保育園は親が働いている、または親が病気の状態であるなど子どもを十分に保育できない場合、家庭に替わって子どもを保育する児童養護施設です。
土日祝日に関係なく働く親もいるため、保育園によって保育士はシフトやローテーションで出勤日・休日が決まります。
そうなるとお休みがどれくらいなのか把握できませんから、これから保育士になる人は実際はどれくらい休みがあるのか気になりますよね。
現在保育士として働いている人であっても保育士の年間休日と他業種の年間休日などの差を感じたことはあるでしょう。
本記事では保育士の年間休日数や有給取得率、そして他業種とどれくらいの差があるのかについて紹介していきます。
保育士の休みの形態や年間休日数
保育士の年間休日数は求人見ると100日~110日と表記されているところが多いです。
「保育士の年間休日〇日!」と決まっているわけではなく、保育園によってシフトの形態などが異なるため保育士の年間休日数は保育園によって決まります。
以下の項目ではさらに詳しくそれぞれの勤務形態の違いを見ていきましょう。
認可保育園の場合
認可保育園は日曜・祝日が休み、年間休日数は100~110日というところが多いです。
土曜日の勤務を隔週で出勤した場合は、翌週に土曜日出勤の代休をもらったり、半日勤務があります。
平成28年全国保育協議会の調査によると、全国でも97.7%の保育園が土曜保育をしているという結果がでています。ほとんどの保育園で土曜日保育を行っているということですね。
土曜保育を行っているということは必然的に土曜日も保育士の出勤があるということになります。
認可外保育園の場合
認可外保育園は日曜や祝日でも保育をしている場合があります。その場合の保育士の休日はシフト制で4週6日としているところが多いです。
ちなみに4週6休とは4週間の中で6回の休日があるシフトです。つまり週休2日ではないということになります。
1日8時間以内の勤務であれば、4週6休であっても法律的には問題ありません。8時間以上勤務していても残業代を支払えばOKなのです。
年間休日数は認可保育園と変わらず100~110日程。
しかし先ほども言ったように保育園の働き方によっては、それより少なくなってしまう場合があるでしょう。
近年は共働きの家庭が多いため保育の需要の高い地域では、日曜祝日も保育をしているのですね。
無認可保育園では認可保育園に比べて保護者の多様なニーズに合わせて力を入れる傾向があるので、保育士の働き方や休日にも影響しています。
企業内保育園の場合
企業内保育園は基本的には大手企業が保育所を開設しています。
企業に勤めている人がこの保育所を利用しているので、企業が休日とした場合は保育所も休日になる場合が多いです。
保育所の休日は企業の休日に準ずるので年間休日数が他の保育園に比べて多い可能性が高いです。
ちなみに平成31年厚生労働省の「就労条件総合調査結果の概要」によると従業員が1000人以上の企業の年間休日数は119日となっているので、保育士の年間休日の参考になるのではないでしょうか。
実際どうなの?
うーん。結局のところ認可保育園は年間休日〇日!無認可保育園は△日!って決まっているわけじゃないんだね。
今働いている保育園が初めてだから「保育士って休みが少ないんだ」って諦めていたけど、同じ保育園でも求人見ると、年間休日120日ってとこあるよね。休みがいっぱいある方が良いに決まってるぅ!
項目にまとめましたが、認可保育園でも無認可保育園でも勤める保育園によってバラつきがあるのです。
筆者の元職場の認可保育園を例にすると年間休日数は96日です。
土曜日は隔週出勤ですが人手不足で代休はもらえず、半日勤務での対応でした。
半日勤務と聞くと「午後から休みだからいいじゃない」と感じるかもしれません。
しかし早番の時間帯で出勤するため、前日から既に仕事モードです。
13時で上がれることになっていてもその後も残って仕事をしてしまいがちで、結局普段の早番勤務と同じく過ごしている先生も多かったです。
「保育士はこういうものだ」と決めつけていましたが、求人を見る際に少し気を付けるだけで自分の休みを確保することができます。
他企業の年間休日数と比較すると…
厚生労働省の平成30年「就労条件総合調査結果の概要」によると日本の労働者1人当たりの平均年間休日数は113.7日にとなっています。保育士の年間休日と比較した場合、差はあまりないように感じますね。
他にも完全週休2日・祝日休みの一般企業と比べるとどうでしょうか。
2019年の4月1日を起用日とした場合で考えます。
2019年度の土日は104日です。土日に重ならない祝日・振替休日は18日ですから、土日の104日に足すとカレンダー通りに休めた場合は122日です。
例えば筆者の元職場の保育園を例に挙げるとその差は26日もあります。
約1か月分の休みの差があるということになります。
ホワイト企業の基準は年間休日120日以上。保育士はやっぱり休みが少ない?
一般的な企業でのホワイト企業の基準は年間休日が120日以上です。そして全企業のおおよそ25%、4社に1社以上がこの120日を上回ります。
では保育士ではどうなるでしょうか。
大手の保育士転職サイトである「保育士バンク」にある求人で年間休日が120日以上の探してみた結果、2,850件がヒットしました。
全求人件数は30774件ですので、割合で考えると9.3%ほどしかありません。
やはり土曜日も開いている場合が多い保育園では、なかなか年間120日以上の休日はとりにくい傾向にあることがわかります。
ただ逆に言えばそれでも1割程度の保育園では120日以上の休みがとれるわけですから、休みが多い方が良いと考えるならそういう保育園に転職してみることも考えてみましょう。
無視できない有給休暇取得率
年次有給休暇(以下、有給と表記する)とは一定期間勤務した労働者に付与される、賃金が減額されない休暇のことです。休んでもその日の分の給料が支払われます。
この有給取得率は職種や企業、職場によって個体差があります。
家族や友達と予定を合わせて旅行に行ったり、ライブなどに行って日頃のストレスを発散して、プライベートも充実させたいですよね。
2019年4月からは労働基準法の改正により(参考:厚生労働省)、有給付与日数が10日以上の全ての労働者に対し毎年5日、有給を確実に取得させる必要があるというものです。
これは働く人にとっては朗報ですね。法の改訂により以前より有給を取得できる可能性があります。
以前までは有給が取りづらかった保育園でも、これからは有給が取りやすくなる可能性が高いです。あとは実際の現場にこの法の改訂がどれだけ浸透していくか、というところが問題になります。
保育士の有給休暇取得率
先輩保育士が有給をとっていると、若手の保育士も有給をとりやすいよね。
通常の休みの他に自分の都合で休みがとれるなんて最高!有給万歳!
平成29年6月に公表された全国保育協議会員の実態調査報告書2016年の資料のデータから算出すると8.7日程度です。
「あれ?私の保育園の人たちは全然有給とってないけど・・・」と思う人もいるかもしれませんが、最近では有給消化率100%の保育園も珍しくありません。
保育士確保が難しくなっていることもあり、保育園側が保育士が働きやすい条件を提示しているところが多い傾向にあります。
他企業との格差
平成30年の厚生労働省「就労条件総合調査」によると、他業種の平均有給取得日数は9.3日となっています。
上記からわかるように日数だけを比べると、保育士だから特別有給が取りづらいということはありません。有給の取りやすさは保育園によるのです。
ただ保育士はシフト制で早番や遅番など毎日勤務時間が違うことや、行事が近い時期に有給を使うとなると他の職員に事前に休むことを相談しなくてはいけないのが難点ですね。
だいたいの保育園の中で暗黙のルールとなっていますが、有給を取るときには園長や主任に許可をもらう他にも周りの先生にも伝えなくてはいけない場合があります。
早番遅番など職員が抜けてしまうと保育が成り立たないシフトによっては、他の先生と自分のシフトを交換してもらわなくてはいけません。
そして一人が休むことで他の先生に負担や迷惑になるので、有給を取りづらい環境の保育園もあるのが現状です。
まとめ
求人を見るときに年間休日数〇日と記載されてあっても「こういうものなんだ」と今までならサラッと流していたかもしれません。
しかし少し知識があれば「ここは他に比べて年間休日数が少ない!」とわかりますよね。
求人票にのっている少ない情報の中から働きやすさをイメージするために、この年間休日数は大事です。
休みが多いということは身体を休めたり、プライベートの時間が増えるという意味なのでリフレッシュできる貴重な時間です。
求人をみる際はチェックしてみてくださいね。
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