保育士はブランクがあっても復帰、再就職は可能!最近の就職事情や不安解決方法を紹介

保育士の悩み

以前保育士として働いていた人が最近の保育士の求人などを見たら、「最近の保育士の仕事環境はよくなっているみたい」と思うかもしれません。

実際に保育士の働く環境や条件は以前より改善されています。

しかし一度離れてしまった仕事に復帰するのは少し勇気のいることです。

本記事では以前よりどこが改善されたのか、またブランクから保育士として再就職する時の不安や悩みの解決方法などを紹介します。

保育士として再就職は可能。最近は働く条件も良くなっている

潜在保育士という言葉をご存知でしょうか。

潜在保育士とは資格はもっているけど保育士として働いたことがない人、または以前保育士として働いていたが今は勤めていない人のことを言います。

待機児童の問題を解決すべく新しい人材・保育士を育てることも必要ですが、既に資格を持っている人、つまり潜在保育士に現場復帰して働いてもらいたいと政府は考えているのです。

そして平成26年1月に公開された厚生労働省の「政府広報で保育士確保に関する動画を配信しました」のページでは、保育士として復帰を考えている方向けの支援策「保育士就職セミナー」の様子や出産・育児を経て職場復帰した保育士の方へのインタビューを紹介している動画が観ることができます。

動画内でセミナーを受ける潜在保育士の方々は現場復帰の理由として「以前から現場に戻りたいという気持ちがあった」「子どもが大学生なったので」と話しています。

この動画を参考にするとブランクとなる理由は、出産や子育てが多いようですね。

平成26年3月東京都福祉保健局の東京都保育士実態調査を参考にすると、保育士の離職の理由で最も多いのも出産や子育てです。

動画の中で厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課課長橋本泰宏さんは「潜在保育士の方に現場に戻ってきていただけるように支援をしている」とおっしゃっています。

潜在保育士が現場に戻りたいと思えるように、不安に思っていることに対して改善が進んでいるということですね。

潜在保育士の現場復帰を国が支援している

動画は平成26年のものですが、現在潜在保育士の数は約80万人ともいわれているのです。

先ほどから何度も触れている通り、現在待機児童の問題を解決したくても、どこの保育園でも保育士不足で頭を抱えています。

そのため国が潜在保育士の現場復帰を支援しているということをご存知でしょうか。

先ほどの厚生労働省の動画で説明されている支援は以下の通りです。

潜在保育士に対する支援

  1. 再就職前の実技研修
  2. ハローワークにおける支援
  3. 保育士就職セミナーによる支援

厚生労働省の「保育を支える保育士の確保に向けた総合的取組」の資料の記載を参考にすると、都道府県や市区町村、保育士・保育所支援センターや福祉人材センター等、そしてハローワークの3つの期間が連携を強化し、保育士(求職者)や保育所に対して様々な支援をするとなっています。

保育士に対しては保育所見学会の開催や「保育士の仕事をしたい」と思えるような求人情報等の提供とあります。

たとえば先ほども触れた保育士就職セミナーでは、最新の遊び・保育の技術などに関する情報を教えてくれます。

自分が保育士のことを学んでいた当時、または働いていた時とは現場も変わっているでしょう。

そういったことを仕事を探す前や探している時に知ることができるのは良いですよね。

正職員として復帰を目指すことも可能

復帰後の就業希望ではパートが多いようですが、正職員を目指すことも十分可能です。

東京都は特にですが、その他のどこの都道府県でも保育士は人手不足。有効求人倍率も下記記事のように非常に高くなっています。

ブランクがあるから正社員にはなれないということはありません。

求人をチェックすれば正社員の保育士を募集しているところがたくさんでてきます。

最近では30代以降の未経験者でも積極的に採用されているような状況ですから、たとえ長いブランクがあったとしても経験がある人はかなり望まれた存在です。

【参考】転職したい保育士に朗報。有効求人倍率から見る保育士の転職しやすさ

保育士の年収は上昇傾向にある。その理由は?

平成25年10月厚生労働省の「保育を支える保育士の確保に向けた総合的取組」のアンケートでは、「保育士として就業を希望しない理由」では、賃金・責任の重さ等というのあがっています。

保育士として働く人、そして目指す人の誰もが感じていることがやはり理由として挙がっているのですね。

せっかく働いても給料が安いのでは「保育士に戻りたい」とは思えないですよね。

以下厚生労働省保育士の平均年収の推移を参考にしてみます。

年収平均額
平成25年 309万8千円
平成26年 316万7千円
平成27年 323万3千円
平成28年 317万8千円
平成29年 342万1千円
平成30年 357万9千円

平成25年と平成30年の年収の差はなんと約59万円もあります。

保育士の年収が上がっている理由は、処遇改善手当が年々増加しているからです。

待機児童や保育士確保プランの政策から保育士の給料の見直しがあり、処遇改善加算(処遇改善手当の正式名称)という制度が平成25年からスタートしています。

待機児童が0になった場合、この処遇改善手当の上昇も止まる可能性はありますが、今のところは年々増加傾向なこともあり、暫くは上がっていくと予想できます。

2019年末、遅くても2020年度末までには全国の待機児童を0人にすること、そして0人を維持しつつ女性の就業率を上げると政府が公表した子育て安心プランには載っています。

しかし平成29年6月厚生労働省「子育て安心プランについて」によると、たとえば東京都を例にしても平成29年4月1日時点で待機児童の数は約8,900人もいます。

平成29年4月1日時点で全国の待機児童の数は合計で約23,700人もいるのです。

上記の結果から、この1、2年でこの数字を0にすることはなかなか難しいのではないでしょうか。

そのため待機児童の問題が解決するまでは、国や政府が保育士の働き方を改善する動きがある可能性は十分にあります。

子育てをしている世代であれば、何かと子どもにもお金がかかりますし、保育士の給料面が改善されているのは、仕事を決める上でかなりポイントが高いですよね。

【参考】保育士の処遇改善手当とはなに?実際にいくら貰えるの?

ブランクで不安を抱える保育士の悩み解決方法

上記の項目から潜在保育士、ブランクを抱える保育士資格を持った方々に対して支援があることや保育士の労働条件も良くなっていることが理解していただけたと思います。

上記も踏まえて、ブランクで不安を抱える保育士の悩みについてそれぞれ解決方法について紹介していきます。

現場復帰に対する不安。セミナーを活用して最新の保育情報を知ろう

ブランクを抱える人の中には「久しぶりに子どもに接するけど上手くできるかな」という思いや「最近の保育はどうなっているのか」など久しぶりの現場復帰を考えると不安ですよね。

保育の常識は変わっているのか、どのような遊びをすれば子どもの興味を引けるのか、そして保護者とのコミュニケーションについても・・・と沢山不安要素がでてくると思います。

そういう時は、上記で紹介した「保育士就職セミナーによる支援」を利用しましょう。

受講料は無料なので、気軽に行ってみてくださいね。

たとえば東京都保育人材・保育所支援センター「令和元年度保育士就職支援セミナー」によると、セミナーの講義内容例は以下の通りです。

セミナーの講義内容例

  1. 保育制度と保育内容
  2. 子どもの発達と保育
  3. 子どもの食と栄養
  4. 乳幼児を引き付ける遊びと技術
  5. 過程支援・保護者とのコミュニケーション
  6. 危機管理と事故防止
  7. 就職活動について

他にも希望すればおむつ交換や食事介助、遊びや読み聞かせ等の体験もできる保育実習も可能です。

ただし実習付きコースを選ぶ場合は事前に自己負担で健康診断をうけ、園で食事をとる場合も実費と記載があります。

健康診断は病院によって異なりますが、5,000~25,000円くらいが相場です。

また給食費も250円や300円程度で済みますから、思いきって実習をうけてみるのも良いかもしれません。

また実習中は対象外ですが「講義日は無料で託児所を利用できる」(定員あり)ともなっています。

東京都内で行われる支援セミナーの日程は以下の通りです。

場所
国立市 9月15日(日)、16日(月・祝) 10:00~17:30 国立市商業協同組合 さくらホール
立川市 10月12日(土)、13日(日) 9:30~17:30 学校法人大原学園 立川校
大田区 11月9日(土)、10日(日) 9:00~17:30 学校法人簡野育英会 蒲田保育専門学校
立川市 12月7日(土)、8日(日) 9:30~17:30 学校法人大原学園 立川校

令和元年7月~令和2年2月まで日程は決まっているので気になる方は確認してみてくださいね。

仕事と家庭との両立できるかどうか

保育士ってシフトだから毎日帰れる時間も違うから、大変だよね。

でも早番や遅番を利用して銀行に行ったり、家事したりという使い方もできるよ。

上記でも触れた厚生労働省の「保育を支える保育士の確保に向けた総合的取組」のアンケートの「保育士として就業を希望しない理由」では、賃金・責任の重さ等の他にも「事故への不安」「自身の健康・体力への不安」「休暇が少ない、休憩がとりにくい」というのが理由にあがっています。

特に20~30代の4割の人が「休暇が少ない、休憩がとりにくい」と答えていて、30代は「子育てとの両立が難しい」と感じているのです。

仕事を始めたせいで家事がおろそかになってしまったり、子どもが急に熱を出したら・・など考えると不安ですよね。

休暇が少ない

休暇が少ないというのは保育士の仕事というよりは保育園次第、また勤務体制によります。

シフト勤務といっても保育園によってたとえば週休2日制、完全週休2日制、4週6休など様々な勤務体制があるのです。

「週に2日は完全休みで家族との時間、家事をする時間が欲しい」と思うなら完全週休2日制と求人にのっているところを選ぶなど自分の希望に合った職場を見つけましょう。

以下のリンク先の記事では、保育士の勤務体制について詳しく紹介しているので就職先を探す前に目を通しておくと良いかもしれません。

【参考】保育士の休日ルール。連続勤務は何日まで?6連勤、7連勤でも問題なし?

休憩がとりにくい

保育士の働き方の問題として、休憩のとりにくさがあります。

他業種であっても休憩をとりづらい職場は珍しくはないのかもしれませんが、保育士は休憩時間は事務仕事をするというのは暗黙の了解のようになっています。

1時間の休憩時間、自由な時間が確保されている保育園で勤めている人は筆者・保育士友達を含めて1人もいませんでした。

それは保育士の働き方を改善すべき点です。

とはいえ全ての保育園が休憩時間がないとは言い切れません。

たとえばパートとして慣れてから、周囲の常勤保育士などに状況を聞き、完全復帰を考えるのが1番無難ではないでしょうか。

職場の人間関係はどうなんだろう

保育士の離職する理由として上位にあがるのが職場の人間関係。

人間関係が悪いといくら給料が低くても、長く勤めることは難しいです。

しかしこの人間関係こそ実際に保育園に入ってみないとわかりません。

人間関係が良好なのかどうか、どんな人達が働いているのか、派閥はあるのか・・・など気になりますよね。

人間関係の様子を見たいのなら見学だけで見抜くのは難しいです。

上の項目同様ですが心配ならいきなり正社員などの常勤保育士にならなくても、最初はパートから復帰するのはどうでしょうか。

筆者も一年ですがブランクがあった時はまずはパートで保育園の仕事環境などの様子を見てから「自分に合うか合わないか」判断し、それから常勤保育士として働きました。

せっかく復帰するのですから職場選びは慎重にしたいところです。

小規模保育園を選ぶと不安も解決するかも

復帰を考えている先生は色んな不安を抱えています。

上の項目で触れたような悩みを抱えている人、それ以外にも「体力がついていけるかどうか、持ち帰りの仕事があるのかどうか・・・」など不安に思う人は、最初の保育園選びが重要です。

全ての小規模保育園が当てはまるということではありませんが、他の保育園に比べるとそれぞれの悩みを解決できるような環境が小規模保育園には揃っているのです。

以下、詳しく紹介します。

園庭がないから体力の消耗量が少ない

やはり復帰して心配なのは体力面です。

大規模保育園なら園庭やホールも大きいため年長の子ども達から「おにごっこしよう」と誘われる可能性も高いですよね。

おそらく「ごめんね。他の先生誘ってみてね」と言えば子ども達もわかってくれますし、保育士達もある程度は事情を分かってくれるかもしれませんが、何度も続くとさすがに申し訳なくなります。

しかし小規模保育園なら大人が走る程のスペースもありませんし、子どもの行動も限られてるので保育士が走ったり、部屋をあちこち移動するなどのシチュエーションにはないでしょう。

行事も少ない

行事があるということは、いつもの仕事の他にも行事の準備や作業に時間をかけることになります。

行事が少ないということは仕事が増えるという負担が少ないということと一緒ですよね。

そのため行事が少ないというのは保育士にとっても、嬉しいことです。

残業や持ち帰って仕事することが少ない

他の保育園と違い、小規模保育園は残業や持ち帰りの仕事が少ないと言われています。

保育園にもよりますが子どもの人数も少ないですし、保育士の人数も限られていますのでその中で事務時間に交代で入れるように環境を整える工夫をしているところもあるようです。

そのため「復帰したのはいいけど毎日残業・・・」ということは避けられる可能性が高いでしょう。

まとめ

「子育てが落ち着いたら、また保育士をやってみたかったのだけどもう5年も経ってしまった。」「現場から離れて10年目・・・」などいろんな人がいると思いますが、せっかく国家資格をとったのですから活用したいところです。

しかしこの保育士という仕事は上記でも紹介した通り、シフト制といっても働き方は保育園によって様々ですし、雇用形態も正社員、臨時職員、パートなどがあります。

「ちょっと保育士として本格的に働きたい」「資格を活かしたい。自分の空いている時間を保育士のパートでもしてみよう」など自分の希望に合わせていつでも働くことができるのです。

それは今は保育士不足で沢山就職先があるため、選び放題です。

年齢も関係なく、いくつになっても遅くはありません。

子どもに関わる仕事は命を預かるという責任も重大ですが、魅力的な仕事です。

やりがいのある仕事なのは間違いないのですから、保育士という仕事にもう一度向き合ってみても良いかもしれませんね。

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