筆者が保育士の頃「保育士(の仕事)してるんです」と言うと「私も保育士したかったんだけど諦めたの」と言う奥様が数名いました。
若い時は保育士を目指すことができなかったけど今なら・・・と思っている方が、実は沢山いるのかもしれません。
実際保育士を目指そうと思うと腰が重いかもしれませんが、大学や短大に通わなくても保育士資格は取れるのです。
「でも試験もあるんでしょ・・・」と諦めるのはまだ早いですよ。
本記事では保育士資格取得の制限はあるのか、保育士資格を取る方法など紹介します。
保育士資格取得年齢制限はある?
保育士の仕事には年齢制限はありません。
ニュースでもよく取り上げられている通り、待機児童の問題があるため保育士の需要は高まっています。
また以前よりも資格がとりやすくなっているため「もう目指すには遅すぎる」と諦める必要なんてないのです。
とはいえ保育士の仕事は体力勝負なので、自分の体とはよく相談する必要があります。
保育士全体の年齢構成・年齢別の割合
保育園の先生っていってもいろんな年齢層がいるよね。
保護者からしたらベテランなのか、パートなのかわからない。
平成26年3月東京都福祉保健局の東京都保育士実態調査によると、現在保育士として働いている人の平均年齢は20代が最も多く、全体の41.5%となっています。
その次に多いのが30代で25.0%、次に40代が19.1%、次に50代で10.1%です。
保育園に就職して周りが20代ばかり・・・ということもないでしょう。
正社員、契約社員、パートなど勤務形態は異なりますが、保育園で働く保育士の年齢層は幅が広いため浮くということもありません。
いつまで働けるのか
体力があればいつまでも働けるよね。
身体ではなく頭を使って子どもを動かすって恰好良い。
退職は一般企業同様に定年は60~65歳です。
ただし保育士は体力勝負なので、現役で65歳まで働くのは体力面で結構厳しいかもしれません。
50~60代になると自分の身体のことも考えたいですよね。
赤ちゃんを抱っこして腰を痛めたり、担任として働くには家庭のこともあると尚更難しいです。
そのため正社員だった人は非常勤勤務にしてもらうことで仕事量を減らす、またはパートとして勤務して時間や仕事の面でも身体の負担を減らすという選択肢もあります。
そういった意味では保育士という仕事は自分の年齢に応じた働き方を選べるので良いのではないでしょうか。
公務員保育士になるには年齢制限がある?難易度は高い
公務員保育士となると給料や福利厚生の面でも待遇がよいため人気があります。
保育士が夢でも給料が低いとやっていけないと思う人達は、特に安定している公務員保育士を目指すのです。
公務員保育士になるには試験を受ける必要があります。
もちろん保育士資格がない人は保育士資格を取得してから、さらに公務員保育士のになるための試験を受けるのです。
試験内容の一例は、一般教養(文章理解・判断推理等)専門(保育原理・児童福祉法等)の問題を解き、課題式で出される作文を1時間で書いて提出する一次試験を受けます。
二次試験では個別面接や集団討議で1つのテーマについて複数人で討議を行います。
受験者の条件としては市町村によって異なりますが、国籍は問わない・年齢制限などの他には「保育士資格の有し、都道府県知事の登録を受けている方(受験日までに保育士資格取得見込みも含)」などがあります。
募集時期は各都道府県や市町村によって異なりますが多くは6~8月に募集を始めるようです。
自分が受けたい都道府県のホームページを確認してみてくださいね。
ちなみに東京23区での採用試験を受けたいと考えている方は特別区人事委員会採用試験情報のサイトから各地区のサイトから確認することができます。
年齢制限について東京都23区から抜粋
以下の3区はともに、受験者条件が昭和57年4月2日から平成12年4月1日までに生まれた方となっているので、令和元年時点で19歳~37歳の人が受験対象者です。
また試験実施日も同じ日で令和元年8月25日(日)となっています。
そして初任給19万5,200円という点も一緒です。
ただし募集期間や試験内容がそれぞれ若干異なるので、もし受験を考えている方は確認しましょう。
たとえば東京都中央区の公式サイトによると採用予定数は19名。
募集期間は令和元年7月1日~令和元年8月5日までとなっています。
試験内容は教養・専門試験択一式90分、作文課題式90分で900~1,200文字、中央区内に勤務した場合初任給19万5,200円です。
他にも東京都墨田区の公式サイトによると採用予定数は7名。
募集期間は令和元年7月1日~令和元年7月31日までとなっています。
試験内容は教養・専門試験択一式90分で出題数40問、作文課題式800~1,200文字、初任給19万5,200円です。
最後に江戸川区の公式サイトによると採用予定数は33名。
募集期間は令和元年6月20日~令和元年7月23日までとなっています。
試験内容は筆記試験択一式で時間は60分出題数25問、作文課題式時間60分字数800字程度で時間60分になっています。
試験実施日は令和元年8月25日(日)で初任給19万5,200円です。
平成29年度公務員保育士の試験倍率
上の法律セミナーの平成29年度の公務員試験結果一覧表(保育)を確認すると東京都調布市、試験区分中級の試験が1番倍率が高かったようで、なんと倍率93.0倍です。
93人のうち1人しか受かっていません。
その次に倍率が高かったのは東京都三鷹市、試験区分中級で倍率は28.7倍です。
他の県を見てみると埼玉県さいたま市試験区分免許資格職で3.7倍。
それでも334人のうち90人が合格しています。
毎年一定の数を募集するというよりは退職者に合わせて求人を出すため、都道府県や市町村によっては公務員保育士を募集していない場所もあります。
自分の住んでいる地域で公務員保育士になると決めたら、かなり本腰をいれて勉強する必要がありますね。
年齢は高め?若い子に負けない強みもある
保育士に求められるのは正しい知識をもとに子どもと関わり、保育することです。
30代や40代が20代の負けるのは体力面くらいでしょう。
20代には20代の働き方、良さがありますが、それは他の年齢にも言えることなのです。
20代には体力面では勝てなくても、30代や40代は経験など違う何かで補うことができます。
採用にあたって年齢によって不利があるということはない
東京都保育士実態調査報告書によると、正社員として働く年齢は20代が多いです。
次に30代、次に40代と徐々に下がっていきますが、年齢が上がると今度はパートとして働く人の割合いが増えているといます。
「家事と育児の両立のため」などの理由で働き手側が希望をだしているのかもしれませんね。
年齢に応じた働き方や子どもへの接し方があるので「若くないと務まらない」というわけではありません。
年齢によって不利がないというのは保育士の仕事の良いところですね。
実践的な子育てスキル
新卒の保育士はやる気や体力があったとしても子どもと本格的に関わるのは初めてです。
保育士の事務的な仕事を覚えるのも大変ですが、若い人がまず保育士として働きはじめに悩むのは子どもへの対応です。
「子どもは可愛いけど言うことを聞いてくれない」と思って悩んだりしています。
しかし子育てを経験している年齢の保育士は子どものことをある程度理解していますよね。
おそらく「子どもが自分の言うことを聞いてくれない」などでは悩まないでしょう。
子育て経験者は子どもが自分の思い通りにならないことも、頭ごなしに怒っただけでは子どもの心を動かせないことも既に知っているのです。
保育士としては素人かもしれませんが、子どもの対応の仕方はベテラン級という方も多いのではないでしょうか。
子育てと保育は違うので自分の価値観や経験だけを頼って保育をするのは良くありませんが、自分の子どもというひとつの指標があるので子どもの成長や考え方は理解できますよね。
そういった子どもの対応の仕方は子育てから身についた人は現場で即戦力になります。
保護者からの信頼を得る
たとえば初めて子どもを保育園に預ける時にいかにも新人で子どもの世話なんてしたことない若い保育士と子どものことをなんでも知っていそうな年齢の保育士なら、どちらの方が安心して子どもを預けられるでしょうか。
きっと後者の方ですよね。
確かに若い先生が笑顔でハキハキしていれば印象が良いです。
「自分の子と沢山遊んでくれそうだな」と感じるかもしれませんね。
一方で「子育て未経験の人の何がわかるの」と感じる保護者の方もいるのも事実です。
「お母さん、お子さんが夜中寝てくれないなら〇〇してみたらどうでしょうか」と若い子に言われても「子どももいない人に子育ての指導なんかされたくない!」と思う保護者もいます。
子育てしていると自分の子どものことなのに何を伝えたいのか、なんでそんなことをするのか理解できず子育てしていて辛いと思う時があるのでしょう。
それは子育てを経験したことがある人にしかわからない気持ちです。
保護者は保育士の勤続年数や「保育士〇年目」にはあまり興味もありません。
自分の子どもを大切にしてくれて、いっぱい遊んでくれて、保護者である自分の子育ての辛さや子どもの可愛さを理解してくれる先生が信頼できる先生として見ています。
若い先生を信頼できないという訳ではありませんが、子育てを理解し保護者を支えてあげられる、保護者から信頼してもらえるのはやはり子育て経験がある保育士なのかもしれません。
結婚出産という理由で休職することがない?
保育園側としては若い子を雇って、できるだけ長く勤めて欲しいと思っています。
しかし一方で20代30代の女性はこれから結婚や出産をするかもしれない人達です。
その年代の保育士を雇うとすると「結婚して辞める」「子どもを産んだら辞める」と考えなくてはいけませんし、「それまで何年勤めてくれるのか」などの不安要素があります。
平成26年3月東京都保育士実態調査報告書によると、保育士が辞める理由として最も多い理由は「妊娠と出産」です。
保育園側としてもこれから結婚や出産をして仕事を辞めるかもしれない年代の保育士を雇うことは、ある意味リスクでもあります。
保育園側はせっかく雇ってもすぐに結婚して辞めてしまったら、また求人を出して面接をして・・・など時間や手間がかかりますし、お金もかかるのです。
そのため既に結婚・出産が済んでいる保育士を雇えるのであれば、それは保育園側としても大きな不安要素が一つ減るので十分に採用される可能性があるのではないでしょうか。
何歳でも目指すことが可能!保育士になるには?
保育士になることには年齢制限はありませんが、保育士資格をとるためにはいくつかの方法があります。
- 独学で勉強して保育士試験に合格する
- 通信講座で勉強して保育士試験に合格する
- 保育士養成学校に通う
- 職業訓練に通う
資格取得方法については以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
まとめ
筆者は短大卒業と同時に資格を取得することができましたが、実際の保育士試験の合格率の低さに驚きました。
まじめに勉強をしていれば落ちることはないのでしょうが、9科目というのはかなり多いように感じますね。
どれも必須な科目で、子どもを保育する上では欠かせません。
しかし合格率が低く、保育士資格を取りづらい環境というのも世の中と矛盾しています。
保育士不足で保育士が必要というのであれば、せっかく勉強してきた人達が十分に力を発揮できるような試験にしていかなければ保育士不足も解消できないのではないでしょうか。
保育士は年齢に問わず働ける仕事ですが、しっかり資格を取って目指すというのは結構気合をいれて目指さなければいけませんね。
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