保育士を目指す学生などは「保育士の勤務体制はどうなっているんだろう」と疑問に思う人がいるかもしれません。
他にも「うちの保育園全然休みないけど法律的には大丈夫なのかな」と思いながら保育士の仕事をしている人もいますよね。
本記事では連続勤務はどのように決められているのか、保育士の勤務体制など紹介していきます。
保育士なら6連勤、7連勤は当たり前?
保育園は主に仕事をしている保護者が子どもを預ける施設です。
保護者の中には土曜日でも関係なく働いている人がいるので、土曜日も保育園で子どもを預かっています。
6連勤ともなると一週間のうちに1回しか休みがないですから、家で休息をとっていたら休みが終わってしまいますね。
休息がとれるならまだいいですが、翌週の保育準備があると毎日仕事をしているように感じるかもしれません。
土曜日出勤で6連勤はよくあること
筆者の元職場は隔週出勤をしていて週6勤務、週5勤務の繰り返しでした。
そのため週6勤務の週は日曜日しか休みがなく次の日にはもう出勤なので慣れてもやはり体や気持ちの面でも疲れは取れなかったです。
他の保育園でも土曜日は隔週出勤をして、交代で土曜出勤する勤務体制が多いです。
シフト制なら7連勤、休みなしで働くことになる人も
最近では保護者の希望で祝日や日曜日の保育を受け入れしている保育園もあります。その場合は保育士の中でも7連勤をしている人がいるでしょう。
どこの保育園でもある行事、発表会や運動会が日曜日にあった場合は7連勤になってしまうこともあります。
1週間に1回も休みなく働く。筆者も何度か経験しましたが、かなりしんどいですよね。
行事があると12連勤になることも
1日潰れる行事があると前の月から「来月やだなー」ってそればっかり考えちゃう。むしろ4月に年間行事表をもらった時点で「うわーいやだわー」って思ってる。
わかる。来月は体調管理しなきゃ、とか休日の予定あんまり入れないでおこーって思うよね~!
行事があるとさらに連続勤務になることも珍しくありません。
隔週出勤で土曜日出勤のうえに日曜日に運動会や発表会といった行事があると、休みなしで12連勤になることもあります。代休をくれる保育園もありますが人手不足の園だと難しいです。
働いている保護者の中にも日曜休みの人が多かったり、日曜日だと有給休暇をとりやすいことがあるため日曜日に保育園行事をもってくることが多いのでこのような連続勤務になってしまうのです。
保育園によって行事の内容や日程はそれぞれですが、どこの保育園にもあるような運動会・発表会・卒園式・お泊り会の行事を数えても年に4回はあります。
4回とはいえ、12連勤が年に4回あると考えると大変です。
保育士の仕事をしているとプライベートの予定に影響することもよくありますよね。
連続勤務をする上で知っておきたい労働基準法のルール
保育士の中には「うちの保育園違法なんじゃないか」と疑問を抱きながら働いている人もいるかもしれません。
しかしモヤモヤしながら働いているのはスッキリしないですよね。
以下の項目では保育園だけでなく、そもそも労働基準法では連続勤務についてどのように定められているのかということを紹介していきます。
1週間に1日もしくは4週間に4日の休日が必要
労働基準法第35条で以下のように定められています。
- 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
- 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
基本的には1項の1週間に1回の休日が適用されます。
毎週月曜日から土曜日まで6連勤して、日曜日だけ休みというのは問題ないということです。
ただ就業規則に休日を4週間に4日与えると記載すれば、2項が適用されます。シフト制を取っている場合はこちらを採用している場合が多いです。
週の労働時間は40時間まで
休日に関してもう一つ知っておきたいのが週の労働時間の上限について。
労働基準法第32条で以下のように定められています。
- 使用者は、労働者に休憩時間を除き一週間について40時間を超えて労働させてはならない。
- 使用者は、一週間の各日については労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
この法律の通り、労働時間の上限は1日8時間、1週間で40時間と定められています。
たとえば1日8時間勤務の場合だと5日で40時間となり上限に達しますから、週2日休みとしている会社が多いです。
ただこれ以上は全くできないというわけではありません。
ここで言う労働時間はあくまで所定労働時間のことです。それを超えて行う残業時間は含まれていません。
超過勤務手当として1.25倍の割増賃金を支給すれば、この上限時間を上回って働くことも可能です。
変形労働時間制
原則労働時間は週40時間以内と決められていますが、「変形労働時間制」という制度を導入するとこの限りではなくなります。
この変形労働時間制は1ヶ月もしくは1年間で平均して週40時間にすればよいというもの。労使協定を結び届け出を出すことで採用することが可能となります。
たとえば1年間の変形労働時間制を採用すると、1年間は52.14週なので417.12時間までであれば残業時間なしということになるのです。
1日8時間なら年間休日105日以上、1日7時間半なら年間休日87日であれば、労働時間が平均40時間を超えないので残業代がなくても法律に違反していません。
例えば土曜日出勤の週があり、その週で40時間を超えても年末年始休暇や夏季休暇等の長期休暇があればその週と相殺できるということなのです。
保育士の連続勤務、法律上で問題ないの?
筆者が保育士として働いている時は「土曜日は隔週で出勤とはいえ働きすぎなんじゃないか」と思いながら仕事をしていました。年末年始の休暇で上手く調整を取っていたのですね。
法律上問題ないとはいえ、身体の面と心の面でもかなりしんどいですよね。
ではあらためて法律に沿って保育士の休みに問題はないかを確認してみましょう。
変型労働時間制かつシフト制勤務の場合
法律上は最低4週4日の休みがあれば良いのですから、極端に言うと24連勤後に4日の休みでも法律上は問題ないことになります。
実際にそのようなシフトで働いていたら私なら倒れちゃいますが。
ただこの場合は1週間40時間という上限を超えるので、同時に変形労働時間制を導入している必要があります。
土曜日出勤で変形労働時間制
保育士の場合、隔週で土曜日に出勤をする人も多いですよね。この場合は1日あたりの労働時間が鍵となります。
例えば1日6時間勤務であれば、週の労働時間は36時間で上限の40時間を下回るので問題ありません。休日についても週1日を確保できています。
1日7時間または8時間勤務となると1週間の労働時間は40時間を超えてしまいます。
ただし先ほどから述べている変形労働時間制を導入しているのであれば、お盆や年末年始の休暇と相殺されて平均すると40時間を超えないので法律上問題ないということになります。
おそらく保育士はこのパターンで働いている人が多いでしょう。
※ただし年間休日数が一定ラインを超えている必要があり有給休暇は年間休日数に含まない
7連勤でも残業手当、休日出勤手当がでる
1週間に1日の休日を採用している場合でも連続勤務をすることは可能です。
たとえば1日8時間勤務の場合、月~金の5日間で40時間となり労働時間の上限に達しますね。
そのため土曜日の8時間は残業となり1.25倍の割増賃金が必要です。
また日曜日は法定休日となり残業ではなく休日出勤の扱いになるため、最低1.35倍の割増賃金が必要になります。
ただ休日出勤扱いとして割り増し賃金を支払った場合は法律上は休日扱いとなります。働いているにも関わらず休み。そして1週間に1日の休日がなくても問題はなくなるのです。
そっかあ~!確かに休日出勤したときは基本給以外にも手当がついてるから法律上問題ないんだ!
手取りが増えるのは嬉しいけど身体はしんどいんだよなぁー。
休みを取るか、給料を取るか…。
行事で12連勤となる場合も休日出勤手当がでていれば法律上、問題はないということになります。
法律上は問題なくても不満はかなり大きい
ここまで紹介したように、変形労働時間制を導入していること、残業手当や休日出勤手当が支払われていることなどの条件があるものの、それをクリアすれば6連勤や7連勤はもちろん、それ以上働くことも実は可能なのです。
ただ法律上問題がないとはいえ、連続勤務をしている保育士の人は「しんどい」「疲れがとれない」と思っている方も多いのではないでしょうか。
子ども達と関わると可愛いなと癒されるのは勿論ですが、休みがない事実は変わりません。
筆者も保育士の頃は「土日に確実に休みがあったらいいな」と思い、それを保育士友達ともよく話していました。
そして休みが少ないと気持ちの面でも余裕がないため、仕事をしていても集中力がかけたり、子ども達に対しても丁寧に関われず落ち込むこともありました。
連続勤務をして時間外手当がでる場合は良いですが、ブラック保育園に勤めている方の中には休日もタダ働きしている方もいるのです。
最近では保育園によって確実に週休2日、週休3日制という保育園もあるようです。
「残業が絶対ない」という保育園はないと思いますので週休3日制だと身体も心もリフレッシュできますね。
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