「七田式教育」という言葉。
教育関係に携わる人であれば、耳にしたことがあるという人もいるでしょう。
本記事では、七田式教育の目的な内容などについて紹介します。
七田式教育とは
七田式教育とは、1958年から幼児教育の研究を始めた七田眞(1929~2009)氏が、心の子育てと右脳の発達について提唱した幼児教育論です。
七田式教育の土台となっているのは、ドイツの学者カール・ビッテの理論「才能逓減(さいのうていげん)の法則」だとされています。
この理論では早期教育の重要性が述べられており、七田氏は右脳が発達する0~3歳にかけて行う教育に注目したのです。
0歳からスタートする七田式教育の教室は、全国に約450の教室があります。
また、通信教育・書籍などの教材で、七田式教育のレッスンを受けることも可能。
乳幼児をはじめ妊婦やシニアといった幅広い年齢層もレッスンを受けています。
【参考】幼児教育と早期教育の違いとは?対象年齢、目的、身につく能力、行い方をそれぞれチェック
七田式教育の目的
七田式教育公式サイトを参考にすると、七田式教育の目的について以下のような記述があります。
世界の未来を担う子供たちを、大きな志と奉仕の心を持ち、自らリーダーシップを取れる子に育てることが、七田式教育の一番の目的です。
【引用】七田式教育公式サイト
吸収力の高い幼児期から才能を最大限に引き出して高める教育を実践し、学力・協調性・優れた人間
七田式教育の実績
全国記憶力大会で審査員特別賞を受賞、小学2年生で英検準2級合格、横浜国立大学合格、作曲家、演奏家を数多く輩出するなど様々な分野で活躍しています。
また、フィギュアスケートの本田真凛さん・望結さん姉妹は七田式教育で学びました。
七田式教育の内容
以下、七田式が勧める子育ての6つのポイントをご紹介します。
短所よりも長所に重点を置く
誰にでも短所はあるもの。
その短所に囚われて、子供の良い点を見逃さないようにしましょう。
短所を指摘するよりも、子どもの長所を褒めてあげることで自信がついて能力が伸びていきます。
子供は生き生きとした表情、姿でいてくれた方が、親にとっても嬉しいですよね。
出来ないことがあっても、成長の過程と受け取ること
現在はできなくても成長の過程だと捉えて、子供の成長・発達を見守りましょう。
たとえば、2歳児や3歳児のトイレトレーニングの時。
「なかなか前に進まないな・・・」と思うと、親もクラス担任も不安になりますよね。
現在出来ないからといって5年、10年先も出来ない訳ではありません。
成長には個人差があることを頭に入れておきながら「今は成長の過程。これから出来るようになる」と、子どものありのままの姿を受け入れることが大事です。
子どもに完璧を求めない、完璧主義で育てない
親は「子どもを育てる責任」から、子どもにの実力や能力以上ものを要求をしてしまう事も・・・。
しかし、大人でさえ完璧ではないのに、子どもに完璧を求めるのは可哀相ですよね。
たとえこどもの姿や言動が、大人が思うような結果を出せなくても、不満な態度をするのはやめましょう。
その態度を見た子供は委縮してしまいます。
「子供の目線で物事を見る」「どんな小さなことでもできたらほめる」を心がけるのが七田式教育です。
周りの友達や兄弟と比較しない
上記でも触れた通り、子どもには一人ひとり個性があります。
個性があるのと同時に、成長する速さも様々。
兄弟姉妹やお友達と比較して、子どもにできないことを責めてはいけません。
子ども自身が周りと比較して自分が出来ないと感じることは仕方がないのかもしれませんが、あえて周りにいる大人が言葉にする必要はないですよね。
それぞれの個性を理解して、長所や能力を見つけてあげましょう。
学力中心で育てない、心のバランスが大事
学力を中心に育ててしまうと、たとえば「点数が悪い時」「勉強が上手くいかなくなった時」に自分を責めたり、自信をなくしてしまいます。
そして、勉強が上手くいかないというだけで自尊心が傷ついたり、自己肯定感が低くなってしまうと、生きづらくなってしまうのです。
「勉強だけではなく、あなたにはいっぱい良いところがあるよ」と親大人に言われることで、子どもも安心します。
大人が思いやりの心を育て、優れた人間性を形成するようにサポートすることも大切です。
そのままで100点と見る
子供ができることに満足できず、さらに高いレベルを求めてしまいがちです。
しかし、現在のそのままの子供を100点として受け入れて、ほめてあげましょう。
七田式教育法では集中力を高める、知能、記憶力を伸ばす取り組みを行っています。
詰め込み教育ではなく、直観・想像・瞑想・空間認識力などに関わる右脳を育てるためのものです。
七田式では、能力を引き出して高めるための基礎作りとして、「心の教育」に重点を置いています。
「心の教育」とは、愛情を持って育てること、ほめることで子供の能力を伸ばすことです。
七田式教育で実際に行われること(教室学習)
右脳を鍛えながら左脳も発達させるのが七田式教育で、教室での学習と教材を使用した自宅学習の2種類があります。
七田式教育を導入している教室での学習内容は、以下の通りです。
- 挨拶
- 集中力、精神力
- タングラム
- フラッシュ
- 七田式百玉そろばん
- 俳句、百人一種
- ダ・ヴィンチ・マップ
- ペグ記憶
以下それぞれの項目について説明します。
いずれも子供の年齢に合わせた教育方法で、楽しく学べるように工夫されています。
挨拶
まず、教室に通うことで学習する習慣が身に付き、挨拶も出来るようになります。
家族以外の他者・友達のいる環境の方が、挨拶が身につきやすいですよね。
だんだん教室以外の場所や環境でも、自然と挨拶が出来るようになるのでしょう。
集中力・精神力
学習時間が、ダラダラと長く続くのは、子どものとっても苦痛。
七田式教育では、集中力や精神力が付くように、学習時間が短めの時間で終了するように設定されています。
学習時間が長いから学力が高くなるという訳ではなく、学習を継続する力が大事です。
また、学習時間が短い方が、学習に集中して取り組めます。
他にも、学習する姿勢、集中力、精神力は、幼稚園や小学校の受験にも役立つのです。
タングラム
以下、タングラムの立体図形の例です。
【参考】Amazon
七田式教育のカリキュラムの1つ「タングラム」で、立体図形の概念を学習します。
一見、カラフルな見た目から玩具にも見えるので、子どもが立体図形に興味が持るキッカケになりおそうです。
これなら遊び感覚で、図形の学習をする事が出来ます。
図形はお受験のペーパーテストに頻出度の高い分野ですから、早期から学習することで理解を深めておきましょう。
フラッシュ
以下、七田式教育教材のフラッシュで使うカードです。
【参考】Amazon
「フラッシュ」は右脳力を鍛えるためのカード遊びです。
絵が書いてある1枚のカードを1秒以下のスピードでめくりながら絵の名前を読み上げます。
遊びながら、瞬時にカードを暗記する力、集中力がつくので良いですね。
七田式百玉そろばん
以下、七田式百玉そろばんです。
【参考】Amazon
同じようなデザインで「百玉そろばん」という知育・学習玩具が沢山あるので、見たことがあるかもしれません。
「七田式百玉そろばん」を使って、数を量への理解を深め、計算力を育みます。
俳句・百人一首
年長クラスでは俳句・百人一首などを先生の前で暗唱します。
俳句では文字数が決まっているので「自分の表したいものをどんな言葉で表すか」を考える力や言葉のバリエーション・語彙が増えることが期待できます。
たとえば、語彙力があると、親や先生、友達に対して自分の考えや気持ちなど伝えられるようになるのです。
百人一首も俳句同様、語彙力が上がることが期待できます。
日本の歴史を知ることもできますし、百人一首に触れることで、その後学校の授業にある「漢文」「古典」にも活かされるかもしれません。
「ダ・ヴィンチ・マップ」「ペグ記憶」
「ダ・ヴィンチ・マップ」では、1つのテーマを決め、そこから連想される言葉を拡げていく学習です。
ダ・ヴィンチ・マップによって文章力、思考・発送・観察眼が養われていきます。
「ペグ記憶」は、七田式独自の教育方法。
たとえば、七田式教育の場合、数字と言葉(絵)を組み合わせたペグワードで数字を覚えます。
七田式教育を行っている幼児教室
関東圏で七田式教育を導入している教室を5つピックアップしました。
七田式 新高円寺教室(東京都杉並区梅里1-6-9 新高円寺センタービル5F)
対象:胎教・赤ちゃん・幼児・小学生コース
武蔵小山教室(東京都品川区小山3-26-9 駅サイドビル5F)
対象:胎教・赤ちゃん・幼児・小学生コース
大泉スワロー教室 ( 東京都練馬区東大泉4-31-6)
対象:胎教・赤ちゃん・幼児・小学生・幼児英語・小学生英語コース
成城学園前教室(東京都世田谷区成城6-4-15 モアイ成城ビル2F)
対象:胎教・赤ちゃん・幼児・幼児英語・小学生・小学生英語・特別支援・音楽コース
上大岡教室(神奈川県横浜市港南区上大岡東2-4-9 シティハウス上大岡101)
対象:胎教・赤ちゃん・幼児・小学生・特別支援コース
体験予約もできるので、興味のある人は教室に問い合わせてみましょう。
七田式教育は自宅でも学習できる
上記で七田式教材の例(Amazonから引用)を挙げた通り、オンラインで七田式の教材が簡単に購入できます。
たとえば、教材の1つDVDを使用しながら「フラッシュ」、指の運動などを行い、自宅でも右脳を鍛えてられるのです。
また、短文の絵本「4ページ絵本」で、楽しみながら文字を覚え、プリントやワークで文字と数を学習します。また、最寄りの七田式教室で体験レッスンも受けられます。
乳児(0歳児・1歳児・2歳児)への七田式教育法
上記でも触れた通り、褒める、スキンシップすることが大切。
0歳からの絵本も沢山ありますから、絵本の読み聞かせをしてあげることで心を育てます。
0歳児には、赤ちゃんマッサージなどのスキンシップで愛情を示してあげましょう。
心の教育の実践になります。
1歳児には、「フラッシュ」で右脳を刺激、絵カードで語彙を増やしてあげると良いですね。
わざわざ教材を買わなくても、大人が絵を描いてあげたり、パソコンやスマホで動物や車の絵を印刷して100均で厚紙を購入すれば簡単に作れます。
子どもが興味のあるもので作ると良いかもしれませんね。
2歳児には、ひも通しやパズル、ハサミを使うような手先の訓練をして、脳を刺激しましょう。
はさみは怪我をしてしまう可能性があるので、必ず大人がついている時にしてくださいね。
また、日常的で簡単に取り入れられる「お絵描き」は、線や丸などを描かせると文字を書く基礎作りになります。
親は、子供が楽しんで取り組めるような雰囲気づくりを心がけましょう。
幼児(3歳児・4歳児・5歳児)への七田式教育法
3歳児は、思考力を育てることに適した時期です。
七田式のプリントで問題を解いて答えを出す楽しさを覚えさせましょう。
4歳児は、好奇心旺盛になる年齢です。
分からないことは適当に返事をしないで、親子で調べてみましょう。
自然の中で過ごす体験も創造力を育みます。
5歳児は、小学校入学を控えている歳でもあるので、七田式教育で文字の読み書きができるようにしておきましょう。
道路や公園でゴミを捨てないなどの社会ルールを教えてあげましょう。
七田式教育法は自宅でも簡単に取り入れられる教育法
幼児教室などの環境が整った施設で、七田式教育を子どもに受けさせてあげることも良いですが、七田式教育法の内容は自宅でも簡単に取り入れられるものが多いです。
教材などは用意することは難しいかもしれませんが、子どもが興味を持つと能力が凄まじい速さ延びていきます。
たとえば、3歳児。
3歳児になると、言葉や絵の認知能力も高く、カルタ遊びなどをした時は、かなりの集中力と能力を発揮します。
そのため「ちょっと早いかな」と思っても、百人一首を出してみると「意外とハマる」ことがあるかもしれませんね。
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