保育士の残業時間の実態。サービス残業や持ち帰り残業は実際どれくらいやってる?

保育士の労働条件

入園式などの行事準備や日々の記録を記入するなど、保育士の仕事内容は子どもと一緒に遊ぶだけではありません。

事務やそれ以外の仕事もたくさんありますよね。

元保育士の筆者ですが友人に保育士をしていると言うと「大変だね」とよく言われました。保育士の仕事の大変さが一般的にも認知されてきたようです。

保育士という仕事は残業が多いイメージが定着しつつありますが実際の残業時間、また総労働時間はどれくらいなんでしょうか。この記事で紹介してきたいと思います。

保育士は残業が多い?

正直、日々の記録や月ごとの反省、個人記録など事務仕事の量が多すぎるんだよ。休憩中は家庭との連絡帳の確認や記入をするし、勤務時間内に事務を終わらせるのは当然無理だし、残業するいしかない…。

記録内容も複雑で時間がかかるものばかりだし~。個人の成長記録は子どもが前の月と比べて何ができるようになったのか、心の面や行動の面からも成長を考えなきゃいけないし。

壁面や子ども達の制作の準備なども時間がかかるよね~。壁面なんて画用紙を使って動物達の目や鼻、模様とか細かなパーツをハサミで切り取る作業、それをのりで貼るのもなかなか大変!それが毎月だし、かなりの労力を使うわぁ。

複数担任ならクラスの子どもを分担することができますが一人担任だった場合、20人近くの成長を見つめて記入することになります。

パソコンなら少しは良いのかもしれませんが、筆記となるとさらに時間がかかります。来年度違う人が担任になったらそれぞれの子どもの特徴が書面でもわかりやすいようにと考え、手を抜くことができませんよね。

ここでは伝えきれない程の仕事内容ですが、これらの仕事が負担に感じる人は多いです。

実際に保育士が仕事を辞める理由として上位に「勤務時間が長く、サービス残業が多い」というのが挙げられています。

以下の項目でもっと詳しく実情を紹介していきます。

公表されている保育士の残業時間・総労働時間

政府が様々な職種の残業時間や総労働時間の「賃金構造基本統計調査」として統計をとっています。

それによると保育士の残業時間を見てみると月4時間。1日で15分もないということになります。

総労働時間は平均すると8時間に加えて8時間10分から15分となっています。

その15分は出勤前の準備や、帰る身支度をすることだと思いますが、本当にそのように帰っている人はいるのでしょうか。

実際の現場の15分は保育に入る前後の子ども達の様子や連絡等のやり取りで、あっという間に過ぎてしまいます。それに加え保育の準備もあるため15分以上かかります。

保育士経験がある方ならこの数字を見ただけで現実的なものじゃない事はわかりますね。

実際の保育士の残業時間・総労働時間は?

公表されている残業時間は月4時間で総労働時間も8時間15分、しかしながら冒頭に述べたような事務仕事がこの時間の範囲で収まる訳ないですよね。

では実際の保育士の残業時間や総労働時間はいったいどれくらいなのかというのは、園によってそれぞれなので一概には答えは出すことは難しいです。

しかし保育士であれば残業をしたことない人はおそらくいないでしょう。

サービス残業が当たり前になっている

行事などの職員全体で残って作業するときや、運動会を日曜日に行う園などは時間外手当として給料が発生するところもあります。

しかしその当日までは勿論のこと、行事前日の準備に取り掛かる前の段階でも多くの作業がありますよね。

そういった個人の仕事ではなく園全体で取り組む場合は、仕事を分担していたとしても一人の仕事が終わっていないと次の段階を受け持つ人に迷惑がかかります。

そのために良く言うとチームワークですが先輩や後輩の仕事を手伝わなくてはいけない状況だったり職場の雰囲気があり、これがサービス残業になってしまうのです。

休むべき休憩時間も仕事

就業規定上は30分、1時間以内の休憩が設けられていますが、実際は休憩はないようなものです。

子どもと一緒に昼食を食べ午睡につき、子ども達が寝ている間に休憩をとることになりますね。

私の元職場での休憩時間を思い出すと外出してランチに行ったり休憩室でぼーっとしている人は一人もいませんでした。

乳児であれば子どもが午睡中に目覚めて泣いたら人手が足りないのでカバーして保育に入ったり、幼児であっても保護者の都合でお迎えがあったら対応したり、嘔吐など緊急事態があれば当然保育の手にまわりますよね。

基本的には黙々と家庭との連絡帳を記入したり、事務仕事をしてたまに談笑をしながら子ども達が起きてくる前におやつの準備、そしてまた保育が始まります。

しかし休憩時間というのは法律で定められています。(参考:厚生労働省

労働者の権利として休憩時間の定義は労働から離れた時間を指します。以上の状態は休憩とは言えません。

保育に入っていなくても待機ということでしたら労働から離れているということにはなりませので、これは法律違反なのです。

持ち帰ってからの仕事も多い

園によって建物を施錠する時間が決まってるところもあるよね。保育園に残って作業ができないとなると、期日が迫っている行事の作りものは家に持ち帰って少しでも仕事を終わらせなきゃって思う…。

最近では個人情報漏洩について厳しくなっているよね~。個人名が入っているものや写真、個人の特定ができるようなものは保育園以外に持ち出してはいけなくなってるから、壁面制作や次の日の保育で使うものの準備は家でする方がゆっくりできるし。

保育士の勤務時間の殆どは子どもと一緒に遊んだり、食事の介助やお昼寝など子どもをみるということが主となっています。

休憩時間も事務仕事で追われているために家に仕事を持ち帰るなんてことは日常茶飯事ですよね。

少しでも子ども達の成長に繋がったり、その場が盛り上がって楽しい気持ちで過ごしてもらいたいと思うと前日は保育の準備は欠かせません。

何をして遊ぶか設定を考えて、どのように遊びに入ったら楽しいかと導入を考えているとペープサートや絵が必要となれば、既存のものがなければ自分で作ります。

そういったことをしていると1日中働いている気分になってしまいますね。

実際の月の残業時間は・・・

シフトにもよりますが遅番なら出勤時間よりも早く来て2時間ほど事務をしてから出勤という場合や、早番の場合は閉園まで残って仕事することがあります。

運動会や発表会で大道具を作ったり、衣装を作る月はいくら時間があっても足りないので毎日残っている先生も少なくはありません。

施設が開いてから施錠されるまでの時間仕事できる訳ですが、忙しい月を例に実際はどれくらい残業しているのか計算してみましょう。毎日2時間の残業をしたことにします。土曜勤務を除いて週5勤務として考えると月の稼働日を21日とします。月に42時間の残業と考え、時給が1,200円だったとします。普通の勤務に加えて残業した場合は1.5倍の手当がつくため1,500円になりますね。

42時間×1,500円=63,000円

今の毎月の給料に6万3千円の手当てが出たとしたらどうでしょう。

それが1年間続くと75万6千円です。それが10年と考えると756万円になります。

極端な例えにはなりますが、家に持ち帰って仕事する分などを含めると実際にそれくらいの時間働いていることになるのではないでしょうか。

保育士の残業が多い理由

どのような職種でも多少、それぞれの理由で残業があります。

しかし前項目では保育士の残業の実態について紹介きたように仕事内容から保育士が残業するのは目に見えていますが、本来なぜ残業が多いのでしょうか。

根本的な理由を保育士の具体的な仕事内容から考えてみましょう。

保育以外の事務仕事の量が多い

先ほどから述べているように子どもの世話以外の仕事がたくさんあります。記録ものは園によってはまだ古い考えのもとで「手書きが良い」とされているところもありますね。

しかし最近はパソコンで記入をするように移行している園も多くなってきています。

子ども達を想って仕事をしているのに手書きの方が温かみがあり、パソコンではその気持ちは伝わらないのでしょうか。手書きとパソコンでは言葉の深みや重みが異なるのでしょうか。

勤務時間内には事務がとれない

勤務時間の殆どは子どもと接する時間なので事務時間を確保するのは難しいです。

毎日勤務通りに過ごしていても仕事の量は減らないため仕事する時間を確保し、終わらせなくてはいけません。そのためどうしても出勤時間外で残業することになってしまいます。

行事が毎月あるため作り物に時間がかかる

子どもの日の制作、母の日・父の日の制作、制作物がたくさんあります。

画用紙を切ったり、ひもを通して作るカードなど個数を有する細かな作業もあるので毎月少なからずサービス残業せざるを得ないですよね。

残って仕事することが当然になっている

入って間もない新人でも保育室から事務所に戻って帰ろうとしたときに事務室に先輩達が残っていたらこれは帰っていいものなのか、何か自分もやらなくてはいけないのかと不安になります。

仕事の質を必要以上に求められている気がしていまいますよね。

長年勤めてきたベテラン保育士でも保育の質をよくしようと真面目に仕事に取り組んでいる人だからこそ、つい残業してしまいます。

保育園を選ぶ際には残業の量を確認しなくてはいけない

以上で保育士の残業時間や総労働時間について紹介してきましたが、全ての保育園が必ずしも当てはまるわけではありません。

保育士という仕事が、というより職場の問題の場合も多いです。保育士不足の問題もあるため、どこの保育園も人手が足りないです。

そのために仕事の量を減らす工夫をしていたり、市町村や自治体によっては保育士にとってもっと働きやすい職場づくりをしようと取り組みがあるところもあります。

子どもが好きで保育士の仕事も楽しい、でも働き方に不安や不満があるといったときには、思い切って職場を変えてみたら問題が解決するかもしれません。

職場が違えば人も違いますから、考えた方や園長によって運営の違いがあります。求人の項目で残業については表記されている園は多いですよね。

入ってみないとわからないというのはどの職種でも言えますが不安な場合は電話、面接時に以前の職場で抱えていた問題を話し、本当に自分の条件に合った職場なのかどうかを詳しく聞いてみることも大切です。

せっかく資格をとって始めた子どもと関わる仕事です。嫌な面もありますがそれだけではないですよね。

保育園に行くと待ってくれている子ども達、子どもにとっては親以外の身近な存在で最も信頼があつく、大好きと思える相手が保育園で待っている先生なのかもしれません。

納得のいく職場を求めていってはいかがでしょうか。

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