保育園でのパワハラ事例や対処法。園長からのパワハラにどう立ち向かう?

保育士の悩み

上司がハラスメント体質だと、現場の環境を改善することは厳しいかもしれません。

保育園は閉鎖的な女の世界なので、陰湿ないじめや嫌がらせがある保育園も存在する場合があるのです。

本記事ではパワーハラスメントの種類や事例、対処法について紹介します。

パワーハラスメントの定義

パワーハラスメント(※以下省略形のパワハラと呼ぶ)という言葉、最近はよく耳にする言葉ですがよね。

しっかりとした意味を知らないままだと、自分がパワハラで悩んだ時に対応できません。

厚生労働省が定めている定義が以下の通りです。

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義をしました。

引用:厚生労働省「パワーハラスメントについて」

そして定義において以下のように明確にしています。

  • 上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
  • 業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

簡単に言うと、権力を利用したいじめです。

たとえば以下のようなものはパワハラになります。

  • 園長に目をつけられて、毎日理不尽ことで怒られる
  • 用事があって話かけても無視される
  • 自分の性格や人格を否定される

上司から後輩だけでなく、後輩から上司というケースもあります。

6種類のパワーハラスメント

パワハラと言っても、様々な行為が想定されます。

  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 課題な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

それぞれの行為例は以下の通りです。

パワハラ項目 行為例
身体的な攻撃 暴行・暴力
精神的な攻撃 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
人間関係からの切り離し 隔離・仲間外れ・無視
課題な要求 業務上明らかに不要、遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
過小な要求 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないこと
個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること

厚生労働省が定めているパワハラの種類は6つですが、他にも世間にはモラハラやマタハラなどがあります。

園長や主任からパワハラ、誰でも加害者になり得る

保育園では園長からパワハラを受けるというケースは多いです。

加害者になり得る人は以下の通りです。

園長・副園長

「うちの保育方針に文句があるなら辞めてもらって結構です」というような悪質でワンマンな園長がいます。

たとえば理不尽なことを要求したり、子どもや保護者、同僚の前で怒鳴るなどのパワハラをするのです。

他にも「いつでも辞めさせることができる」「給料泥棒」「お前は役立たずだ」などの精神的攻撃はパワハラになります。

【参考】保育士から嫌われる園長の特徴とむかつく時の対処法

主任

他業種で言えば、部長のような存在が主任です。

立場的には園長や副園長の次に偉く、現場の監督をします。

主任は日々の保育や行事の内容、シフトの作成などの仕事をこなしているので、現場の保育士は主任の指示で様々なことを判断します。

そのため園長や副園長の他に、実質現場の独裁者となるのです。

たとえば特定の人にだけ指示を出さない、連絡をしない、などの行為がパワハラです。

他にも「有給ください」と言っても「忙しいんだから無理に決まってるでしょ」と有給を使わせてくれないなどのパワハラも考えられます。

主任に嫌われて、パワハラのターゲットにされたらかなり仕事がやりづらいでしょう。

ベテラン保育士・先輩保育士

ベテラン保育士・先輩保育士も園長や主任からパワハラを受ける可能性は十分あります。

場合によっては、主任よりも主張が強いベテラン保育士っていますよね。

「私は今までこうしてきた」「私の言うことだけ聞いてれば良いから」と自分の保育観を強要してくるパワハラを受けたことはありませんか。

これが現場にいたら、かなり厄介ですよね。

たとえば保育中の食事の時間「絶対に残しちゃだめ」という保育観があり、子どもに完食させるようにと言われます。

残すと怒鳴り、無理やり食べさせるのです。

そして子どもだけでなく、他の保育士にも残してはいけないという雰囲気を作ります。

もう食べれないと言っているのにも関わらず、「若いんだから食べられるでしょ」とおかわりを無理に皿に入れてくる・・・なども一種のパワハラです。

新人・若手保育士

新人や若手保育士からパワハラをされるということを、世間では逆パワハラと言います。

優しい気の弱い先輩に対して、新人が職場内の優位性を利用して貶してするなどの行為です。

たとえば指示を無視したり、人により態度を変える、また「体臭がくさい」「髪型が変」などの精神的攻撃をする後輩は逆パワハラになります。

上記に挙げた加害者よりも、周囲の認知も難しいので、なかなか逆パワハラを受けている上司は言い出せないことが多いようです。

保育の現場のパワハラ事例

パワハラに関しては、様々な状況が考えられます。

保育の現場ではどのようなパワハラが考えられるのでしょうか。

以下それぞれのパワハラについて、具体例を挙げていきます。

身体的な攻撃

身体的な攻撃されたら、まじで無理。仕事行けない。

さすがにおかしいと思えるよね。

これは暴行や傷害をされるパワハラです。

たとえば「どいて」と言われて、強く押される・叩かれる・蹴られるといったものが当てはまります。

他にも物を投げつけれて身体にあたったのなら、それは身体的な攻撃によるパワハラです。

他にも日常化している嫌な行為として髪を引っ張られたり、バンバンと痛いくらいに肩を叩かれるにもパワハラですね。

暴力を振るわれたら嫌な気持ちを通り越して、仕事に行くことやその人に合うこと自体恐怖と感じてしまいますよね。

精神的な攻撃

これは脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言を言われることで精神的に追い詰められるパワハラです。

たとえば「あなた保育士向いてないわ」と言われたり「何しに保育園来てるの?帰れ」などの言葉を言われたら、誰でも傷ついてしまいます。

他にも怒ると物に当たる人っていませんか。

近くにあった椅子や絵本、カバンなど物を置く時にわざわざ音を立てて、脅迫しているということになり、精神的な攻撃となります。

近くにいる人は怖いと感じてしまうでしょう。

怒って物にあたるというのも、立派な精神的攻撃によるパワハラなので感情的になりやすい人は気をつけなくてはいけませんね。

人間関係からの切り離し

女の人ってすぐ無視するよね。むかついたらすぐ無視。ずっと無視。

ま~女に限らずじゃない?

隔離・仲間外れ・無視をするパワハラです。

保育士は女性だけの世界ですから仲間外れ・無視は多そうですね。

たとえば新人保育士が仕事がわからず先輩保育士に聞いても、無視されたり、今は忙しいからと相手にしてもらえないことがあればパワハラになります。

他にも大量な仕事を与えられ「これあなた全部ひとりでやって、誰にも頼らないでね」と他の保育士との協力することを禁じられるのが人間関係からの切り離しによるパワハラです。

過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害をするパワハラです。

たとえば先輩保育士が「私達用事あるから全部やっといて」と言われ、全て仕事を押し付けられて先輩達が帰ってしまったなどは立派なパワハラです。

他にも就業時間になり上がる時に「このオムツ捨てといて」「子ども達の作品壁に飾っといてね」と毎日、一人ではできない量の仕事を押し付けられたらそれは過大な要求によるパワハラになります。

過小な要求

これラッキーなんじゃない?仕事楽ってことじゃない?

そんな楽観的な問題じゃないの。なんのために保育士になったのかわからないよ。掃除ばっかりするなら掃除作業員になるよ・・・。

業務上の合理なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないというパワハラです。

たとえば同期が自分を含めて3人いた場合、他の2人より与えられる仕事の件数が著しく少ないとします。

他の2人は設定保育をさせてもらえたり、行事の司会や個人記録の作成など保育の主となる仕事をさせてもらっているのに、自分は掃除や草むしりだけ・・・これは過小な要求によるパワハラなります。

個の侵害

私的なことに過度に立ち入るパワハラです。

例えば以下のようなものが考えられます。

  • 容姿を馬鹿にする
  • 休みの理由をしつこく聞かれる
  • スマホを勝手に見たり、いじられる
  • 「彼氏いるの」「結婚は」としつこく聞く

たとえば有給を使った次の日に「昨日なんで休んだの」「それ休みの日で良かったんじゃない」などと言われるのも個の侵害によるパワハラです。

他にも上司の中には、仲良くなるために新人をあえていじる人がいます。

これはやってしまう人が多いのではないでしょうか。

そして被害にあう人も多いでしょう。

一方的にいじられキャラにして会うたびに馬鹿にしたり、罵ることで周りの笑いをとったりするのですが、正直辞めてほしいですよね。

他人からいじられることが好きな人もいますが、それが嫌な人もいます。

世間的なパワハラの実態

パワハラに関する予防や解決のために取り組みをしているという保育園はあるのでしょうか。

ちなみに筆者は2つの保育園を経験していますが、どちらもパワハラに関する対策はしていませんでした。

平成28年度厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」の結果によると、99人以下の従業員規模の職場全体でパワハラの予防・解決のために取り組んでいる割合は約21%です。

そして51.5%の職場では取り組んでいないという結果があります。

「取り組みがあるのかわからない」という割合を足すと約75%、この結果から考えると、パワハラの予防や解決に取り組んでいると保育園は珍しいでしょう。

もしかすると殆どの保育園は取り組んでいないかもしれませんね。

パワハラを受けた人の心身への影響

厚生労働省の調査によると、パワハラを受けたと感じた人への心身への影響は以下の図の通りです。

上の図を参考にすると、パワハラによって眠れなくなった・休むことが増えた・入院したという人も多いようですね。

職場でパワハラをうけ続けると、「眠れなくなる」や「入院する」ということがあり得ます。

早い段階から対策や相談、正しい対処をする必要がありますね。

保育園のパワハラに関する問題点

保育園のパワハラにおける問題点は一般企業のように「社内に相談窓口がある」という環境がないことです。

たとえば園長が信頼できる人であれば、主任や先輩保育士からのパワハラを受けた時に相談できます。

しかし園長からパワハラを受けていたとしたら、保育園内で解決することはほぼ不可能ですよね。

そのため解決するのは専門機関を使って解決するしかありません。

保育園内に第三者の機関が入り、労働環境を監視してくれるようなシステムがあれば良いのですが、難しい問題ですね。

悩み別パワハラ対処法

真面目で優しい人は、パワハラを受けやすい傾向があります。

たとえば以下のような行動に思い当たりませんか。

  • 「すみません」が口癖、すぐに謝る
  • 自己否定的
  • 相手の反応を恐れすぎて主張をしない
  • 他人に対して気をつかいすぎる
  • 自分を犠牲にしすぎる
  • 嫌なことをされても笑ってごまかす

相手にとってなんでも言いやすい人になってしまうのです。

いつでも受け身いると、ターゲットにされてしまいます。

もし当てはまる項目があれば、自分でも改善していくことでパワハラを少しずつ回避できる場合もあるでしょう。

さらに具体的な対処法を以下、紹介します。

自己否定がちで受け身。すぐに謝ってしまう

「人に優しくありたい」という私の人生の指針だからなぁ。

「はい」しか言わなくて、ずっと受け身で「私なんか・・・」「すみません」って言う人が優しい人なの?

たとえば自己否定的で遠慮がち、悪いこともしていないのにすぐに謝っていませんか。

「自分が主張しても何にもならないだろうな」「こんなふうに言ったら悪いかなぁ」と思うことはありません。

一定の相手からすると、以下のような態度はイライラします。

  • オドオドしている
  • 理由もなくなんでもすぐに謝る
  • はっきりせず曖昧
  • 何がしたいかわからない

謙虚さや遠慮は大切ですし、人に好かれる要素ですが度が過ぎると逆効果です。

ある程度自己主張している方が、やる気を感じて好印象になります。

そしてなんでもすぐに謝っていると、何が悪くて謝っているのか不明で適当に謝っているという印象を受けて、相手にとってはそれが不快に感じてしまうのです。

自分がミスをした時、もっと大事なときに丁寧に謝りましょう。

対処法相互尊重を意識して相手の話を熱心に聞きつつ、適度に「私は〇〇と思います」などハッキリと自己主張もする。オドオドしていても良いから、悪い事をしてないなら謝らない。

嫌なことをされても何も言えない

嫌なことをされても、合わせて笑っている・・・これはすぐに辞めた方が良いです。

嫌なことをされても受け止めていると、「こいつは何言っても大丈夫」と思われてパワハラがエスカレートする可能性があります。

相手は悪気なくパワハラをしている場合もあり、あなたが嫌だと思っていることがわからないのかもしれません。

適性な関係を築きたいという気持ちがあるなら、嫌なことをされた時は「それ嫌なんです」「痛いです」と嫌だという態度、雰囲気を出して主張すると良いですね。

自分が気持ちやすく仕事できるように、WIN-WINの関係を築こうと決意し、強気でいきましょう。

対処法嫌なことをされたら「私〇〇されるのは嫌なんです」としっかり言う。言えないなら、合わせて笑わない。真顔で対応する。

相手に合わせすぎてしまう

私なら「私は〇〇ならできます」「△△は先輩にやってもらえませんか?」って積極的に交渉する。

それができないから困ってるんでしょ~。生意気って思われたらいじめられそうだし。

上司の理不尽な発言、パワハラ発言を「わかりました」「やってみます」と無理することが目に見えていてもYESと言っていませんか。

パワハラ加害者の指導が統一性がなく、コロコロ変わり、それでいてあなたを責めるような人なら「はい、すみませんでした」と言っているだけじゃ解決しないのです。

相手の性格にもよりますが、ケースバイケースで相手に合わせて対処してきましょう。

対処法相手の言い分が間違っているなら、正論で返す。反抗すると余計に面倒くさくなるタイプなら、話しを聞き流す。関わらない、避ける。話を聞きたくないなと思ったら用事を作ってその場から去る

自分が悪いのか、パワハラなのかわからない

パワハラがある環境にずっといつと感覚がマヒしてしまいます。

だんだん園長や主任、先輩保育士の言動がパワハラなのかどうか、わからなくなってしまいます。

本当は理不尽なことを言われているのに「そういうものなんだ」と受け止めてしまうのです。

そのため周りの保育士友達や家族に相談してみると良いでしょう。

パワハラは我慢していても、解決することはありません。

対処法自分で「これはパワハラなのか」わからないなら、職場の人や家族などの周りに相談する。

パワハラも撲滅して、今の職場で働き続けたい

「自分の態度を直したところで解決するという問題じゃない」のであれば、本格的に対策をする必要があります。

「何をしても解決にならない」「自分にとって職務上不利益になるかも」「パワハラがエスカレートするかも」と思っている人もいるかもしれません。

それらの思いも含めて、専門的な相談機関を利用して解決に向けて行動を起こしましょう。

相談する時に、口頭でも良いですが証拠があると良いです。

  • スマホを見るふりをして動画を撮影
  • ボイスレコーダーで録音
  • ノートにされたことを細かく記録する

ノートに残す時は5W1H(いつどこで誰が何を何のために)したのかを記録しましょう。

そして先ほどの厚生労働省のサイトによると、パワハラがあった場合には以下の機関を利用してパワハラについて相談することができます。

  • 労働局の総合労働相談コーナー
  • 都道府県労働委員会や法テラス
  • みんなの人権110番
  • かいけつサポート

以上の機関に証拠を持っていってまずは相談した方が良いでしょう。

それからそこで状況に合わせた対策を考えるのです。

対処法今の職場で働き続けたいけど、パワハラを我慢するのがもう無理なら証拠を残して、専門機関を使って解決を試みる。

慢性的なパワハラ環境、問題解決不可能な職場

そんな職場なら改善して、続けていくっていう価値もないよね。

そこまでガッツだして、立ち向かうのはちょっと無理かも。

確かにパワハラを訴えても良いかもしれませんが、そこにエネルギーを使うのも疲れてしまいます。

パワハラが存在する職場で我慢したり、戦うよりも新しい職場を探すことにエネルギーを使いたいですよね。

もし訴えることができたとしても、その後職場に居づらくなってしまうケースもあります。

「パワハラと本格的に戦う、立ち向かうことが嫌」「でも我慢してたら病気になってしまう」と思うなら転職を考えてみても良いかもしれませんね。

そして次の職場ではパワハラ予防・解決に取り組んでいる、相談する窓口や機関がある、そもそもパワハラ体質の人がいない職場を探しましょう。

対処法思い切って仕事を辞めて、もっと良い環境が整っている職場に転職するのが1番早い。

まとめ

たとえば上司の付き合いで飲みに行かされること、上司から厳しく怒られるなどの行為は当然と感じる世代もいますよね。

昔は当然だったことも、時代とともに常識が変わっていきます。

それを知らずに時代に取り残されている園長や主任は、どこの保育園にもいるかもしれません。

なんでもかんでもハラスメントにするのもどうかと思いますが、弱い立場で働いている人が守られ、働きやすい職場になることで職が風通しの良い環境になると良いですよね。

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