保育士の仕事は「サービス残業当たり前」「早く出勤するのも当たり前」という暗黙の了解があります。
勤務時間が長いのは、働く保育士にとってはストレスです。
実際の保育士の勤務時間はどれくらいなのでしょうか。
本記事では、保育士の勤務時間について紹介します。
保育士の勤務時間はどれくらい?
保育士の勤務時間は、基本的には8時間。
毎日出勤時間・退勤時間が変わるシフト制で働ています。
保育園が開園している間、基本的には7:00~19:00(延長保育含)の中でいくつかのシフトが組まれているので、それに応じて出勤します。
保育士の勤務時間(早番・中番・遅番)
早番・中番・遅番というシフトで働くのが、保育士の勤務時間の基本です。
3つのシフトで回るのではなく、5つや7つ、保育園によってシフトの数は異なります。
大体の時間帯は以下の通りです。
シフト | 勤務時間 |
早番 | 7:00~16:00 |
早番2 | 7:30~16:30 |
中番 | 8:30~17:30 |
中番2 | 9:00~18:00 |
遅番 | 9:30~18:30 |
遅番2 | 10:00~19:00 |
全ての保育園が上記の時間帯というわけではなく、運営時間に応じてこのシフトは異なります。
夜間も開いている保育園はさらに深夜勤務のシフトがありますね。
ただどんな保育園にしろ、運営時間は保育士が1人働く場合時間よりも長いので、シフトで働くという形が多くなります。
厚生労働省のデータから見る保育士の平均勤務時間
平成30年賃金構造基本統計調査の統計によると、保育士の1ヶ月あたりの所定労働時間は169時間です。
稼働日数が22日だとすると1日当たり7時間40分程度。正社員だとだいたい7時間30分から8時間が所定労働時間として設定されている場合が多いです。
また残業時間は1ヶ月4時間です。
ただこのデータは、あまり信ぴょう性は高くないでしょう。保育士の人なら1ヶ月で4時間なんてありえないと思う人が大半なのではないでしょうか。
このデータはあくまで事業所が回答した結果によるもの。サービス残業は入っていないし、少なく申告するようなケースもあるのかもしれません。
公立保育園と私立保育園で勤務時間は変わる?
実際、全国保育協議会の「保育所実態調査」によると、公立保育園と私立保育園では正社員の週当たりの労働時間に以下のような差があります。
多少ではあるものの公立(公設公営)の保育園の方が、私立(民設民営)の保育園に比べて労働時間は少ないです。
ただ公立保育園であっても残業が多いところは多いし、私立保育園であっても残業が少ないし、中には全くないというところもあります。
一概に公立よりも私立の方が残業が多いと言えるわけではありません。
保育士の朝。早番出勤はタダ働きが「暗黙の了解」?
保育園の開園時間は基本的には7時~7時30分頃です。
早番保育士の勤務開始時間も開園時間に合わせて、7時~7時30分頃となっている保育園が殆どでしょう。
しかし、子どもが来た場合は保育についたり、保護者の対応もありますから、早番保育士が子どもが登園してくる時間と同じ時間に来て、教室の準備等が出来る訳がありません。
他にも、早番の基本として「子どもが来る前に早番の仕事を終わらせる」と入社当初、先輩保育士や主任保育士から仕事教わりますよね。
その為、早番保育士は少なくても開園時間の30分前には出勤するのです。
「ん?でも出勤時間は7時からってシフト表に書いてあるはずなのに・・・」と思っても誰も口に出来ません。
保育士は(特に早番の日)どんなに早く出勤しても、給料は発生しないのが当然。
これが暗黙の了解となっています。
「塵も積もれば山となる」ということわざがある通り、30分前や45分前が月に数回あり、その残業代が出れば・・・給料は数千円変わるはずなのです。
これは納得のいかない保育士も多いのではないしょうか。
保育士が勤務時間に不満を感じる理由
保育士の勤務時間の長さに対するストレスを解消するのは、なかなか難しい問題です。
たとえば、園長は保育士が残業をしていても見てみぬフリ(むしろもう退勤している)・・・。
園長や主任に残業時間について相談しても「勤務時間内に終わらせられないのが悪いんじゃない?」という雰囲気にむかついたり・・・。
上司に相談しても簡単に変わるものでは無いので、保育士が勤務時間に不満を感じてしまうのも無理はありません。
以下、保育士の勤務時間に関する不満の具体的な内容を挙げていきます。
休憩時間がない
勤務時間のうち、45分から1時間程度は休憩時間と設定されています。
しかし、実際のところ保育士はほとんど休憩時間がとれません。
「ほとんど」というよりも「休憩時間なんて全くない」というのが正しいかもしれません・・・。
勤務時間中は、基本的に保育に入っている為、事務仕事をするなら休憩時間を削るしかないのです。
その為、昼もしっかり休みが取れないので、午後も辛い状態のまま働くことになります。
本来ならば休憩時間はしっかりとらなければいけないものです。
法律でも勤務時間が6時間から8時間までは最低45分、8時間を超える場合は1時間を超える休憩をしなければいけないと定められていますし、その間に仕事をさせることも認められていません。
労働基準法第34条
- 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
- 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
- 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
保育士として働いていると休憩なんて取れなくて当たり前、休憩なんて取っている余裕ないと思っている人も多いのですが、これははっきりと違法な状態にあるのです。
【参考】保育士に休憩時間はないのは労働基準法違反。休憩はしっかり取らなきゃだめ!
残業時間が長い
日々、保育士は事務仕事に追われています。
上記で触れた通り、休憩時間に仕事を終わらせて、シフト表通りに退勤できればまだマシです。
休憩時間で終わらない仕事は、退勤後に残って仕事しなければいけません。
1時間残業しても終わらない場合は2時間・・・。
1日で終わらない場合は、週に何度も残業します。
たとえば、早番の後に残業して、ふと時計を見ると「12時間も保育園にいる・・・」と、余計に疲れた~という経験がある保育士も沢山いるのではないでしょうか。
サービス残業で給料が出ない
残業をした分、給料が出るなら文句はありません。
残業を沢山していても、その時間分が給料に加算されないから不満に感じるのです。
勤務時間が長くても、残業をした分だけ給料が入るなら、まだ頑張れますよね。
【参考】保育士の残業時間の実態。サービス残業や持ち帰り残業は実際どれくらいやってる?
持ち帰りの仕事が多い
休憩時間を削っても、残業をしても終わらない仕事がある場合。
持ち帰って仕事をしなければいけません。
「持ち帰って仕事した時間を含めると、自分は1日何時間働いているんだ!」と怒りを感じたり、「仕事辞めたい」と悲しくなったり・・・。
保育園に行っても仕事、家にいても仕事。
「勤務時間が長い」という以前に、仕事量が多すぎるという点で、持ち帰って仕事をするのが当たり前となっている場合は、ブラック保育園の可能性があるかもしれません。
以下の参考記事を読んで「自分の保育園はブラック保育園かどうか」確認してみてください。
【参考】ブラック保育園の特徴や見分け方、残業代はしっかり出てる?有給休暇はとれる?
求人の勤務時間が短い場合、休みが少ない可能性大?
勤務時間が8時間は長い、できればもっと短い方が良いと考える保育士の方は少なくないでしょう。
保育士は体力仕事なので、8時間はしんどいですよね。
そして求人を見ていると、実際に勤務時間が短い保育園も確かにあります。
たとえば、出勤時間が「7:15~16:30」「9:00~17:30」等。
このケースの場合だと休憩時間が45分と考えると、所定労働時間は7時間30分や7時間45分となり、8時間よりは短いですよね。
ただし、このような勤務時間をとっている保育園の場合は年間休日数と残業の有無に気を付けなければなりません。
1日の所定労働時間が8時間の場合、年間休日は最低でも105日必要です。
しかし1日の所定労働時間は7時間30分の場合だと最低年間休日数は87日、7時間45分だと96日でOKとなります。
すなわち、所定労働時間が短い代わりに実は休みが少ないなんてことがありうるわけです。
また残業時間についても注意が必要。所定労働時間が短くても残業が多ければ実際の勤務時間は長いくなるし、それがサービス残業となればもはやなんの意味もなくなってしまいますからね。
ですから、勤務時間が短い場合は年間休日数と残業時間を要チェックです。
【参考】保育士の平均年間休日数や他業種との比較。やっぱり休みは少ない?
今の職場に不満を感じているなら、転職も視野にいれておこう
「保育士は勤務時間が長くて当たり前・・・」と思って諦め、不満を抱えながら仕事をし続けるのは辛いですよね。
「うちの保育園、勤務時間長くない?」と疑問に思った時は、他の保育園はどうなのか、求人を見たり、保育士友達と話して見比べてみてください。
上記で触れた通り、勤務時間や事務仕事の量は、保育園によって様々。
実際に、残業が殆どない保育園、残業をした場合はしっかり給料に加算される保育園もありますから、今の保育園に不満がある場合は転職を視野に入れましょう。
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