけど、有給も残っていないという時はどうしたら・・・。
「もう絶対に職場に行きたくない。一刻でも早く辞めたい。耐えられない・・・」という人は体調不良を理由に辞めましょう。
体調不良と言ってしまえば、出勤することが難しい状況にあるということを理解してもらえます。
診断書があればベストですが、用意していなくても大丈夫です。
原則としてタイミングは年度末、遅くても1か月
保育士が退職するベストタイミングは2~3月の年度末です。
2~3月であれば、1年間の仕事をほぼ終わわせることができますし、4月で調度担任が変わることもあるので職員配置も問題ありません。
そして退職を申し出るタイミングは最低でも1か月前が良いですね。
1か月前に知っていれば保育園側も求人を出したり、保育士の人数配置を調整を検討する時間があります。
給料や退職金はもらえる?
給料が〇日始まりで△日締めというのを気にして、突然辞める人はいませんよね。
「もう無理辞めたい」という感情は、自分が知らない間に溜まっていて急に「限界だ・・・」となってしまうものです。
そして辞めることを決意して、その後色々考えていると「自分が働いた分の給料はどうなるんだ」と疑問に思いますよね。
働いた分はしっかりもらって辞めたいでしょう。
他にも毎月退職金として積み立てしていた分はどうなるんだろう、と気になります。
以下、詳しく紹介します。
給料
突然辞めた場合、働いた日までの給与は支払われます。
2週間前の申し出を行い法律上正しいやり方で退職した場合はもちろんですが、バックレ等をした場合でも働いた分の給料は支払う義務があります。
ただ義務はあっても、未払い等のトラブルになってしまう可能性もゼロではありません。
実際、他の仕事ですがばっくれた結果その月の給料が振り込まれず、しかしばっくれて請求したくてもできなかったなんて人がいました。
退職金
退職金は2週間前の申し出を行い法律上正しいやり方で退職した場合はもちろん支払われます。
しかし2週間のルールも守らず、勝手に保育園に行かなくなった場合は退職金が支給されなくなってしまう可能性があります。
突然辞めた場合、それを無断欠勤とみなし保育園側は懲戒解雇という形であなたの処分する可能性があるからです。。
懲戒解雇となった場合は、退職金の減額を定めている場合が多いです。
損害賠償
えー、損害賠償ってこわい~。
でも損害賠償を求められた保育士っているのかな。
2週間前の申し出に有給休暇を使って突然辞めた場合、ルール上は反していることがないので損害賠償を請求されることはまずありません。
間違ったことをしているわけではありませんから。
ではバックレ等でルールを守らずに辞めた場合はどうでしょうか。
基本的にこの場合も多く場合は損害賠償を求められることはありません。
労働者に損害賠償を請求するとして、裁判を起こそうとしたら保育園側はかなりの費用が掛かってしまいます。
そして保育士は個人に顧客がついているという仕事でもないので、保育園が「園として〇万円の損害だ」と言われても、労働者が突然辞めたこととの繋がりや因果関係を証明することは難しいのです。
ただ損害賠償する権利は有しているということだけは覚えていてください。
なお損害賠償分をまだ支払っていない給料から勝手に差し引くことは認められません。勝手に減額されているといったことがあれば労基署等に相談することをおすすめします。
退職Q&A 突然辞める場合の注意点
突然やめるという手段を選んだ人は、次にどうやって辞めるか考えますよね。
直接相談して辞めるか、電話で辞めるか、メールで辞めるか・・・自分ができそうな手段で良いですが、自分のためにも最善を尽くしましょう。
退職届は出した方が良いのか、出すタイミングは
退職届は大事な証拠となるので、出した方が良いでしょう。
先ほども触れた通り、退職には2週間必要です。
2週間という期間を守らずに辞めると、懲戒解雇という処分になってしまいます。
懲戒解雇になってしまうと上記で説明したようにあなたが損をする可能性があり、他にも後々揉めた時に退職届があなたの正当性を主張できる材料になるのです。
退職届を出すタイミングは、あなたが辞めたいタイミングによります。
有給が2週間以上、たとえば1か月分残っているのなら、1か月前に退職届を出しても良いでしょう。
有給に応じて退職届を出すタイミングを決めると良いですね。
退職の報告はメールでも大丈夫?
何も伝えずに辞めるよりは、メールを送る方が良いでしょう。
そしてメールは証拠となるので、「退職届」の役割を果たしてくれます。
しかし保育園自体にメールを受信する機能がない場合もあるので注意が必要ですね。
そういう時にはFAXでの退職届も有効になります。
ただし、他の職員の目に触れる場合もあるので「もう辞めるから関係ない」と思えるなら良いでしょう。
親に言ってもらっても良いの?
社会人になって親を使うのは気が引ける・・・。
なかなかないかもねぇ・・・。でも急に出勤しなくなるよりはマシかもね。
社会人として退職時に親を出すことは避けたいですが、場合によっては親の力を借りないと退職できないこともあります。
たとえば何度辞めたいと言っていても、なかなか話を聞いてもらえなかったり、退職の話を無効にされるというブラックな保育園の場合です。
そして働いている本人、つまりあなたがもう保育園側の人と話す気力もなく、そういう精神状態にもないという時には親の力を借りても良いでしょう。
自分はもう保育園とは関わりたくないと言って突然明日から行かない、というよりは親に保育園側と話し合ってもらう方が良いかもしれません。
代行業者ってどうなの?
「自分で言うのも辛い、かと言って親を出すのも・・・」と悩んでいる人がいるかもしれません。
他にも何度も退職したいということを相談しているのに、園長が聞き入れてくれないなどという時には退職代行業者に頼むのも一つの手です。
3~5万円くらいで依頼することができます。
最近はなかなか退職させてくれないブラック企業が多いようで、退職代行業者を頼み退職する人も増えています。
転職への影響は?
突然辞めたとしても、転職への影響はありません。どういった退職をしたかはわかりませんからね。
ただ年度末ではなく年度途中に辞めたということがマイナスポイントになる可能性はあります。
面接官も中途半端な時期に辞めているということは、履歴書を見ればわかります。保育士という仕事柄、退職は基本的に年度末というルールがあるので、年度途中での転職を懸念する人もいないわけではありません。
またたとえば以下のような理由は面接時に言わない方が良いです。
- 「ブラック会社だったので」(会社のせいにしている)
- 「親が倒れたので」(嘘っぽい、また親が倒れるかも)
- 体調不良(また体調不良になるかも)
以上のようなものだと、面接官によってはあなたが無責任な人という印象を受けるかもしれません。
そのため転職の際には、たとえば双方の合意の元でこの時期になったというような、しっかりとした理由を考えて面接臨む必要がありますね。
手続きについて
退職かぁ。手続きって直接しなきゃいけないとかって法律あるのかな。
直接とか無理ぃ・・・。
上記でも少し触れましたが、退職の手続きに関しては直接する必要はありません。
もちろん直接口頭で園長に相談するのがベストですが、それが難しい場合は退職届や有給取得に関しての書類などは全て郵送で送りましょう。
「直接職場に出向いてください」と言われる場合があるかもしれませんが、退職の旨を直接言わなければならないといった法律はないので、拒否をすることもできます。
まとめ
「このまま勤めていたら自分がどうにかなってしまう」と思うような職場であれば、早く辞めた方が良いでしょう。
確かに突然辞めるというのは避けたいですが、やむを得ない場合もありますよね。
突然辞めるといっても手段が複数あるので、できるだけ最善を尽くして退職をして、次は自分の条件に合う良い職場に巡り合えると良いですね。
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