保育士に休憩時間はないのは労働基準法違反。休憩はしっかり取らなきゃだめ!

保育士の労働条件

保育士は子どものお世話や大量の事務等たくさんの仕事がありますが、休憩はいつとっているのでしょうか。

また子どもが寝ている間、ゆっくり休憩しているのではと思われる方もいるかもしれません。しかし実際は子ども達が寝ているときも保育士として働いています。

そして現場の保育士が実際にどのように休憩時間を過ごしているのか、また休憩時間は本当に休めているのかどうかについて以下詳しく紹介していきます。

保育士の休憩時間事情

冒頭でも述べたように保育士の休憩時間は子ども達のお昼寝中にとります。園によってそれぞれだとは思いますが、ローテーションで保育に入って過ごすことも多いです。

休憩といえば仕事から離れて外出してランチに行ってみたい!休憩室でゆっくり何も考えずに過ごしたい!

休憩中「銀行や郵便局に行きたい」と思っても園長の許可が必要だったりと園独自の決まり、暗黙のルールで自由がきかないんだよね。

そして子どもが寝ている2時間ほどの間に昼食をとったり家庭との連絡帳の記入、その他に事務仕事をこなします。

園によって休憩時間は様々ですが、多くの保育園では勤務時間内に事務時間をするような時間はありません。そのため休憩時間を使って事務仕事をする保育士は多いです。

ただ保育園の雰囲気によってはしっかり事務室の他に休憩室があり、お茶を飲んで休憩してゆっくりできる場合もあります。

労働基準法で定められている休憩時間について

現役で働いている保育士の方の中にも「これが保育士という仕事なのだから仕方がない」と思って勤められている方も多いでしょう。

実際に休憩をとらないのが当たり前となっている保育園もあります。しかし法律上に定められている限り労働者には休憩する権利があるのです。

以下では労働基準法で定められている休憩時間について、詳しく紹介していきます。

また休憩をとらないのが当たり前となっている保育園もありますが、労働時間中に休憩を取る権利は法律上にしっかりと定められているものです。

本来は休憩中に仕事をしなくてはいけない状況や、休憩がとれない環境はありえないのです。

以下では労働基準法で定められている休憩時間について、詳しく紹介していきます。

労働時間に応じて45分から60分の取得が義務

休憩時間は労働基準法によって以下のように定められています。

労働基準法第34条

  1. 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
  2. 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
  3. 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

1項にもあるように所定労働時間が8時間を超えるならば仕事の間に1時間以上、6時間から8時間以下であれば45分の休憩を取ることが義務です。

また1日7時間から8時間は仕事をする保育士の場合も当然これが当てはまります。

 

休憩時間の定義

休憩時間とは労働者が労働時間の途中において、休息のために完全に労働から解放されることを保障されている時間のことを言います。仕事のことを考えずに自分の好きなように過ごすということです。

しかし実際の保育士は休憩中に連絡帳記入といった事務仕事をしています。連絡帳記入の他にも「電話対応がある」「来客対応がある」といった場合もあるのです。

例え自分で勝手に事務仕事をしているとしても、休憩中さえ仕事しなくてはいけない状況にしているのは使用者側に責任があります。

また自由なのだからと必要以上の仕事をするのいいですが、必要に迫られてやるものは個人の判断でやろうとも個人の自由ではないのです。

休憩時間の分割は可能、ただし細切れはNG

休憩時間はまとめて1時間、または45分間をとらなくても良いのです。

様々な職業形態に応じて、例えば30分に2回と分割するのは法律上問題ありません。ただし、あらかじめ労働条件通知書や就業規則へ記載が必要です。

しかし法律によってNGとはされていませんが、先ほど述べたような休憩の定義に当てはまらない可能性があります。

違反した場合の罰則について

休憩時間のルールを違反した場合には罰則があります。労働基準法119条により、雇用主は6か月以下の懲役または30万以下の罰金が科せられる可能性があります。

保育士にあてはめて考えてみると・・

以上のように法的な観点からみると、多くの保育士には休憩時間というのは存在しないのではないでしょうか。

また開園してから閉園まで子どもが施設内にいる間は子どもと接することが優先になります。休憩時間中お迎えがくる場合は、事務所で子どもも相手をして待っていることもありますよね。

では実際に休憩時間と称されてはいるが保育士は仕事をしている、その内容について具体的に見ていきましょう。

子どもと一緒にお昼ご飯

子どもと一緒にお昼ご飯を食べるのは、普段の保育とはまた違って好きな食べ物について話したり、アニメの話をしたり楽しい時間です。

しかしその反面で保育士の業務内容は子どもの安全に配慮し、食事の場合は介助や片付けといった細かな仕事があります。

子どもと一緒に食事をするのは休憩ではなく仕事

乳児なら当然食事を食べさせて、泣いたときはあやします。子どもが誤飲しないかどうか、食べづらそうなら切り分けて食べやすいようにもします。

遊び食べをしているときは声をかけます。またもし食器が割れてしまったら子どもが怪我をしてしまいますので目が離せません。

これは仕事以外のなにものでもありません。

食事の配膳や食後の片づけだって大変

食事の介助や片付けをしながらだと、自分のお昼ご飯をゆっくり食べる暇もないので急いで食べるといった保育士の方は多いと聞きます。

筆者の元職場でも1歳児と昼食をとってましたが急いで食べることは勿論、食べこぼしを掃除や重たいテーブル運ぶといった仕事も必要です。

ちなみに余談ですが、筆者は普段の保育からくる腰痛があるため、テーブルを持ち上げるなどの片付けが保育業務の中でも1番つらかったです。

介助や片付けは保育の仕事であり法律的な観点から休憩時間とは認められません

休憩時間という名目の待機時間

休憩時間といって子どもから離れ事務室にいても、乳児であれば子どもが何人も起きて泣いている場合、また幼児であっても嘔吐や発熱などの緊急時は保育のヘルプに回ります。

いくら休憩だからといって保育室が人手が足りずバタバタとしているのに、自分だけゆっくりお茶を飲んでいられませんよね。

休憩時間なのに常に頭の片隅には「もしかしたらヘルプに行かなくてはいけなくなるかも」とそわそわした時間を過ごします。

しかし呼ばれることが有る以上、労働から離れることが確保されていないので休憩時間ではありません。

休憩時間という名目の事務作業時間

勤務時間には保育に入り子どものお世話をするのが主となっています。そのため先ほども書きましたが大量にある事務仕事をやる時間がなかなかありません。

忙しい時期は出勤前や出勤後にサービス残業をしても、終わらない仕事があることも時にはありますよね。

また保護者の都合でお昼でお迎えが来たら対応したり、電話対応もします。午睡中の急な発熱の際には保護者に連絡しなくてはいけません。

複数担任なら保育についての打ち合わせ、休憩室の掃除当番や行事の反省をするための会議、子ども達が寝ている間にしなくてはいけない仕事が沢山あります。

やる時間がないからと事務作業を休憩時間に行っているのですから、それは休憩時間にはならないのです。

お昼寝の時間

子どもが午睡中は保育士は何をしているのでしょうか。乳児であれば泣いてなかなか寝付けなかったり、途中で起きたらまたその子の隣について寝かしつけますね。

子どもの様子に合わせ室内温度を調節したり、午前中にいつもより元気がない時は体温計で測り、咳がでている場合は枕を高くして寝やすいように調整するなどの細やかな配慮をしてるよ。

自宅であっても寝ている子どもを完全い放置するなんてことはできないよね。保育園だとなおさら人の子どもを預かっている責任があるからなぁ。

また厚生労働省の「乳幼児突然死症候群」の記載によると、乳児突然死症候群(SIDS)を防ぐために1歳になるまではうつぶせ寝の子を仰向けに耐性を整えたり、30分に1回呼吸確認を徹底している保育園もあります。

たとえ寝てるとはいえ日中とはまた違った緊張感があり、これも保育の仕事に当てはまるので休憩時間ではないのです。

保育園選びの際には休憩時間を取れているかも大切

休憩時間は法律で決められた義務なのです。またそういう仕事なのだから仕方ないと思っているだけでは現状は変わりません。

それに保育士が足りない保育園は、休憩中をうまく利用して保育をして現場をまわすということが現状にあります。

そして適度な休憩があるから仕事にも集中できるのです。集中力が長時間続く人でも休息をとってから仕事をした方が効率がいいのではないでしょうか。

命を預かる仕事ですから、日中は気を常に張っています。休憩をとらなくちゃ午後の仕事を頑張れないですよね。

しかし最近はそういった声を聞き入れてしっかり休憩を取ることが可能な保育園も増えてきています。そうでもしないと保育士が安心して仕事してくことが難しいですよね。

そのため保育士不足の現在は、どうにか保育士の離職の問題を解決しようと動いてる自治体もあります。

休憩時間がしっかりしているところは、その他有給休暇の取得やサービス残業の有無でもしっかりしているので、そういった保育園を選び働くようにしましょう。

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