保育士がゼロ歳児を担当することでの大変なことや気を付けるべきこと

保育士の豆知識

初めて0歳児のクラスを受け持つことになった保育士は「0歳児の保育ってどんな大変なことが待っているんだろう」という不安や「赤ちゃんが可愛いのはわかるけど0歳児の保育の魅力ってなんだろう」という興味がありますよね。

知識が少しでもあれば実践で役に立つかもしれません。

本記事は初めて0歳児の担任になる上で知っておいた方が良い大変なこと、気を付けるべきことを詳しく紹介します。

0歳児クラスって大変そう…その理由は?

何するかわからないから見ているこっちがヒヤヒヤするんだけど、赤ちゃんってやっぱり可愛いよね~!癒し~!

私は身近に赤ちゃんっていなかったから抱っこするのも怖いし、ずっと泣いてるイメージしかなくて大変そう。話しかけても答えてくれないしどうやって遊んだらいいのか正直わからないなあ。見てるだけなら可愛いんだけど…。

例えば赤ちゃんは「抱っこしてほしい」「あの玩具が欲しい」「うんちをして気持ち悪い」などの気持ちを言葉では表せませんよね。

欲求や不安な気持ちなど全て泣くという手段でしか伝えることができないのです。

その気持ちを汲み取るのもなかなか難しいです。

赤ちゃんは自分の欲求に大人が答えてくれるまでずっと泣き続けるのです。

抱っこしてあやしていると赤ちゃんの体重は5㎏以上あるので腰が痛くなったり、腕がパンパンになります。

誰かが泣くとそれにつられて他の子も泣いてしまい、入園当初などは特に毎日が泣きの大合唱です。

赤ちゃんって身体は小さいのに泣き声は凄く大きいです。

4人くらい泣くともう職員同士の会話も聞こえないくらいで、さらに耳が疲れてぐったりしてしまいます。

想像しただけでも「なんだか大変そう…」な光景が目に浮かんでくるのではないでしょうか。

そもそも0歳児の保育士の規定人数は?

乳児であれば複数担任が当然ですが、子どもの人数によって保育士の配置人数は変わります。

その保育士の規定人数を国が以下のように定めています。

子どもの年齢 保育士の配置人数
0歳児 概ね3人に保育士1人~
1~2歳児 概ね6人に保育士1人~

例えば0歳児クラスで子どもの人数が11人いた場合、保育士は最低でも4人は必要ということですね。

実際この規定の人数であっても保育士の手が足りない!と思う場面が沢山あります。

例えば自由遊びで寝ているだけの月齢ならまだ余裕をもって見ていられます。

しかし月齢によっては行動範囲が広がり、室内でも探索行動が多くなるためトラブルや怪我をする可能性も高まるのです。

保育士1人でそれぞれ違う動きをする赤ちゃん3人をみるのは決して容易ではありません。

立てるようになったばかりでいつ転倒するかわからない赤ちゃん好奇心旺盛で部屋中歩き回る赤ちゃんそれぞれが怪我をしないように見ているだけでかなり神経を使います。

新人が0歳児の担任になることは珍しくない!

実は新任保育士が0歳児などの乳児のクラスになることは多いです。保育園側もいきなり一人担任を任せるよりは複数担任からと思うのでしょう。

しかし新人保育士であれば20代で子育て経験もなければ、赤ちゃんと接した経験がない人もいますよね。

初めて赤ちゃんに関わるのですから、怪我をしてしまわないか不安があったり、赤ちゃんとの距離をどう縮めてよいのかと日々悩むかもしれません。

まず4月当初は赤ちゃんがなぜ泣いているのかわからないという壁に、0歳児クラスの保育の難しさや大変さを実感するでしょう。

泣いている子どもを抱っこをしようとすると手で払いのけられたり、嫌がって尚更泣いてしまったりするとこちら側も「どうしたらいいの」と困惑してしまうのです。

1日の流れ

保育園によって1日の流れは違いますが、だいたい以下のような流れです。

8:30 登園(検温・朝起きた時間に応じて朝寝)
9:00 月齢に応じておやつ
10:00 散歩・自由遊び
11:00 お昼ごはん開始
12:00 お昼寝
15:00 午後おやつ
16:00 自由遊び
16:00以降から お迎え

時間の目安は一応決まっていても月齢によってミルクを飲ませたり、お昼寝をしたり一人ひとりに応じた1日の流れを過ごすことになります。

クラスの全員で上記の表の通りに過ごすのはクラス全体の月齢にもよりますが、0歳児後半になってからでしょう。

0歳児クラスで気を付けるべきこと

小さなゴミや洗濯ばさみなどなんでも入れるから、赤ちゃんが口に入れて事故や怪我に繋がる物は徹底して片付けなきゃいけないよ。たまに実習生とかポケットからペンを落としたりして、それが危ない…。

玩具の管理も大切だね。口に入れても安全で適切な玩具を使って、感染症を防ぐため消毒をしたり、壊れていないか定期的にチェックしたりしなきゃいけないね。

赤ちゃんは基本的に好奇心が旺盛で何でも口に入れてしまったり、棚を上ったりと危険なことをするため目が離せません。

そして当然ですが、0歳児であれば食事・排泄・遊びなど何をするにも大人の手が必要です。

そのため常に室内環境の安全を管理する必要があります。

赤ちゃんが複数人いるため噛みつきなどのトラブルや、押し合いをして転倒してしまうこともあります。

怪我や事故を未然に防ごうとするとかなり神経を使うのです。

そして歩く子は勿論ですが寝ている子でも気づくと玩具の小さい部品を口の中に入れていたということもあります。

赤ちゃんと過ごしているとよく言われるヒヤリハットな場面が多々あります。

※ヒヤリハットとは・・・危ないことが起こり、重大な事故には至らなかったが事故に直結してもおかしくない事象のこと。「ヒヤリ」や「ハッとする」ような危険なことが起こった時に使う。

朝の受け入れ

まずは朝の受け入れですが、この時に前日から普段と変わった様子はないか、夜寝た時間と朝起きた時間、朝食の進み具合など細かく家庭での様子を保護者から教えてもらいます。

そして検温も忘れてはいけません。元気に見えても高熱がある場合もあります。

朝は保護者が忙しくしていて検温をしていないこともありますので、流行り病が流行している時期などは特にこまめに検温をします。

自由遊び

赤ちゃんは大人が想像しないようなことをするので目を離せません。

歩き始めて行動が活発になった子は柵によじ登ってみたりと怪我をしたり、バランスを崩して転倒することがあるので気をつけて見る必要があります。

他にも友達に興味をもち近づく時期は相手の顔をつねってしまったり髪を引っ張ってしまいトラブルになります。

ある程度クラスに慣れてお気に入りの玩具などができると玩具に執着する時期があり、それをめぐり友達を押したり、噛んだりとトラブルや怪我が多発します。

月齢に合わせ、怪我や事故が起こらないように慎重に設定保育を考えましょう。

そして室内や玩具に危険がないかどうか事前にチェックすることが大切です。

ある程度は見守りつつも、怪我をしてしまいそうなときは遊びを止めて違うもので興味をひいてあげてください。

保育士の配置も子どもに背を向けない、全体を見る保育士、など担任の間でよく話し合い、怪我を未然に防げるように努めなければなりません。

赤ちゃんが喜ぶ遊びってある?

赤ちゃんとはふれあい遊びがおススメです。

定番なのは「一本橋こちょこちょ」をしてあげると、とっても喜んで良い笑顔を見せてくれます。

あとは赤ちゃんを自分の膝にのせて「大型バス」を歌ってあげると喜びますよ。

他にも「きゅうりができた」の手遊び歌を歌いながらスキンシップをしてあげると楽しそうな反応を見せてくれるでしょう。

赤ちゃんの好きな本や、おすすめの本を教えて

赤ちゃんは毎日新しい絵本を読むよりも、子ども達が気に入っている絵本を毎日同じ時間に読んであげるとフレーズを覚えて楽しそうに声を出してくれますよ。

0歳児にお勧めの本は以下の通りです。

  • だるまさんシリーズ「だるまさんが」「だるまさんの」(かがくい ひろし 著)
  • たまごのあかちゃん(柳生 弦一郎 絵)
  • 「ねないこだれだ」「きれいなはこ」「いやだ いやだ」(せなけいこ 著)
  • いない いない ばぁ(松谷みよ子 絵 瀬川 康男 絵)
  • ぽんちんぱん(柿木原 政広 作 出版社 福音館書店)

赤ちゃんは絵本を読んであげても、幼児のような反応がありません。

読んでいても静かなので、保育士としては物足りなさを感じてしまうこともあります。

赤ちゃんは絵本を見てポカンとしていることが多いですが、以上の本は赤ちゃんも気に入って笑ったり、真似したりと盛り上がります。

食事の介助

赤ちゃんって食べながも髪や足とかいろんなところを触るから、納豆やカレーが給食に出たときは髪や顔やいろんなところについて大変なんだよな~。

うわー。食べ終わったら上下の服大変なことになってそう…。

栄養士と調理員が赤ちゃんの発達に合わせた食事をだしてくれます。月齢に合わせて食材の形態を変えてくれるでしょう。

しかし赤ちゃんの好き嫌いによってはそれでも食べずらいこともあるため、そういう時は保育士は赤ちゃんが食べやすいようにおかずをカットしてあげましょう。

赤ちゃんがいきなりお皿を押して床に落ちることも珍しくありません。

例えばスティックきゅうりのような赤ちゃんが自分で食べられそうな物であれば近くにおいてあげて、汁物やご飯は手の届かないところにおいて安全面に配慮してください。

特定の人が介助についた時は食べるのに、他の人になると緊張や違和感で食べられないということもよくあります。

赤ちゃんの中でも誰でもいいという子もいれば、愛着関係や信頼関係がある相手でないと食べられない子もいます。

食事が好きな子、苦手な子

食事が好きな子であれば次から次へと口に中に入れようとします。

それを止めてあげて、しっかり飲み込んだことを確認してから口の中に入れてあげましょう。

赤ちゃんはよく噛まずに丸呑みしてしまうことも珍しくありません。

少食で食事が苦手な赤ちゃんもいます。

家庭でどれくら苦手なものを食べて嘔吐してしまう子もいるため、0歳児の場合は無理して食べさせることはないでしょう。

0歳児であっても食事中の良い事と悪い事は優しく教える

0歳児でも苦手な物を食べないようにするために0歳児の赤ちゃんなりに工夫しています。

例えば寝たふりをしてみたり、机の下にポイっとしてみたり、器用に口の中から苦手なものだけを出したりします。

足をテーブルにかける、椅子の上に立つなどお行儀が悪い時、ご飯やスプーンを投げた時など明らかに悪い事をした場合はしっかり教えてあげてください。

0歳児の赤ちゃんは凄いのです。

よく人を見ていて「この人ならこんなことしても許してくれそうだな」「この人は怖いからお行儀よくしよう」などちゃんと人を見ているのですよね。

お昼寝の寝かしつけ

睡眠中に赤ちゃんが窒息などの事故でもなく突然亡くなってしまうケースがあります。(厚生労働省 乳児突然死症候群 SIDSについて)そのため定期的に呼吸確認をしてください。

昼寝になると寝たくないと泣いて怒る赤ちゃんがいます。

園当初であれば眠る時はお母さんが恋しくなってしまったり、場所見知りた人見知りをしているのかもしれません。

「どうやったらこの子が気持ち良く眠れるんだろう」と考えてみましょう。

立って抱っこしてあげたら眠るのか、トントンではなく背中をなでなでしてあげたら良いのか、工夫していくなかでピッタリとはまるものを見つけていくしかありません。

その子によって気持ち良く眠れるような流れを見つけてあげましょう。

0歳児の保育の魅力

先ほど「赤ちゃんがなぜ泣いているのかわからない」と述べましたが初めて赤ちゃんと接する時は誰でもそう感じるのです。

それから何度もスキンシップをとることで笑ってくれたり、追いかけてくれたりしてくれると可愛く思えます。

お世話は大変ですが、赤ちゃんは見ているだけで癒されますよね。それだけでも0歳児クラスの魅力と言えるでしょう。

一緒にいる時間が多くなると子どもの特徴や癖がわかってきて、不思議なことに喋らなくても何を伝えたいのかわかるようになってくるのです。

意思の疎通ができるようになるとさらに愛おしく、可愛さが増していきます。

筆者は保育士として4年間働いたのですが全て乳児でした。

0歳児の担任になったとき「全く赤ちゃんと接したことないのに不安」と正直思ったのです。

担任になってみると大変なことばかりで悩みもつきませんでした。

しかし1年を通して子どもの成長を間近で見られるのでひとりの子どもの「初めて」の瞬間に立ち会えるというのは感動もあります。

初めて0歳児を保育をする人は悩むことも多いかもしれませんが、変さを感じても楽しく保育ができるように赤ちゃんと一緒に保育士も成長していきたいですね。

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